華
流斗くん…それ…
流斗
久しぶりに黒染めしたわ
流斗
悪くねーだろ?
華
どうして
流斗
…俺も、変わろうと思ったから。
流斗
自分から動かねーと変わんねーだろ
華
…そうですね。
華
流斗くんがいいなら、私はいいんです
絵里
茅ヶ崎〜どうしたのその髪!
絵里
イメチェン!?似合ってんじゃん!
絵里
あ、まさか失恋とかー!?
流斗
うるせえ
さっきからずっとこんな感じでクラスの奴らに話しかけられる。
少し前まで遠巻きにしてたくせに
手のひら返しが上手いことで。
流斗
はぁ…
流斗
流石に疲れるっつーの
自分から動くとは言ったものの、人間そう簡単には変われないわけで。
どうしても冷たく当たってしまう。
雪
あの、茅ヶ崎くん…だよね
流斗
…誰
雪
あ、私クラスメイトの…
雪
吹雪、雪です。
流斗
寒そーな名前
雪
えへへ…よく言われます
雪
茅ヶ崎くんに伝えたいことがあって。
雪
ここでは…人目に付くので別の場所に移動しません?
流斗
いいけど
流斗
いいのかよ、図書室で話しても
雪
いいんです!
雪
それに私、図書委員ですから。
そう言って吹雪は、図書室の鍵を閉めた。
流斗
そういうことか。
流斗
で、話って?
雪
西園寺さんのことです
流斗
なんであいつの事を俺に…
雪
西園寺さん、茅ヶ崎くんが皆と仲良く出来るように
雪
クラスの皆に茅ヶ崎くんのことをずっと話してたんです。
流斗
俺の…?
雪
ぶっきらぼうで
雪
目付き悪くて
雪
ふてぶてしくて
雪
ヤンキーみたいな見た目で…
流斗
それ悪口だろ
流斗
あいつ…
雪
ま、待ってください!
雪
最後まで!聞いて下さい…!
雪
そんな人だけど
雪
頑張り屋で
雪
優しくて
雪
危ない時には助けてくれる
雪
素敵な人だって
雪
西園寺さん、よっぽど茅ヶ崎くんの事が好きなんですね。
流斗
…
雪
行ってあげてください。
雪
西園寺さんの所へ。
流斗
…おう
流斗
ありがとな
雪
いえいえ
吹雪に軽く頭を下げ、西園寺が居そうな場所へと走り出した。
雪
あーあ。
雪
私、流斗くんのこと好きだったんだけどなあ
雪
これは望みない、か…
雪
頑張ってね、西園寺さん
流斗
やっぱりここにいたか
華
あら、流斗くん。
華
クラスの人達とは話さなくていいんですか?
華
ここ、立ち入り禁止ですよ
流斗
お前がもう立ち入ってんだろ
流斗
吹雪から聞いた
流斗
クラスの奴らに俺の話してたこと
華
えっ吹雪さんが…!?
華
大人しそうな顔して、なかなか度胸がありますわね…
流斗
……悪かったな
流斗
そこまで気ぃ使わせて
華
…えっ?
華
あはは!そこで謝るんですか!
西園寺は目に浮かんだ涙を拭いながら笑った。
流斗
何がおかしいんだよてめえ…
華
意外と真面目なんですね、流斗くんは
華
いいんですよ。私がしたかった事ですし
華
私てっきり怒られるかと思ってたので
華
ちょっと拍子抜けしちゃいました
流斗
お望みなら怒鳴ってやるが
華
結構ですわ
華
…ここだけの話
華
私、結構好きだったんですよ。…流斗くんの金髪。
華
見た目は確かに悪かったですけど、
華
他の人よりも圧倒的に目を引く金色が。
華
これで流斗くんは、金髪ヤンキーじゃなくなりましたね
初対面の時に西園寺に言われた事を思い返す。
華
いくら金髪でピアス開けてる、どこからどー見ても不良の貴方でも放っておけないのよ。
華
一匹狼拗ねらせてる貴方を助けたいんです!
流斗
…ふん
流斗
最初からお前はなんも変わってねーのな
華
それは褒め言葉として受け取っていいんです?
流斗
どーだかな。
流斗
…まだ、俺の口からは言えねーこともあるけど、
流斗
絶対見返してやる
流斗
優しくてかっこいい俺がな。
華
自分で言うんですか…!
華
私だって、ポンコツじゃないって言わせてやります!
華
ギャフンと!
流斗
はいはい昭和昭和
いきなり変わろうなんて思わない
少しずつでいいんだ
まだ俺には…
俺達には時間があるのだから。