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誰かの記憶

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誰かの記憶

2 - 水無月 迅 〜After story〜

♥

104

2021年07月04日

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こちらのストーリーは
銀茶さんの参加型の
後日談となっております!

ネタバレの可能性があるので
読破後をお勧めします!

それでも良い方は…どうぞ!

水無月 迅

……ふむ

Cafe 猫の耳 玄関前で 1人の女性が考え事をしながら これから外に出るであろう 人物を待ち構えていた

水無月 迅

瑠衣代が言っていた
新統合都市伝説の一つ…
世界的怪盗団のアジト…

水無月 迅

特別な注文をすれば
誰でも中に入る事が出来るが
ノーヒントでは実に難解…

水無月 迅

綿葉が言っていた
おかしい建物の構造…
隠し部屋がありそうとも…

水無月 迅

明らかに只者では無い
喫茶店の店主…

水無月 迅

さらには、真琴と面識がある…
何かしらはあるな…うん。

喫茶店の謎を解明しようとするも 疑惑の殆どが想像や噂で 確証にまでは至らない

水無月 迅

…あの時は此方が
頼み事をした立場であったから
深くは考えなかったが

水無月 迅

此処からはプライベートだ
真琴の事について何か
分かるかもしれないし
周りから崩させて貰うぞ。

丁度喫茶店から出てきた人物に向け 微笑みながらこう言う

水無月 迅

久しぶりだな、"笹原恵"さん

笹原 恵

えっ…?あの…

水無月 迅

名前は真琴から確認しておいたよ
…人違い、では無い…よな?

笹原 恵

あ、はい!私が笹原恵です。
なるほど…真琴さんが…!

水無月 迅

前は濁されたが…
やはり知り合いなのか?

笹原 恵

そ、そうですね。
前に一緒にアルバイトしてて…

水無月 迅

アイツがバイトか…
苦労しなかったか?

笹原 恵

これと言っては…
無い、ですかね?

水無月 迅

(真琴と居て苦労しない…⁇
珍しい事もあるものだな…)

笹原 恵

(この人も苦労してるのかな…)

水無月 迅

ゴホン…本題に戻そう

笹原 恵

あ、はいそういえば、
今日はどうしたんですか?

水無月 迅

急ですまないんだが
今日、この後時間あるか?

笹原 恵

えっと……大丈夫ですよ〜

水無月 迅

ありがとう。
ついて来てくれ

笹原 恵

はい!

笹原 恵

(後でお母さんに
メールしておかないと…)

笹原 恵

(それにしても…
今からどこに行くのかな…)

水無月 迅

笹原さん?

笹原 恵

今行きます!

水無月 迅

(やはりいきなり
距離を詰め過ぎたか…?
怖がらせてしまったのなら
後で謝らないとな。)

2人は道中他愛もない話をしながら こじんまりとした施設に来ていた

笹原 恵

こんな所に水族館があったん
ですね…知りませんでした…

水無月 迅

水族館…ね…

笹原 恵

え?

水無月 迅

いや、失礼。
行きつけの所なんだ。

男性

これは水無月様。
今日もいつもの所で良いかい?

水無月 迅

あぁ、頼む。

男性

了解したよ。

笹原 恵

…?

笹原 恵

あの、やっぱり私…

水無月 迅

そうか、説明も無しだったからな
不安になるのも仕方ないか。

水無月 迅

薄々気付いてるんじゃないか?
周りの奴らの目を見ればな。

笹原 恵

…皆さん、わくわくしてる?
心からリラックスしてるような

笹原 恵

それと…只ならぬ気配が

少女から一粒の汗が流れる

水無月 迅

確かに一見水族館だが
私達の隠れ場所でもある

男性

準備は終わったよ。
いつでもどうぞ。

水無月 迅

ありがとう

水無月 迅

こっちだ、笹原さん

笹原 恵

あの…大丈夫なんですよね?

水無月 迅

勿論。

通路を通り広い部屋に入ると 少し遠目に置かれた的や 机に綺麗に並べられた銃が目に入った

水無月 迅

………

少女の反応を横目で見る

笹原 恵

………凄い

笹原 恵

此処は…水無月さんの練習場
だったんですね…!

水無月 迅

…どんな反応をすると思いきや
一般人だったらドン引きだぞ

笹原 恵

あはは……今だと
戦争も知れ渡ってますし
意外と私みたいな反応も
少なくはないと思いますよ?

水無月 迅

そうなのか?
やはり第三者の意見は参考になるな

水無月 迅

…見た所、笹原さんも
銃の扱いには慣れてそうだな

笹原 恵

えっ?あはは…
(誤魔化せないな…)

笹原 恵

そうなんですよね、
私銃とかにも興味あって…

水無月 迅

うむ、良い趣味だ。

笹原 恵

そうですか…?

水無月 迅

ちょっと打ってみないか?
…的は少し遠目だが。

笹原 恵

は、はい!

彼女はさっと小型の銃を手に取り BB弾を素早く入れる

笹原 恵

ふぅ…

水無月 迅

………

一呼吸置いた後引き金を引く

パァン‼︎

水無月 迅

水無月 迅

………は…?

笹原 恵

あ…やっちゃった…

彼女が撃った弾は… なんと的のど真ん中に当たっていた

迅はまさに開いた口が塞がらない状態だ

水無月 迅

お、おい!君!

笹原 恵

わっ!な、何ですか…⁉︎

水無月 迅

もし良かったら…うちに来ないか?
返事は今すぐじゃなくて良い、
ゆっくり考えて…

笹原 恵

水無月さん。

水無月 迅

あ…すまない。

笹原 恵

私、今の生活が大好きなんです。
だから…私は行けません。
何度誘われても、お断りします。

彼女は申し訳ないように深く頭を下げる

水無月 迅

そうか、分かった。
人に強制するのは好きではない。
潔く君の事は諦めるよ。

笹原 恵

ありがとうございます…!

水無月 迅

それにしても…
あの技術は趣味の範囲なのか?
何か特殊な訓練を受けてるんじゃ…

笹原 恵

えっと…それは…

マフィン

キューーーー‼︎

水無月 迅

なっ

彼女の来ていたパーカーのフードから 1匹のハムスターが飛び出し 迅の顔に引っ付く

水無月 迅

ハム…?おっ、おい
どうすれば…

中々離れないハムスターに対し どの位の力で触って良いのか分からず あたふたとしている

笹原 恵

マフィン!起きたの⁉︎
水無月さんから離れてあげて!

マフィン

キュ〜

飼い主の呼び掛けに反応し パッと迅の顔から離れ 彼女の手の平の上に寝転がる

水無月 迅

…驚いたな

笹原 恵

すいません!

笹原 恵

水無月さんもペットが?

水無月 迅

いや、問題ない。
動物は可愛いしな、

水無月 迅

私は亀を飼っているよ。
よく居なくなって困るがな。

笹原 恵

マフィンは逆に
ずっとくっついてますね〜

水無月 迅

動きは遅いが努力感が
かい見えてだな…

笹原 恵

もぐもぐってご飯を
食べるのが可愛くて…

マフィン

キュ〜

笹原 恵

鳴き声が可愛い‼︎

水無月 迅

亀の良さも知って貰いたいな。
今度私の家に─────

こうしてうちの子自慢は数時間程続き…

男性

水無月様、時間だよ…
って、一発しか撃って
ないじゃないか…

水無月 迅

あ、あぁすまない。
少々熱論になってしまってな

笹原 恵

少々と言うか結構…

水無月 迅

…今日はありがとう

男性

今度はちゃんと撃とうね?

水無月 迅

本当にすまない。

笹原 恵

あはは…

施設から出た後 彼女が「少し休みませんか?」との提案 彼女の行きつけのカフェに行く事にした

水無月 迅

行きつけのカフェと言うから
猫の耳かと思いきや
まさか違う所とはな。

笹原 恵

あはは…すいません。
ほら、顔見知りが居る所じゃ
気まずいですし…ね?

水無月 迅

一理あるな。
私の配慮が足りなかった

笹原 恵

いえいえ…!

女性店員

ご注文はお決まりでしょうか?

マフィン

キュー!

笹原 恵

あ、はい!
メロンソーダ…お願いします。

水無月 迅

…私はブラックコーヒーで

女性店員

かしこまりました。

少々彼女の反応に違和感を感じたが 気にする事でもないだろうと思い 疑問を頭から流した

笹原 恵

…そう言えば。
どうして迅さんはリフィックスに?
戦争で死ぬ可能性もありますよね?

水無月 迅

…話すと長くなるが良いか?

笹原 恵

構いませんよ!

水無月 迅

ごほん、あれは世界記録を塗り
替えた競技会の日だったかな…

ざわざわと会場に集まった 観客達が騒いでいる

観客

おい、さっき向こうの選手が
とんでもない記録を出したそうだぞ!

観客

おぉ、なんでも大戦前の
世界記録を塗り替えたらしいな。

どうやら今回の競技会で過去から 現在までで最長距離を撃ち抜いた者が 現れたとのことだ

白髪の女

ほへ〜、聞いたっすか?
4キロ先の的に当てたらしいっすよ。

ピンク髪の男

えぇ、そうらしいわね。

白髪の女

そんな遠くから撃たれちゃ
こっちはどうしようもないっすね〜

ピンク髪の男

因みにアンタはどれぐらい先まで
当てられるようになったの?

白髪の女

ん〜、あれから練習は
したんっすけどね。

白髪の女

やっぱ狙撃銃は私には
向いてないみたいで調子良くて
精々800メートルぐらいっすね。

ピンク髪の男

まぁその距離なら
十分実戦でも使えるぐらいよ。

白髪のロングヘアに黒のスーツにサングラスの女と同じく黒のスーツに身を包みピンクの眼鏡と髪の色をした大柄の男が会場の隅でなにやら話し込んでいる

ピンク髪の男

それで、今回スカウトしよう
って人物はまさか
その世界記録を出した人?

白髪の女

いやいや、違うっすよ。

ピンク髪の男

ふーん、じゃあどんな人?

白髪の女

んー、皆が注目しない化け物っすね。

ピンク髪の男

へぇ、それは楽しみね。

白髪の女

まぁこれからその人の番っすから
見ててくださいっす。

白髪の女が視線を向ける先の選手入口から 自前の年季の入ったライフルを 担いだ女性が現れる

ピンク髪の男

あれモシン・ナガン?

白髪の女

そうっす。
今時珍しい骨董品っすね。

ピンク髪の男

ロシア帝国の頃に作られた
名作ではあるけど1920年頃
には生産中止された銃ね。

白髪の女

さすがゴリアちゃん、
博識っすね…あいだ!

ピンク髪の男

次言ったら落とすわよ。

白髪の女

あいたた、パワハラっす…。

ピンク髪の男にゲンコツを食らった女は 頭を押さえ再び選手へと視線を向ける

会場にいた他の観客から クスクスとした笑い声や会話が聞こえる。

観客

おい、あの子マジか。

観客

あんな古い銃な上に
スコープも年代物だぞ。

観客

見た目可愛いガンマニアか?

小馬鹿にする様な内容であるが 少し距離がある為聞こえてはいないだろう

判定員

準備はよろしいですか?

水無月 迅

あぁ、大丈夫だ。

選手のそばにいる判定員が 声をかけて選手がそれに応じる

判定員

では、5発中3発の命中で
合格となります。
距離の指定をお願いします。

水無月 迅

それじゃあ…
とりあえず1.5キロからで良い。

判定員

え?1.5キロですか?
他の方は500メートルぐらいから
始められてますが…。

水無月 迅

大丈夫だ。

判定員

わかりました。

判定員は無線で選手が指定した 距離を伝えて1.5キロ先に的が配置され 会場のモニターに選手の名前と 挑戦する距離が表示される

観客

おいおい、あの子マジか…

観客

冷やかしか?

観客

近い距離で挑戦とかならあるだろ。

観客達は白けた様な口ぶりで話している

ピンク髪の男

水無月…迅?

白髪の女

そうっす、迅ちゃんっすね。

ピンク髪の男

ちゃんってアンタ…

白髪の女

ほらほら、スポッティングスコープ
覗くの終わったみたいっすから
始まるっすよ。

白髪の女は楽しそうに ニヤニヤと迅を見つめている

選手が集中する邪魔を防ぐ為に 観客達に合図が出され 会場は水打ったような静けさになる …そして迅の持つ銃から銃声が鳴り響く

銃を構えた姿勢を一度解いて 迅は納得いかない様に少し首を傾げ 再び銃を構え次の弾を装慎する 1発目の銃弾はどうやら的から外れた様だ

そしてスコープを覗き呼吸を整えた 迅は引き金を引くと 素早い動作でリロードをして 再び引き金を引く

この動作を2回、計3発の銃弾が 発射された事になり 会場にテンポよく3回の発砲音が響いた

判定員

1発命中、3発の失敗を確認。

判定員が手を挙げて迅の結果を言い渡す

水無月 迅

ん?

判定員

残念ながら失格です。

水無月 迅

おい、ちょっと待て。

判定員

なんでしょうか?

水無月 迅

当たってるだろ?

判定員

はい、手元のモニターで
確認していますが1発命中です。

水無月 迅

あー…、いや、そうか。

判定員

残念ですが、
また次回の挑戦を
お待ちしています。

少し納得のいかない様な表情で 頭をポリポリと掻きながら 迅は入場してきた出入り口に向かった

観客

ほら、やっぱり無理なんだって。

観客

まぁいきなりあの距離だしな。

観客

でも当てた1発はど真ん中で
リロードもかなり早かったぞ。

観客

いやいや、当たらなきゃ
意味ないだろ。

観客

まぁ、そりゃそうだ。

観客達は迅に嘲笑を向けるが 白髪の女は先程よりニヤニヤとした 表情でピンク髪の男に向き直る

白髪の女

んふふ〜、
どうっすか?どうっすか?

ピンク髪の男

…凄いわね、あの子

白髪の女

でしょ!でしょ!

ピンク髪の男

あのスピードでリロードして
2連続でワンホール決めてたわね。

白髪の女

判定員もまさかワンホール2連続
とは思わなくて失格にしてる
見る目なしっすけど、
さすがゴリアちゃん♪

ピンク髪の男

死にたいの?

白髪の女

お断りっす!

ピンク髪の男

まぁいいわ、とりあえず他の会社が
向こうの世界記録に気を取られてる
間にあの子に唾付けておくわよ。

白髪の女

はーい!

水無月 迅

ふーむ…
もう少しごねるべきだったか?

荷物を纏めた迅はもう用事が なくなった会場を後にしようと 帰路に着こうとしていた。

水無月 迅

まぁ仕方ない、
ルールだからな。

白髪の女

ふっふっふ、
そこの人ちょっと待ったっす!

水無月 迅

ん?

白髪の女

ちょーっとお姉さんと
デートでもしないっすか?

水無月 迅

は?何を言ってるんだ?

白髪の女

ふふふ…私は怪しいけど
不審者じゃないっすよ!

水無月 迅

いや、十分不審者だが…

ピンク髪の男

このアホ!

白髪の女

あいだ!

ピンク髪の男

うふふ、ごめんなさいね♡
この子頭がちょっとアレだから…

水無月 迅

あ、いや…大丈夫だ…

白髪の女

あいたた…、酷いっすよ
ゴリアちゃん…あいだ!

ピンク髪の男

次、死刑ね。

水無月 迅

…帰りたいんだが。

ピンク髪の男

あはは、ごめんなさいね
私達こういう者なの。

ピンク髪の男が迅に名刺を渡す

水無月 迅

リフィックス重工業…
特殊都市開発準備室。
室長マリア・ドロップ…?

マリア・ドロップ

気軽にマリアって
呼んでちょうだい♡

白髪の女

本名は田中 龍一さんっす。

田中 龍一

その名は捨てたわ♡

燕 真琴

あ、私は燕 真琴っすよ。

水無月 迅

そ、それでその2人が
私に何の様だ?

燕 真琴

んふふ〜、ちょーっと
付き合ってくれればいいんっすよ。

水無月 迅

断ると言ったら?

迅は半歩後ろに下がり身構える

燕 真琴

うふふ、貴女が背負ってる
ライフルか懐にあるハンドガン
抜く前に腕一本折られる覚悟
して欲しいわね。

水無月 迅

ほう、よく分かったな。

燕 真琴

まぁこれでも元プロっすからね
…あいだ‼︎

マリア・ドロップ

こんのドアホ‼︎
脅してどうすんのよ!

燕 真琴

いやほら…穏便に
ことを進める為に…

マリア・ドロップ

進んでないでしょ…

水無月 迅

…ふはは、分かった。
大人しく連れ去られる事にしよう。

マリア・ドロップ

あら、いいの?

水無月 迅

あぁ、その燕さんだったか?
とやり合ってもこの距離じゃ
勝てなさそうだしもし勝てても
マリアさんには勝てそうにも
無いからな。

燕 真琴

うんうん、賢明な判断っすね。
ゴリアちゃんと戦うなんて
人間やめないと無理っす…あいだ!

マリア・ドロップ

あんたは黙ってなさい。

燕 真琴

今日5回目っすよ…。
流石の私でも頭かち割れるっす。

マリア・ドロップ

もう1発オマケつける?♡
かち割ってあげるわ♡

燕 真琴

いらねっす。

マリア・ドロップ

まぁとりあえずここだと何だし
ウチの会社まで一緒に
来てくれるかしら?水無月さん♡

水無月 迅

あぁ、わかった。
さっきも言ったが
大人しく連れ去られるよ。

燕 真琴

んふふ〜、これから
よろしくっすよ迅ちゃん。

3人は揃って会場を後にし リフィックス重工業の本社へと 向かう車に乗り込んだ

水無月 迅

とまぁ…こんな所かな。

笹原 恵

真琴さん…また手荒い事
してますね…誘拐って。

水無月 迅

苦労する事も多かったが
…楽しかったからな。

笹原 恵

皆さん、仲良さそうで
わたしも嬉しいです。

水無月 迅

…何故笹原さんが、
と言いたい所だが…ありがとう。

笹原 恵

今も真琴さんは
その…リフィックス?
に居るんですよね?

水無月 迅

…今は居ない。

笹原 恵

え?

水無月 迅

急な出向でな…
光の様に飛んでったぞ。

笹原 恵

そうなんですね〜…
(1回位会いたかったな…)

水無月 迅

まぁアイツなら
またフラッと戻ってくるだろ
気にする必要がないな。

笹原 恵

それもそうですね…!

水無月 迅

…これからの事について
少々心配な事はあるが。

笹原 恵

…?やっぱり真琴さん…

水無月 迅

いや、真琴もそうなんだが…
私も少しの間遠出しなくては
いけなくなってな…。

笹原 恵

水無月 迅

私宛にお達しが来てな、
"未来機関"とやらに出張するんだ。

水無月 迅

最初は真琴と同じ様な形だったが
ゴリ…マリアさんが
「ウチの戦力落ちるじゃない‼︎」
と上に吠え散らかしてな。
なんとか出張という形にして貰った

水無月 迅

…って君に話す様な内容では
無かったな、すまない。

笹原 恵

未来機関…ですか。

水無月 迅

どうかしたか?

笹原 恵

いえ!何でもないです。
でも、それだけ迅さんが
頼りにされてるって事ですよね

水無月 迅

良いんだか悪いんだか…な。

笹原 恵

…やっぱり憧れますね。
力強い背中を持ってる人は。

マフィン

キュ?

水無月 迅

ありがとう…?

水無月 迅

(…私は)

水無月 迅

(君が思う様な強い人間に
なれたのだろうか…。)

水無月 迅

(何か変わっていると良いな。)

水無月 迅

("あの時"から)

迅は眼帯に触れながら 今でも鮮明に覚えている記憶を思い出す

迅の戦争初参戦時の事…

水無月 迅

【戦況はどうなってる?】

マリア・ドロップ

【残ってるチームはウチと後1。
そこのリーダーらしき人は真琴と
今追いかけっこ中よ。】

水無月 迅

【それは…お気の毒にな。】

燕 真琴

【それどうゆう意味っすか?】

マリア・ドロップ

【ちょ…!アンタ…。
追いかけっこは終わったの?】

燕 真琴

【いやぁ〜。意外と足早くて…。
中々距離縮まらないんすよ〜…】

マリア・ドロップ

【だったら尚更話してる
暇なんてないでしょ‼︎】

燕 真琴

【ん〜、実はっすね。
お相手さん迅ちゃんの方向に
走っていってるんすよ。】

燕 真琴

【迅ちゃんにお願い
しちゃっても良いっすか?】

マリア・ドロップ

【アンタが楽したいだけでしょ‼︎】

燕 真琴

【いやいや私も考えてるっすよ。
開始10分間の迅ちゃんの
敵チーム代表2人抜き。】

燕 真琴

【あれで迅ちゃんへの
注目は集まってる筈っす。
上からの印象良くする
今までに無いチャンスっすよ!】

マリア・ドロップ

【納得できる理由なのが
腹立つけど…迅、いける?】

水無月 迅

【問題ない。】

燕 真琴

【じゃ、任せたっす!】

マリア・ドロップ

【悪いわね、初めてなのに。】

水無月 迅

【いや、大丈夫だ。】

マリア・ドロップ

【それじゃ、当てたら
回らない寿司食べさせて
あげるから♡】

燕 真琴

【え!なんすかそれ!
私も食べたいっす!】

マリア・ドロップ

【アホ、連れてく訳ないでしょ】

燕 真琴

【ゴリアちゃん〜…】

マリア・ドロップ

【全く響かないわ、
あと引っ叩く。】

燕 真琴

【田中 龍一さん頼むっす〜…】

田中 龍一

【分かったわ♡ご褒美として
私と特訓ミッチリ1週間コースを
プレゼントしてあげる♡】

燕 真琴

【いらねっす。】

水無月 迅

【…おい、ふざけてないで
追いかけっこしててくれ。】

燕 真琴

【との事っすゴリアちゃん!】

マリア・ドロップ

【まだ言うかコラ、
とっとと集中しなさい。】

燕 真琴

【あ、そう言えば
残ってるの1人だけ
じゃないっすよね?】

マリア・ドロップ

【…そう言えば。
どこ行ったのかしら。】

水無月 迅

ふぅ…

心を落ち着かせようと思い 銃を構えた瞬間、全身に寒気がし 後ろを振り返る

水無月 迅

誰だ…‼︎

赤髪の男性

…撃たないでください。

男性は手を頭に置いて 降参する様な素振りをしている

水無月 迅

何でわざわざ現れた。
降参するなら隠れてれば良いだろ

赤髪の男性

話を…聞いて欲しくて…
俺について来てくれませんか?

水無月 迅

………

水無月 迅

(殺す気…だよな。)

水無月 迅

悪いが…

赤髪の男性

俺には妹が居て…
今回の戦争で、だからっ…
お願い…お願いします。
俺について来てください‼︎

水無月 迅

……っ

引き金を引く手が震える

水無月 迅

(今のは、本心だった。)

水無月 迅

【真琴、マリアさん。
悪いがそっちの代表は
早急にそっちで殺してくれ】

マリア・ドロップ

【え?それどうゆう…】

ブチッ

水無月 迅

(すまない…)

水無月 迅

銃口は、向けさせて貰うぞ。

赤髪の男性

…はい。

マリア・ドロップ

ちょっと迅‼︎迅⁉︎

燕 真琴

【…こりゃマズいっすよ。】

マリア・ドロップ

アンタ、聞こえてたでしょ?
どうゆう訳か知らないけど
代表はアンタが殺しなさい。

マリア・ドロップ

…待って、マズいって何?

燕 真琴

【すまねぇっすゴリアちゃん】

【代表何処にも居ないっす…】

水無月 迅

(戦争終了の合図はまだか?
真琴…どうなってるんだ?)

水無月 迅

(やっぱりまた通信機を
ONにしなくてはか…?)

水無月 迅

(この人との話の
邪魔になると思って
切ったのだが…失敗だ。)

赤髪の男性

あの

水無月 迅

…なんだ?

赤髪の男性

本当にありがとうございます。
俺、戦争をもう辞めたくて…
何度言っても掛け合ってくれなくて

男性は上空を見上げ テレビ局のヘリを見つける

赤髪の男性

妹は…今も見てるんですかね。

水無月 迅

妹に会いたいのか?

赤髪の男性

はい、まともに休暇も
とらせて貰えませんでしたから。

赤髪の男性

だから…本当に…

赤髪の男性

"ありがとうございます"

水無月 迅

……

迅は銃を持つ手に力を入れた

敵兵代表

おっと、撃つなよ。
この森にはそこら中に
爆弾が仕掛けてある。
…俺にもな。

水無月 迅

面倒な事してくれるな…

水無月 迅

(真琴は一体何を…)

赤髪の男性

………

敵兵代表

…お前にしては
上手くやったなぁ。

赤髪の男性

ありがとうございます。
それじゃあ、俺は射程範囲外に
退避してますので…

敵兵代表

何言ってんだ?

赤髪の男性

え?リフィクス工業の兵を
1人でもここに連れて来れば
俺の任務は終了なんじゃ…

水無月 迅

カチ

敵兵代表

お前は、ここで死ぬんだよ。

赤髪の男性

そんな…言ったじゃないですか!
妹に会うから辞めると何度も!

敵兵代表

あぁ…何度も何度も何度も何度も。
言ったよな…憎たらしい程に…‼︎

敵兵代表

俺の兄弟はもう皆死んでるのに‼︎
お前ばっかり幸せそうな顔
しやがって‼︎ムカつくんだよ‼︎

バンッ

銃声が大きく鳴り響き 迅が撃った弾丸は代表の頭に向かうが 後1歩の所で避けられてしまう

敵兵代表

ちっ、危ねぇなぁ‼︎

水無月 迅

(今のを避けるか…
これは1度退避を…)

敵兵代表

道連れだ、地獄で仲良くしような‼︎

水無月 迅

(……ッ!)

もう1度弾を放つが またも易々と躱されてしまう

水無月 迅

(何で当たらない…!何故…!)

赤髪の男性

(逃げなきゃ‼︎)

男性は迅と反対側に走り出す

水無月 迅

……‼︎

「ごめんな…いつも会えなくて。」

「ううん、平気。私お兄ちゃんが   誰よりも優しい人なの知ってるから」

「お兄ちゃんのそういう所」

「1番好きだからさ」

赤髪の男性

(…ぁ)

男性は此方に向き直り 迅を抱えて走り出す

水無月 迅

ぅお

赤髪の男性

ごめん!ごめんなさい‼︎

敵兵代表

カチッ

ドガンッ‼︎‼︎

迅は抱えられながら 一瞬にして辺りが火の海になるのを見た

飛び散った細かい木片や尖った岩が 此方に雨の様に降り注いでくるのも

赤髪の男性

あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"っ‼︎

水無月 迅

っ…‼︎

グシャ

他の物よりも少し大きめな岩の破片が 此方に飛んできた後 視界が薄暗くなって行き さらに電撃の様な痛みが全身に走る

水無月 迅

……‼︎…‼︎

猛烈な痛みに声も出ない

戦争終了のサイレンを聞きながら 迅は少しずつ意識を手放していった

水無月 迅

……?

目が覚めた場所は真っ白な空間 病院だと気付くのには少し時間がかかった

燕 真琴

あ‼︎目が覚めたっすよ‼︎

水無月 迅

うっ…

突然の大声に頭がズキズキする

マリア・ドロップ

病院では静かに‼︎
アンタはガキか‼︎

水無月 迅

いっ…

燕 真琴

多分ゴリアちゃんの声の方が
迅ちゃんにダメージ入ってる
と思うっすよ。

マリア・ドロップ

…後で殴る。

水無月 迅

…生きてたんだな、私。

マリア・ドロップ

…全治1ヶ月との事よ。
アンタと一緒に倒れてた
男が庇ってくれたみたいね。

燕 真琴

最初敵兵の男の人と
銃持った迅ちゃんが
血だらけで倒れてたのは
肝冷やしたっすよ。

マリア・ドロップ

アンタが見失わなければ
こんな事にはなら
なかったんだけどね。

燕 真琴

…閃光弾だけならまだしも
カラーボール拭った途端
もうお相手さん居なかったんす。

水無月 迅

真琴のせいじゃない…。
私が通信機を切ったのが
そもそも間違いだった。

マリア・ドロップ

まぁ途中で電源入れて
大体の位置が分かったのは
アンタの生死の別れ所よ。

水無月 迅

…そう言えば、
敵兵の人は?今どこに?

マリア・ドロップ

自分の体より敵兵の心配?
…隣の部屋に運ばれたから
動けるなら自分で見て来なさい。

水無月 迅

…分かった。

松葉杖を使いながらゆっくり歩き出す

燕 真琴

良かったんすか?言わなくて。

マリア・ドロップ

アンタは黙ってここに居なさい。

燕 真琴

…了解っす。

水無月 迅

……此処か?

ドアに手を掛ける

女性

お兄ちゃん‼︎
何で⁉︎何で‼︎

女性

何で庇ったりなんかしたの?
敵兵の人でしょ?何で⁉︎

女性

そんな奴‼︎
ほっとけば良かったでしょ‼︎

水無月 迅

っ…

医師

お兄様は、もう…

女性

五月蝿い‼︎五月蝿い…‼︎
やだよ…お兄ちゃん‼︎

妹と思わしき人物の悲痛な声が響く

その一言一言は迅の心を抉るのには 十分な言葉だった

水無月 迅

(何やってんだろうな)

水無月 迅

(何の為に、私は…)

マリア・ドロップ

迅。

水無月 迅

…マリアさん。

マリア・ドロップ

此処からは貴女の
自由に選択して良いわ。

マリア・ドロップ

これからも…この仕事を続ける?

水無月 迅

…私には、向いてない
のかもしれないな。

マリア・ドロップ

……

水無月 迅

だが、私は戦争を続ける。

水無月 迅

(1人でも、救われるように)

マリア・ドロップ

本当に?その目でも…?

もう殆ど見えない左目に手を置く

水無月 迅

良いんだ。この位。

水無月 迅

"寧ろ見やすくなった"。

マリア・ドロップ

あ…そう。
アンタらしいわ。

水無月 迅

これからもよろしく頼む。

マリア・ドロップ

えぇ、こちらこそ。

水無月 迅

(もうこの呪縛からは
逃れられないだろうな)

ただ、私は

強くありたいと願う

水無月 迅

今日は私の我儘に
付き合って貰って悪かったな。

笹原 恵

いえ!楽しかったです!

マフィン

キュ〜♪

水無月 迅

では、また今度会おう。…恵さん

笹原 恵

…はい!さようなら!

マフィン

……

「恵と遊んでくれてありがとうね」

水無月 迅

ぇ?

聞いた事のない声が聞こえ 振り返るがそこには通行人ばかりだ

水無月 迅

(気のせいか…?)

笹原 恵

あれ?迅さん何か落とした?

笹原 恵

…写真?

笹原 恵

今日は楽しかったね〜マフィン!

マフィン

キュ〜

笹原 恵

リフィックスの事も
色々知れたし…、?

マフィンと話していた所 不審な女性を見かける

女性

あれが…水無月迅。

笹原 恵

ねぇマフィン。

マフィン

…?

笹原 恵

私も…強くなれるかな。

マフィン

キュ…!

1人の少女は勇気を振り絞る事になる

水無月 迅

なんだか新しい友達が
出来た時の様だな…

水無月 迅

出張…か。

「良い男居たら紹介しなさいよ♡」

「お土産期待してるっすよー」

「課長が居ない分頑張るノネ!」

「えっと〜仕事沢山貯めときますね〜」

「腕に磨きをかけておきますので。」

「…行ってらっしゃい」

「ふん、楽しんで来なよ?」

「早く戻ってくれると助かります」

水無月 迅

ふふ、早く帰らなければな。

「ほら!迅ちゃん撮るっすよ〜」

「む…写真は苦手なのだが」

「業務用よ、諦めなさい。」

「ほら!笑って笑って!」

「こ、こうか…?」

パシャ

この作品はいかがでしたか?

104

コメント

10

ユーザー

見るのめちゃくちゃ遅くなった…… すごい……←語彙力消滅 最後他の参加者たちのキャラも少し出ている……()

ユーザー

わー!最高・:*+.\(( °ω° ))/.:+ こちらこそいつも参加してくれてありがとう(*´꒳`*)

ユーザー

うぅ...言葉がでない...翔さんの作品を閲覧するときの注意、言葉を失う恐れがあります...的な((

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