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病に溺れる

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病に溺れる

1 - episode ⒈

♥

9

2024年04月11日

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主人公side

< いつメン(5)

〇〇

今どこ?

kn

ぶるーく寝坊

〇〇

マ?

sha

もうちょいかかりそう

〇〇

了解

〇〇

…ふう

〇〇

またぶるーく遅刻かぁ…

〇〇

ほんとにあの人なにやってんだろw

今日は年に一度の夏祭りの日。

昔から、ぶるーく、シャークん、きんとき、スマイル、そして私の5人で毎年遊びに行っていた。

〇〇

(…何か忘れてるような)

何年か前から、大切なものを失ったような、そんな喪失感がある。

それは他の4人も同じようで。

〇〇

…あっつ

ただでさえ慣れない浴衣が汗で体に張り付いて気持ちが悪い。

そういえば、今朝の天気予報で今夜は熱帯夜になるって言ってたな…

〇〇

…みんなまだかな……

風が強く吹いて、浴衣の袖を巻き上げる。

◼︎◼︎◼︎◼︎

__もうすぐ

〇〇

…え?

声が聞こえて振り向くと、いつのまにか背後に誰かが立っていた。

前髪が長く、顔が半分隠れていて、表情が読みづらい。

◼︎◼︎◼︎◼︎

もうすぐだよ

◼︎◼︎◼︎◼︎

もうすぐ迎えにいくからね

そう言うと、その人はゆっくり近づいてきた。

〇〇

(…!?体…動かない…!)

なぜか体が言うことを聞かず、私は振り向いた状態で固まったままだった。

その人は私の前まで来ると、体を寄せ、私を抱きしめた。

〇〇

(な、にこの香り…)

だんだんと意識が朦朧としてきて、視界も霞み始める。

〇〇

(でも…なんだか…懐かしい…?)

不思議な香りに包まれたまま、私は意識を手放した。

…!!

…い…!

sha

おい!大丈夫か?!

〇〇

…あれ

〇〇

私…

気づくと、公園のベンチに寝転がっていた。

sha

お前倒れてたぞ!!?

sha

心配した…!

私を覗き込む彼は、今にも泣きそうな顔でそう言った。

〇〇

…ごめん

br

ねえ、何かあったの?

br

さっきからぼーっとしてない?

br

いつもの〇〇らしくないよ

kn

確かに…

〇〇

何か…?

〇〇

あ、私…誰かに会っ…た

kn

…それで?

〇〇

その人が

〇〇

何か、言ってた気がするんだ、けど…

“もうすぐ…もうすぐだよ”

〇〇

もうすぐ…?

sha

…なんだよそれ

sm

居眠りでもしてたんじゃないのか?

sm

〇〇ならあり得る

〇〇

…!

〇〇

ひっどいなぁ

〇〇

人聞きの悪い!

〇〇

私そんなに不用心じゃないもん!

sm

っはw

sm

どうだか

kn

そうだなw

kn

〇〇ならやりかねない

br

僕よりやばいんじゃな〜い?

みんな口々にそんな事を言う。

あれ、私ディスられてるよね

sha

ま、あんま心配させんなよ

そう言って彼は私の頭を優しく叩いた。

〇〇

…シャケ

sha

次やったらお前のマイクラのワールド荒らしてやる

〇〇

なんだいつものシャケじゃん

sm

早く行こうぜ

kn

そうだな

神社の鳥居の前まで来ると、沢山の人でごった返していた。

sha

うげ、人多過ぎ…

sm

空いてるところから回ろうぜ

〇〇

そうだね

〇〇

…あっ

5人の中で1番後ろを歩いていた私の前に、知らない人が割り込んできて、あっという間に4人と逸れてしまった。

〇〇

え、

〇〇

ちょっ、!

〇〇

(どうしよう…大分離れちゃったよね)

とりあえず人混みから抜けて、道の端に寄る。

神社は山の中にあって、周りは木々に囲まれていた。

薄暗い木の隙間から、優しく風が吹いている。

〇〇

…この感じ、前もどこかで…

木々の間をすり抜ける風が、“あの香り”を微かに運んでいる。

私はその香りに誘われ、仄暗い森に入って行った。

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