何も聞きたくない

俺はもう、限界だった。

毎日、毎日みんなの相手をして、モブ男の相手もする。

ご飯はない。

水も、飲めない。

喉はどんどん枯れていって、声が出なくなっていった。

体調が悪い日、モブ男に｢体調が悪い｣と言っても俺の話を聞かなかった。

何回も、ヤらされ起き上がれるなんて、出来ない。

心の中ではずっと、【死にたい】しか、思わなかった。

もぅ、限界だった。

どうせ、蛍ちゃんたちは自由に、楽しく過ごせてるんだ。

俺が居ないだけで、どうせ、探してくれるなんて···。

俺は、心の中が見える···バケモノだから。

次の日の朝。

今日は、肉便器にならないらしい。

ﾊﾞﾀﾝｯ

今、ここには俺以外誰も居ない。

もしかしたら、死ねるかもしれない。

ここから出れるかもしれない。

でも、手足には鎖がある。

外に出るなんて、出来っこない。

なら、死んだ方がマシだ。

寝室の押し入れを漁った。

縄があった。

これで、死ねる。

天井に1つの柱がある。

そこに、縄を通し、首に巻き付けた。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

だれ、だろう。

死にたいのに···。

出なきゃ···。

あ、そうだった。

出なくていいんだ。

このまま、死ねるんだ。

縄を通す為に土台にしていた椅子を退ける。

ﾄﾞﾝｶﾞﾗｶﾞｯｼｬﾝｯ

ちょっと、大きな音しちゃったかな。

もしかしたらまだ人がいるかもしれない。

でも、いいや。

死ねるなら···それで。

やっと、死ねる。

死ねる···っ。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

このまま···どこかに···行ければ、いいなぁ。

翔陽が自殺をした。

息をしていない。

なんで、自分で？

こんなにも、翔陽は追い詰められていたの？

違う···嫌だ。信じたくない。

これは、翔陽じゃない。

違うんだ。

違う···っ。

違う。

みんな、泣きながら翔陽を助けた。

その後山口が呼んでくれた救急車に運ばれ、それを追い掛けるように俺達も翔陽が居る病院へ向かった。

翔陽の父親、母親にも連絡をして。

人数制限のため、澤村さんたちは来なかったが、翔陽の状況を話すと、みんな一斉に泣いた。

翔陽を直ぐに助けれなかったと、泣きながら言っていた。

治療をしたのに、まだ目を覚まさない。

警察はモブ男の家を調査しているらしい。

まだ、モブ男やその他の人は逮捕されてないんだと。

ぁあ、なんで翔陽がこんな目に会わなきゃいけないんだ。

なんで翔陽だけなんだ。

翔陽は、ただ···僕のそばに居て、笑顔で暮らしていただけなのに。

こんなにも、日常はすぐに破壊されるんだ。

ﾎﾟﾀｯ💧

ﾋﾟｸｯ

翔陽が起きた。

でも、どこかおかしかった。

何かに怯えている。

なんでか耳を抑えている。

目を何度も擦っている。

心の声が、聞こえないの？

なんで！！

翔陽、僕だよ！

なんでっ！

ｷﾞｭｯ

あれは、桜が満開な春の日だったっけ。

結婚の約束をして、楽しかった思い出。

学校で嫌なことがあっても、自分の能力が嫌になっても、蛍ちゃんやたっくんがそばに居たらそんな事、忘れられた。

気にせずに、遊べた。

この頃、楽しかったなぁ。

『しょ、よっ！(泣)』

『しょ、うようっ(泣)』

ﾎﾟﾀｯ💧

『しょう、よっ！！(泣)』

けいちゃんの、こえがきこえる。

ここに、いるのに。

どこからきこえるんだろう。

はやく、いかなきゃ。

けいちゃんの、もとにもどらなきゃ。

けいちゃん、っ。

ﾊﾟﾁｯ

ぁ、蛍ちゃんがいる。

泣いてる。

ゆめ？

なんで、ここにけいちゃんがいるの？

だって、おれはずっとあのへやにいて···。

ぁ、そうだ。

おれは、あいつにかんきんされてたんだ。

にくべんきになって···みんなのあいてをしてっ。

だめだ。

おもいだすと···いきが、くるしくなる。

あのときの、こうけいが···あたまにはりついて、はなれない。

いや、なのに···けいちゃんを、きょひしてしまう。

きょぜつしてしまう。

ごめんな、さぃ。

ごめんなさい。

ないてる。けいちゃん。

そうだ。これはゆめなんだ。

ここにけいちゃんはいないの。

けいちゃんが、たすけにくるはずがないんだから。

ｷﾞｭｯ

あったかい。

きもちいい。

ねむたい。

ね、むたいなぁ。

けいちゃんが、いるからだぁ。

ねても、もうあいつはいないんだ。

けいちゃんが、そばにいてくれるんだ。

ひさしぶりに···ねむ、れる。

おやすみ。けいちゃん。

ずっと、おれがめをさますまで、そばにいてね。

ぜったい、だよ？

おやすみなさい。

コメント溢れる説🤣