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侑
ｽｰ……ｽｰ……
治
…
治
スナ、ありがとうな。
治
ツムの事運んでくれて
角名
いや、気にすんな。
角名
…
北
……
アラン
……
侑
ｽｰ……ｽｰ…
北
よう寝てるわ。
北
あれだけ取り乱しとった
はずやのに。
はずやのに。
治
っ…
角名
何をそんなに隠そうとしてるんだよ…。
角名
俺にすら話してくれなかったし。
北
角名。
角名
あ…
治
隠しとる…？
治
ツムは何か、隠しとるんですか？
治
…っ北さんは、
治
知っとるんですか？
北
…
治
北さん…！
角名
しっ…起きるだろ…
治
…でも、知っとるんですよね？
北
…まぁな。
治
！
北
…俺が治に…
北
今から言うことは、誰にも言ったらあかん。
北
知った事も、侑にさえ言わんと誓え。
角名
…ｺｸﾝ))
アラン
…薄々気づいてたけど、
アラン
そんなに酷いんか？
北
…特に治は、驚いたりせんと、絶対に受け止めなあかんで。
治
…もちろん、その覚悟や。
北
…
北
侑の足。
角名
…足…ね。
治
怪我したってやつですよね？
北
よぉ見てみぃ。
ｽﾙｽﾙ…
治
なっ…！！
治
こ…この傷って…
北
転んだ訳やない。
角名
バレーで傷ついたもんでもない。
北
これは、誰かに傷付けられた感じやな。
アラン
この傷、背中の方にも跡があったで？
北
いつ見たん？
アラン
侑のTシャツが汗で濡れて
割とよう見えるようになった時
割とよう見えるようになった時
アラン
うっすら見えてん。
アラン
せやけど、何も俺からは言わんかったんや。
アラン
個人の問題かもしれへんやろ？
治
…確かに、ツムの背中
治
見た事あらへんかも…
角名
え、お前ら前は見たことあんの？
治
そりゃ、色々…する時にな？
角名
あー…
角名
(聞かない方が良かったわ)
北
…とにかく、背中にもあるんやな？
アラン
おぉ…あったで。
アラン
なんや、ハサミで切られとるような感じやったなぁ…
治
！
治
は、ハサミ…やったんか？
角名
心当たりあるの？
治
あ、ああ…いや、でも…
治
そんな事…あるんか？
北
治の考えとる事、案外
間違っとらんかもしれへんで？
間違っとらんかもしれへんで？
治
…へ？
北
侑が言ってたんや
北
"親に付けられた傷もあるんです"ってな。
治
そんな！
治
お、オカンは優しかったで？
角名
治には…だと思うけど。
治
…は？
角名
侑に対してどうだったんだよ。
角名
治にとっては優しかったかもしれない。
角名
でも
角名
侑にとっては、どうなんだと思う？
治
…考えたこともあらへん。
治
ツムが苦しいことも
治
ツムが悲しいことも
治
なんも
治
俺は考えたことなかったんや
治
あの時は、俺も心が壊れかけやったし…
角名
治も、侑と比べられてたことになるな。
アラン
治"も"？
角名
タオルに書いてあった言葉だよ。
角名
あれを見たら誰でもそう思う。
北
あの言葉は、治と侑を比較しとるようなもんやからな。
治
…てことは。
角名
ん？
治
俺がツムと
比べられとった時
比べられとった時
治
ツムは更に心が壊れる出来事があったって…ことやろ
角名
そうなるね。
北
何があったんか
俺はよう知らんけど、
俺はよう知らんけど、
北
確実に何かあったことになるやろ。
治
俺…ツムの事、なんにも分かってなかったんやな…
治
あれだけ一緒におったのに
治
なんにも分からず終いで
治
俺は、ツムに負担になるような事をしとったんやな。
角名
それはお互い様だよ。
角名
侑だって、お前に何も言わないのは
角名
負担をかけたくないからだって
角名
自分で言ってたからな。
アラン
あいつもお前も。
アラン
不器用過ぎんねん。
アラン
大丈夫って思い過ぎ。
北
…相手を思うことは、1番難しいことなんやで、治。
治
…
侑
んぅ…？
治
…？
侑
ぁ…れ…？
侑
ここどこ…？
治
ツム！！
北
目ェ覚めたか？
侑
み、みんな？
治
ツムっ…
侑
ﾋﾞｸｯ))
治
あ…
治
…ツム、すまん。
侑
…へ？
治
おっきい声で喋ったから…
侑
あ…お…
角名
侑
角名
治は、ずっと侑の事心配してたんだよ。
角名
お前が戻らなかったら、どうしようって。
侑
サム…
治
…すまん…ツム…
侑
…？あっ！
治
ツム？
侑
お、俺の足っ…みみ…
侑
見たん？
治
見たで
侑
！！！
侑
こ、これはっ…そのっ
治
ツム
侑
ﾋﾞｸｯ))
治
…
治
俺は、今怖い？
侑
！
侑
ﾌﾙﾌﾙ))
治
そうか
治
なら良かったわ
侑
…へ？
治
お前にでっかい声で喋ったやろ？
治
せやから、あの時。
侑
あ…
治
怖がられとるかと思ったんや。…すまんなツム。
侑
いや…その…
侑
俺も…すまん…
治
ツムは謝らんでええんよ。
治
辛いのはツムやから。
角名
治。
治
ん？
角名
聞かなくていいのかよ。
治
…
治
俺は、ツムを待ってるで。
侑
！
治
いつまでも待つ。
治
長くても、ずっと待つで。
侑
サ…サム…
治
信じとるよ、侑。
侑
そ、そんな…優しくしたら
侑
アカンよ…
治
これでも辛抱しとる方や
治
少しは察しろ
侑
そ、そないな事言われても…
侑
けど、優しいのはやっぱり…
侑
むず痒いねん
治
…なんで？
侑
…っ
治
…それも今度聞かせてな。
侑
お、おん…
北
治、俺たち1度部屋を出るで。
治
なら、俺も行きます。
侑
な、なんで？
アラン
まだ目ェ覚めてから
時間経ってへんやろ
時間経ってへんやろ
アラン
少しは休みや。
治
水持ってきたるから
侑
……ｺｸﾝ))
治
じゃあ、待っとってな。
侑
わかった。
治
ふー…
治
俺、頑張りましたよね？
北
ああ、頑張ったで、治。
角名
よくあの状況で耐えたよ。
治
ほんまは
治
全部聞き出してやりたかった。
治
なんで悩んでんのか
治
何が怖いのか
治
何をされとるんか
治
全部聞きたい。
治
けど
治
今のツムは、怖がっとるから
治
俺は
治
待つことに決めたんや。
角名
それでいいよ。
角名
時間はあるから
角名
侑が口を開くまで
角名
俺たちは待たないといけないね。
アラン
…
治
…アランくん？
アラン
っ…ああ…あのな。
アラン
小さい頃の侑を
アラン
近くで見ててん。
北
1番近かったんやない？
治
確かに…
アラン
あの時は治が侑と比べられてて
アラン
治と一緒におることが出来ひんかったと思ってるんやけど…
治
あの時は
治
俺も余裕なかったわ
アラン
そうやろ？
アラン
多分
アラン
それで俺の所にずっとおったと思うねん。
アラン
小さい時の侑はいつも
アラン
どこか怪我してて
アラン
少し泣きそうな笑い方を
しとったなぁ。
しとったなぁ。
アラン
何かを我慢してるような…
北
我慢？
アラン
ああ。
アラン
"察してください"って
アラン
顔に出とった気がするわ。
アラン
俺も小さい時やったから、
あの時気づいてやれへんかったわ。
あの時気づいてやれへんかったわ。
北
…てことは
角名
侑は本当に、親に…？
治
…
治
ツムは…
治
俺が自分と比べられとる事をしってて、俺から避けとったんか。
角名
そうなの？
治
…そうやと思うねん。
治
1人にしてくれとったんや。
治
俺の心が壊れる前に。
治
でも、俺は壊れてしまった
治
耐えられへんかってん。
治
…確かに…
治
オカンはいつも優しくいてくれた
治
心が壊れた時も
治
優しかった。
角名
…侑にはどうだったんだよ。
治
覚えてへん。
治
けど
治
いつも侑に掛けてた言葉はよう覚えとる。
アラン
言葉？
治
おん。
角名
それって？
治
侑はいつも"偉いね"
北
…偉い？
アラン
お利口さんやなくて？
治
ずっと、偉いって
治
そう言っとったで。
治
どういう意味か知らんけど
治
オカンはずっと侑にそう言ってたわ。
角名
"偉い"…ね。
角名
なんか、意味深なんだよな。
角名
俺も憶測でしかないけど
角名
言う事全部聞いてた…とか。
治
有り得るな。
治
侑はオカンの言うことは何でも聞いてたからな。
治
ちょっと無茶な事でも全部…
アラン
その線で行くと…そうなってまうよ…？
北
俺も同感や。
角名
うん。
治
…探り入れてみた方良さそうやな。
角名
待つんじゃなかったのかよ。
治
そ、そうやけど…
北
そこは、治の好きにしたらええ。
北
自分の親の事やからな。
治
北さん…
北
解決するとええな。
治
…！
治
はい…！
アラン
そろそろ、水持って行かんと
アラン
待っとるかもしれんし。
角名
…寝てたりしてな。
治
聞いとったりして。
角名
有り得る。
北
ま、まぁ
北
ひとまず飲みもん持っていってあげようや。
侑
…
なんであんなに優しいんやろ。
俺
隠し事沢山あんのに。
侑
サムもみんなも…
侑
俺に優しいのは
侑
なんでなん。
侑
…傷
侑
見られてしもうた…。
サムの中のオカンは
いつも優しいオカン。
侑
その想像を壊してしまうのも…
侑
なんや気が引けるな…
侑
せやけど…
いつかは言わんと。
必ず言わんと。
約束したんやから。
侑
でも。
侑
まだ怖いねん…ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ))
サムの絶望した顔
みんなの驚いた表情。
侑
…怖くて
侑
見られへん…
侑
でも
待ってくれるって
サムが言ってくれた
侑
…俺もそれに
侑
答えてやりたい…！
怖くても
1歩進まんと。
侑
ｺﾞｸﾘ…
侑
みんなが帰ってきたら…
侑
せ、背中の傷見せよかな…
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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