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52ヘルツ、響かせて

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52ヘルツ、響かせて

1 - プロローグ

♥

48

2024年08月05日

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画面に映る数字を数えてみる。

一桁、二桁、三桁… 六桁まであったそれは、その動画の視聴数を指し示すものだ。

…五十二万回。

それは、俺らにとってとても嬉しい数字だった。

何せ新記録なのだ。 俺としても、とても誇らしい。

ねえ、響!

起きてよ

大ニュース!

…ん

布団に蹲っていた響がもぞもぞと動く。

空いた隙間から、いつもの静かな目がこちらを捉えた。

…何

無言でその画面を見せる。

そしてすぐに、響が目を見開いた。

…え、五十万行ってる…?

夢?

え?…ええ!?

初めてこんなに伸びたよ

自信作だったから嬉しい…!

…信じらんない…!

俺たちのMVが

たくさんの人に、見て貰えてる…

頬を赤らめて笑う響の目は、 少し涙で潤んでいる。

ほんと、すごいよ

…でも、響の才能は五十二万回じゃ足りないね

…鳴の才能は百万でも足りない気がする

二人ならまだまだ伸ばせる気がするよ

…これからも、よろしくね

"相棒"

…そう言って握手した響の手は、 いつもより温かかった。

……

響は、少しだけ寂しそうな顔をする。

…響?

…あっ

……よろしく、相棒

響はそう言って笑みを浮かべたが、 あの寂しげな雰囲気は抜けなかった。

──この物語は、

響が死ぬまでの10日間を描いた物語。

俺らが五十万回を突破した日。 その十日後に、

響は、飛び降り自殺で、死ぬ。

あいつの、あいつだけの、 52ヘルツの叫びを。

俺の、 届かなかった望みを。

どうか、最期まで見てほしい。

傍観者のあんたらは、 どうせ助けてくれないから。

52ヘルツ、響かせて

連載開始

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初っ端から不穏で楽しみ!

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