テラーノベル
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昨日の別れ際、アイツが言ったあの言葉。 『楽しみにしてるね』 ……何が、楽しみなんだ。 バカ憂太。いつもはおどおどしてる癖に、たまにそういう不敵な笑い方をする。 真希はわざと大きな足音を立てて、誰もいない放課後の廊下を歩いていた。 手には、武器庫の鍵。一人で自主練をするつもりだった。 でも、角を曲がった先。 西日が差し込む階段の踊り場で、アイツは待っていた。 憂太:「あ、真希さん。お疲れ様」 壁に背を預けてふわりと笑う憂太。 その顔は、昨日見せた「楽しみにしてるね」と言った時の笑顔のままだった。 真希:「……何してんだよ。練習、行かねーのか?」 真希がぶっきらぼうに聞くと、憂太はゆっくりと歩み寄ってくる。 廊下に、二人の影が長く伸びる。 憂太:「練習もいいけど……。昨日の続き、いいかな?」 真希:「……はぁ?続きって……」 真希が言い返そうとした瞬間。 憂太が、昨日よりもずっと近い距離で立ち止まった。 ふわりと、憂太の柔軟剤のような香りが鼻先をかすめる。 憂太:「……昨日、楽しみにしてるねって言ったでしょ?」 そう言って、憂太は真希の手にあった武器庫の鍵を、指先でひょいと奪い取った。 憂太:「僕……ずっと楽しみだったんだ。真希さんと、二人きりになるの」 (つづく)
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