テラーノベル
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それから毎晩、俺たちは会った
薄暗い屋根裏部屋で
たった一本の蝋燭に火を灯して。
彼と過ごす時間は、何よりも楽しかった
2人でいる時間は貴重で、大切で...
俺の全てが、彼を求めていた
ur
相槌を打つ彼。
何もかもが愛おしい
嬉しそうな顔も
悲しそうな顔も
全てが。
そして、朝になるとこっそりと部屋を出ていく。
2人だけの秘密。
なんだか、ロマンチックで俺は好きだ
堂々と人前で話すことはできないけれど
こうやって2人だけの時間を作れることが、
何よりも幸せだった
そんな日々が続いていたある日のこと。
俺はため息混じりに歩いていた
今日は年に一度の舞踏会がある日。
あの許嫁とやらと踊らなければならないと思うと
あまりに憂鬱だ
...もしも
彼が俺と同じ立場であるのなら
今夜、彼と踊ることができるだろうか
もし彼と踊ることが出来たなら
舞踏会も、もう少し楽しみだったかもしれない
騒がしい大広間で、俺は1人突っ立っていた。
特にすることもなく、椅子に腰掛けていると
声をかけられた
許嫁
"彼女"だ
名前も知らない、"彼女"がそこにはいた。
ur
短く返事をする。
彼女と目を合わせられなかった
あの日から、俺は変わらなかった。
彼女は、"得の興味のない女性"から変わっていなかった
どこから来たのか、どんな性格なのか。
どんなことが好きで、どんなものに興味があるのか。
それを、俺は知らない。
知ろうとしない。
だから、どうしようとも、 彼女を好きになどなれなかった。
許嫁
そう、彼女は言った。
気まずそうに肩を落として。
俺の顔色を伺うように。
ur
何の変哲もない返事
俺にはこれが精一杯だった。
外は、静寂に包まれていた。
奇妙な程に静かな庭園で、彼女は口を開いた
許嫁
静かに問う彼女。
哀れだと思った。
なりたくもない"許嫁"にされ
知らない相手と結婚させられるかもしれない。
そんな現状の彼女には、 可哀想だという感情しか生まれなかった。
ur
ur
ur
許嫁
彼女はまた肩を落とし、短くため息をついた。
ur
ur
許嫁
彼女は黙った。
そのまま固まって、何も言わなくなった。
30秒程待っただろうか。
彼女が口を開く。
許嫁
ur
虹桃中学。
懐かしい響きだ。彼と青春を過ごした、 美しい思い出の残る学校だった
そして彼女は話した
俺に一目惚れしてしまったこと ずっと前から好きだったこと 自分を好きになって欲しいということ
ur
俺が言うと、彼女は俯く。
寂しそうに、地面を眺めて。
許嫁
許嫁
今にも泣きそうな声色だった。
体は震え、必死に手を抑えて。
ur
ur
彼女は、少しの間こちらを見つめたあと、
その瞳から涙を流した
月に照らされ、光を放っている
その涙は頬を伝って地面に落ちる
ゆっくりと瞬きをすれば、再び涙が顔を出す
彼女は両手で顔を覆った。
許嫁
そう言って振り返り、城へ走っていってしまった
何が間違っていたのか
分からなかった
女性を任せるなんて、人間として、男として、失格だ
それでも
彼のことが忘れられないまま、 彼女を好きになんてなれなかった
そんな言い訳を頭の中で繰り返しながら、城へ戻る。
彼女が行った道とは、違う道を通って。
コメント
7件
うわ" ぁぁ .ᐟ.ᐟ 中学校時代の🎸🐸も見てみたい. . .✨青春してそう ~ (笑) らぶらぶとかしてないK(((( 殴 大丈夫ですよ ~ .ᐟ遅くても見たいのは変わりませんし 、 自分のペースが1番だと思います .ᐟ.ᐟ 俺だってめちゃ遅いし(笑) メインずっとサボっt((((殴
今回も良かったです! 🎸🐸の関係がどうなっていくのか気になります👀✨ 投稿も主さんのペースで大丈夫ですよ〜😽
やっぱり神作はすげえ! そこに痺れる憧れるぅ!