これは、1人の虐められっ子の女の子と、「普通」に憧れをもつ男の子が
「生きる理由」を探す、感動恋愛物語。(自らハードルをあげる)
参考曲 『ムーンソング』 [Alexandros] 詞曲 川上洋平
志穂
下駄箱を開けると、上履きの中に沢山の画鋲。
辺りを見渡すと、隠れて反応を見てる人達が。
そう。そいつらがいじめっ子。
画鋲が沢山入った上履きを持って、教室へと向かう。
初めてでは無いとはいえ、特に何も無い自分に気味が悪いと思いながらも、教室に入る。
ザザっ、とゴミ箱に画鋲を捨てて、上履きを履く。
画鋲が勿体ない、と思う人もいるかもしれないが、誰も私の上履きに入ったやつなんて使いたくないだろう。
自虐的になっているが事実だ。
何度も蹴飛ばされた椅子に座る。
沙耶
志穂
幸い、話しかけてくれる友達はいる。
いじめっ子は私だけが気に食わないらしく、私に話しかけてくれる子には特に何もしていない。
それなら安心だ、と思い、普通に友達とは笑いあったりもする。
だから、私は少しは幸せなんだ
なのに、足りないって思っちゃうのは、我儘なのかな。
前まで楽しかった学校生活も、今では地獄と化していて、とても長く感じる。
今日も地獄から解放されて、気が軽くなる。
志穂
帰ろう、と思い下駄箱を開けると、1枚の紙切れ。
見ると、『体育館倉庫』と書かれていた。
誰の字かは、元々友達だったんだからわかる。
深くため息をついて、重い足取りで体育館倉庫へと向かう。
凛
萌夏
凛
体育館倉庫って声響くんだなぁ
なんて呑気なことを考えていると、彼女らは私へと近づいてきた。
萌夏
文句を言われたかと思うと、腹部に衝撃が走った。
…殴られたのだ。
暴力を受けることは、あまりなく、耐性がついていない。
よろけると、足を思いっきり蹴られて、転んでしまう。
体育館倉庫は器具も多く、危うくおでこや頭を打つところだった。
彼女らはそれを狙ってやったのか、チッ、と舌打ちが聞こえる。
はぁ、と心の中でため息をついて、ゆっくりと起き上がる。
また殴られて、蹴られて。
ここでイケメンが助けに来てくれて、恋が始まるとかいう漫画的展開こないかな…
なんてふざけて言う隙も無いし、状況じゃない。
凛
夕方です
帰る頃には暗くなっていて、早く帰らないと、と赤青い痣ができた足で早歩きで帰る。
家にいてもいいことなんてないけど、この地獄(学校)にいるよりはましだ。
まぁ正直、家出もしたいのだけど…。
時折小石を蹴りながら、歩いていると、どこかから声が聞こえて、当たりを見渡す。
千尋
志穂
横から男の子が吹っ飛んできた。
文字通り、本当に吹っ飛んできたのだ。
千尋
志穂
千尋
千尋
あぁ、彼は私を心配してくれてるのだ
涙が出てきそうになって、グッとこらえる。
志穂
千尋
千尋
「…は?」と思った。
それしか思えなかった。
だけど、首を振る気にはならなかった。
志穂
志穂
不思議と、口からそんな言葉がでてきた。
千尋
ため息をついて、空を見上げる。
光る星は、俺と違ってキラキラしてて。
遠いところにあるのにどうしてこんなにも輝いて見えるのだろう。と考えたりして。
…その瞬間。
一筋の光が空を泳いだ。
千尋
すぐさま願いを唱えると、流れ星はありえないくらいに光って、視界に真っ白な光が広がった。
運がある人間になりますように
それが、俺の願い事だった。
千尋
目を開けると、そこはさっきと変わらないベランダ。
どうやら倒れていたみたいだ。
夢でも見てたのかな…と痛い体を起こす。
そうだ。きっとこの日からだ。
俺の運命を壊されたのは___。
あの日から、俺の人生は崩れた。
流れ星の願いが、叶ってしまったのだ
叶ったのなら嬉しい。
だが、俺の願い、「運がある人間になりますように」は、他人の不幸と引き換えに。だった。
簡単に言うと、俺にいいことがあると、周りに不幸が訪れるという事だ。
周りからは気味が悪いと思われ、近寄られなくなった。
裏でも色々と陰口をいわれるようになった。
気づけば俺は、運なんてなくていい。 普通の人間になりたい。と思うようになっていた。
…そして、この世界から逃げ出したい
だなんて思うようになっていた。
千尋
千尋
だからきっと、彼女にこんなことを言ってしまったのだろう。
あの傷だらけの体や、絶望を感じている目。
似たような境遇を持っていることを感じた。
彼女ももう、この世界を嫌がっている
なんとなく、感じたのだ。
彼女は驚いた顔をして、暫く固まると、ゆっくりと口を開いて
志穂
志穂
自分から言ったとはいえ、予想外だった。
でも、もう引き返す事なんてできる訳もなくて、彼女の手を引いて走った。
誰にも見つからない、遠い遠い所を目指して。
……To be continued
コメント
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おお…神降臨なされた()