私は、列車内である少女に目をつけ、話しかけてみた。
話をしていると、少女からある【ゲーム】を持ちかけられたのだ
男
友達がいない?

少女
最初の質問ですっ。
私はなぜ友達がいないのでしょうか?

男
え?

少女
聞きたいことがあれば、お答えしますよ。
もし答えをあてたら、私の話を教えます。

男
ふーん。では、質問一。

少女
はい!

男
友達がいないのは、自分のせい?

少女
……はい。

少女
友達がいないのは、私自身が悪いんです……

男
…では、質問二。

男
友達がいないのは、家庭が貧しいか、或いは裕福すぎるせい?

少女
違います。家は裕福じゃないけど、同じくらいの子は、そういう事情には気にしませんから。

男
…では、質問三。

男
君自身がなにか病気でも?

少女
病気…ちょっと違うけど、近いです。

どうやら友達がいない理由が聞き出せたようだ。
少女は俯きながら、不安そうに両手を弄っている
少女
あの、私。
小さい頃に交通事故に遭って、目が見えなくなりました。

男
すまない…嫌なことを思い出させた。

少女
あ、気にしないでください。
もう過ぎたことですから。
それに今はもう治りましたから。

そう言って、少女はまばたきをした。
人を魅了できるような、深い色だった
少女
元々あまり人付き合いがいい方じゃないから、目が見えなくなったあと、距離がもっと……

少女
変わろうと思いました。
でも、こんなんじゃ何をしても、他人の助けが必要でした。

少女
だから、友達なんて、
到底無理なことでした……

少女
結局、両親以外に…誰も私と喋らなくなったの。

男
…手術とか受けなかったの?

少女
しました…でも、おかしいんです。

少女
先生は角膜の移植は基本的に拒絶反応を起こさないといいました。

少女
でも、毎回手術した後に、
激しい拒絶反応が起きるんです。

少女
どれだけ手術しても同じで、それにお金も……
私は、だんだんと諦めていきました。

男
………………

少女
ふふっ、そんな深刻な顔をしないでください。

男
うっ……あぁ。

そう言われて、初めて自分の顔が強張っていることに気づいた
少女
続きが聞きたいなら、
表情を変えてくださいね。

男
あぁ、続けてくれ。

少女
目が見えないのは不便だけど、
しばらくしたら慣れました。

少女
でも、他の人に迷惑を掛けたくありませんでした。

少女
だから、慣れたあとでも、
あまり人と話しませんでした。

男
ずっと一人なのか?

少女
はい。
どうせ一人でも、大勢の人がいても、
私には見えませんから。

男
そんなふうに思っていると、歳をとった後でも、ずっと一人だよ。

少女
はい…私もそう思い始めました。

男
ふーん、
どうやらきっかけはあったようだね?

少女
はい。
一年くらい前に、父の仕事が原因で、
私たちは引っ越しました。

少女
あの日、私は一人で新しい環境を見て回ろうと思いました。

男
一人って…危なくない?

少女
慣れないといけませんから…
ずっと人に頼るわけにはいきません。

少女
でもやっぱり一人じゃだめでした。
階段を降りる時、私は踏み外しました。

男
えっ……

少女
あの時なすごく怖かったです。
頭の中が真っ白で……

少女
気がついた時には、
すでに柔らかいものの上に倒れていました。

男
柔らかいものって…
家の前に置いてあったゴミとかじゃないだろうね?

少女
ちっ違いますよ!

少女
物事をいい方に考えましょうよ。
ゴミだなんて、ロマンがありません。

男
あぁすまん。
ちょっとリアルすぎたね。

男
では、ロマンを交えて…
柔らかいものとは、人間?

少女
はい…
起き上がろうとする時“大丈夫?”という声が聞こえました。

少女
優しい声でした。
頭に伝わる吐息を感じました。

少女
そして、
その人はそっと私の体を起こしてくれました。

少女
“さっきはごめんね”
“怪我がなくて良かったよ”
って。

少女
その声の持ち主はそう言いました。

少女
自分が転んで人にぶつけたのに、
相手が先に謝るなんて、おかしいですよね。

男
おかしくないよ。
世の中にはいい人がいっぱいいるからね
私のように。

少女
ぷっ。

男
嘘じゃないが…
まぁいいや、続けて。

少女
私は彼に“わっ私の方こそごめんなさい”といいました。

少女
人と話すのは久々だから、
危うく謝る言葉も忘れそうになりました。

少女
相手は心配そうな声で
“今朝引っ越してきた人だよね?”と聞いてきました。

少女
私は頷きました。

少女
そしたら彼は、“床に落ちなくてよかった。今度階段を降りる時は気をつけてね”と言いました。

少女
でもあの時は焦ってしまって、
謝ったらすぐに手すりを頼りに降りていきました。

少女
2、3歩歩いたら、
後ろから彼の声が聞こえました。

少女
彼は、私の目の前に来て、
足を止めました。

少女
“目……”、彼はちょっと戸惑いました。
何を言おうとしたか、すぐに分かりました。

少女
普段出かける時も、周りからひそひそと何かを言われてる声が聞こえますから。

少女
人間は、障害がある人を見ると、
まるでエイリアンを見るような反応をしますから……

男
じゃあ、当たったのか?

少女
いいえ…当たりませんでした。

悔しいニュアンスが込められているが、
少女は笑った
少女
彼は少し考える素振りを見せたあと、
“よかったら周りを案内しようか?”
と言いました。

少女
まだ何も返事をしてないのに、
彼は私の手を取り、1歩ずつ、
ゆっくりと階段を下りました。

少女
彼の歩く速度は遅く、
手はとても暖かかったです。

少女
目が見えなくなって以来、
家族以外の初めての人のぬくもりを感じました。

少女
全ては突然起きた出来事だったけど、
あの手を離す気にはなれませんでした。

少女
相手はただの見知らぬ人、
信じられるかすらわからない人なのに…

男
ふーん、きっと、
突然の他人との触れ合いに緊張したのだろう。

少女
緊張はしました。
でも、その中にはなんとも言えないような感情が混じっていました。

男
どう?一人でいるよりも、
誰かと一緒にいる方がいいだろう?

少女
……そうですね。

少女
彼は下の階に住んでいることを知りました。
十八歳、私よりいっこ年上です。

少女
そのあと、私たちは友達になりました。
両親も凄く喜んでくれました。

少女
いつも彼の所へ行きました。
邪魔になるかもって思ったけど、

少女
彼は“どうせいつも家に居るしね”
って言ってくれました。

男
ちょっとまって、おかしくない?

少女
はい?

男
いつも家に居るって、あの歳だと、
学校は?

少女
確かに…私もそう聞きました。

男
彼はなんて言った?

少女
えへへっ、あててみてください。
