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風鈴坂を下る途中、空はもう薄紫に変わっていた。
夜が来る前の、短い静けさ。
蒼が先に口を開いた。
蒼
蒼
私は驚いたように目を見開き、すぐに微笑んだ。
紬
私も続ける。
紬
紬
二人は立ち止まり、坂の途中で向き合った。
不思議と、悲しさはなかった。
代わりに、胸の奥が静かに軽くなっていく。
紬
紬
私の言葉に、蒼はうなずいた。
蒼
風が吹き、神社の方から風鈴の音が届いた。
二人の間を、見えない糸がほどけていくようだった。
紬
私は一歩下がり、軽く頭を下げる。
紬
蒼は少し照れた笑顔で答える。
蒼
二人は、それぞれ違う方向へ歩き出す。
振り返らなかった。
でも、同じ風が、二人の背中を押していた。
風鈴坂で、今日も変わらず風を通す。
誰かを引き止めるんじゃなくて、
それぞれが選んだ道へ、送り出すために。