画面に映る数字を数えてみる。
一桁、二桁、三桁… 六桁まであったそれは、その動画の視聴数を指し示すものだ。
…五十二万回。
それは、俺らにとってとても嬉しい数字だった。
何せ新記録なのだ。 俺としても、とても誇らしい。
鳴
鳴
鳴
響
布団に蹲っていた響がもぞもぞと動く。
空いた隙間から、いつもの静かな目がこちらを捉えた。
響
無言でその画面を見せる。
そしてすぐに、響が目を見開いた。
響
響
響
鳴
鳴
響
響
響
頬を赤らめて笑う響の目は、 少し涙で潤んでいる。
鳴
鳴
響
鳴
鳴
鳴
…そう言って握手した響の手は、 いつもより温かかった。
響
響は、少しだけ寂しそうな顔をする。
鳴
響
響
響はそう言って笑みを浮かべたが、 あの寂しげな雰囲気は抜けなかった。
──この物語は、
響が死ぬまでの10日間を描いた物語。
俺らが五十万回を突破した日。 その十日後に、
響は、飛び降り自殺で、死ぬ。
あいつの、あいつだけの、 52ヘルツの叫びを。
俺の、 届かなかった望みを。
どうか、最期まで見てほしい。
傍観者のあんたらは、 どうせ助けてくれないから。
52ヘルツ、響かせて
連載開始
コメント
2件
初っ端から不穏で楽しみ!