希花 葵
(そこで、目覚めたのは病院の天井だった。)
希花 葵
(私の回りを見ると、お父様とお母様が居た。)
希花 葵
お父様?お母様?
お父さん
!?
お母さん
!?
お母さん
大丈夫なの?!
希花 葵
うん、ほんのちょっと頭が痛いけど……
お母さん
そう……
お父さん
無事で良かった…
希花 葵
(お父様のこんな顔初めて見た……心配してくれてたんだ…)
希花 葵
えっと、私はどうしてここにいるの?
お母さん
貴方がある男の子と食事していて、急に倒れたらしいから、男の子が救急車を呼んでくれたのよ。
希花 葵
そっか……
希花 葵
(立希さんだ……)
希花 葵
(今度、お礼しないとな……)
希花 葵
(そんなこんなで、お母様とお父様で雑談していると病室の扉が開いた…)
医者
おはようございます。
医者
調子はどうてますか?
希花 葵
だいぶ楽になりました。
希花 葵
少し頭が痛いですけど……
医者
………
医者
大事な話があります。
希花 葵
?
医者
実は……
希花 葵
(あの話の後、お父様からの跡継ぎの話がなくなった。)
希花 葵
(跡継ぎは、妹がなるらしい)
希花 葵
お父様からは
お父さん
自由に生きなさい。
希花 葵
と言っていた。
希花 葵
(その後は、お父様がいった通り自由に生きました。)
希花 葵
(一目惚れした、立希さんと色々な所に行った。)
希花 葵
(正しくは、
「行かせてくれた。」)
「行かせてくれた。」)
希花 葵
(そして、最後の出掛けた後……)
希花 葵
(告白された。)
希花 葵
(付き合って下さい。と)
希花 葵
(そんな、紛れもない一文を…)
希花 葵
(その返事に私は)
希花 葵
ありがとう。嬉しいよ
立希 力
っ……!!
希花 葵
(立ち去ろうとした瞬間……)
立希 力
ちゃんと返事は返してくれないんですか?!
希花 葵
どうしたのよ、そんな慌てて……
希花 葵
二度と会えない訳じゃないでしょ?
立希 力
っ…
希花 葵
それじゃ
希花 葵
さようなら(小声)
立希 力
(あれから3ヶ月が経った。)
立希 力
(あの告白以来、先輩は学校に来ることはなかった。)
立希 力
(それから、僕は魂が抜けたような生活をして居た。)
立希 力
(そして、今日、先輩方の一人が亡くなったらしい。)
立希 力
(僕は、葵先輩のことばっか考えていて、気にしてなかった)
立希 力
(そして下校してる皆の顔が暗かった。)
立希 力
(僕だけ真顔というのもあれなので、すぐ、この状況から抜けたかった僕は、近くの墓地に行った。)
立希 力
(行ってる途中、20代後半の女性だろうか、)
立希 力
(挨拶をされ、僕も挨拶をした。)
立希 力
(誰かに挨拶したのは久しぶりだった。)
立希 力
(そして、そのまま通り過ぎてった女性……)
立希 力
(何だったんだろうと思いながら墓地に向かう。)
立希 力
逃げるために墓地に来るなんて、
立希 力
呪われそうだな…
立希 力
(そして点々と歩いてると…)
立希 力
(あるひとつの墓地に目を見張った。)
立希 力
(そこに掘られていた名前はなんと、)
希 花 葵
立希 力
?!!
立希 力
どうしてっ!
立希 力
(そこに携帯から一件の着信があった。)
立希 力
(そこにはなんと、葵先輩からのボイスメッセージがあった。)
立希 力
(僕は静かにそのボイスメッセージを聞いた。)
希花 葵
やっほー、聞こえてる?
希花 葵
これを聞いてるってことは、
希花 葵
見たんだよね?
希花 葵
私のお墓。
希花 葵
結果から言うと、
希花 葵
貴方の告白は、
無理です。
無理です。
希花 葵
分かってるよね?理由は、
希花 葵
私が貴方と付き合ったら
希花 葵
私が居なくなった時に貴方は悲しい気持ちを抱えていくことになるから。
希花 葵
告白される前からさ余命宣告されられてたの。
希花 葵
貴方の命はあと、5ヶ月です。って
希花 葵
だから告白されたときびっくりしちゃって!
希花 葵
余命宣告を言われたのもはショックだったし、何より告白を断らなければならなかったのがとても悲しかった。
希花 葵
悲しい運命、受け止めなければならない運命、切ない運命……
希花 葵
こっから先は覚悟して聞いてほしい。
希花 葵
私は
立希 力
そこで、僕は一旦停めた。
立希 力
覚悟を決めるために…
立希 力
大きく深呼吸する。
立希 力
そして、
立希 力
ゆっくりと再生ボタンを押す。
希花 葵
前からずっと好きでした。
希花 葵
出会った頃からずっと好きでした。
希花 葵
すごく愛していました。
希花 葵
だからこれは、一番最初の愛してる、で一番最後の愛しているです。
希花 葵
ありがとう、ずっと居てくれて
希花 葵
そしてさようなら。
立希 力
あ、あぁ
立希 力
(涙腺が崩壊した。)
立希 力
(葵先輩の墓の前で、ただ)
立希 力
(泣いた……)
立希 力
(あれから10年後……)
立希 力
(僕はあの日のことを一秒足りとも忘れたことはない…)
立希 力
(僕はあの日に先輩の分まで生きると決め、今は立派な社会人だ…)
立希 力
(先輩ありがとう……
貴方が居なかったら僕は今ここに居なかった。)
貴方が居なかったら僕は今ここに居なかった。)
立希 力
ほんとにありがとう…
立希 力
さようなら