嘔吐表現、流血等々あります。
ユウシャ
土の上で寝たせいでガチガチな体を無理矢理起こす。
枕にしていた大荷物を背負い獣道を進む。
道を進んでいると時折向かってくる、ふわふわした綿毛のような魔物は 攻撃してこない友好な生き物だ。 サイズは普通の猫や犬と大差なく、人懐っこい所も似ている。
そんな魔物を片っ端からユウシャの剣で刺していった。
ユウシャ
悪さをする訳でも、した訳でもない。自分はユウシャだから、ただそれだけ。
最悪感とか、ない訳ではない。ただ親を殺した時よりはとても楽だ。 ……なんて、最低すぎるかな。
マオウ
居ない筈のマオウの声が頭に鳴り響いて止まない。 煩い!と嘆いて剣を振る。その剣は鮮血に染まっていた。
ユウシャ
自分は今何の為に無害な魔物を殺しているんだっけ…。 ……いや、マオウを倒す為だろ。 死んだ仲間に、村のみんなに、家族に、仇を討つって言ったじゃないか。
ユウシャ
構えていた剣を下ろす。何も知らず、ふわふわとした毛を揺らして 魔物が足に擦り寄ってくる。 ……涙が流した、気がした。下ろした剣をまた振りかぶる。
ユウシャ
鮮血がびしゃびしゃっと頬や服に飛び、感情が更に複雑になっていく。 魔物は最期、悲痛な顔を見せた、まるで裏切られたかのように。
ユウシャ
知っている。この魔物は、魔物の皮を被った人間ということを。 マオウに改造され、為すすべもなくユウシャに殺される為だけに 生まれ変わった、村のみんなだと。
でも、殺さなきゃ……。
ユウシャ
???
ユウシャ
久々に聞いた人の声に驚き、声のした後ろを振り向いた。 が、視界が歪み、重心が崩れる。 ……あ、転ぶ。
そういえばここ数週間何も飲み食いしてないかも……。
???
1、2…5人……まだ、人間がいたなんて。 知れただけでも良かった……。
ユウシャ
???
ユウシャ
ユウシャ
???
起きるとふかふかのベッドの上だった。隣で椅子に座っている彼は 倒れる前に見た子だろう。
ユウシャ
???
ユウシャ
久々に見た人間。この子達だけは守らなくちゃ。 絶対にマオウには渡さな——... と、直後、どごごごと地鳴りが聞こえる。
ユウシャ
???
部屋の中に突如現れた黒い渦はやがて形となり、魔王が姿を現した。 その姿に絶望すら感じる。もう終わりだと錯覚する程のこの威圧は 前にも感じたことがあった。
マオウ
まるでうっとり…と魅入るように俺を見つめる。 昔からその目に慣れることはなく、悪寒が止まらない。
マオウ
???
ユウシャ
まさか、魔王の威圧を前にして口を開ける者がいたとは…。 …感心してる場合じゃない、早く逃げなきゃ…、
マオウ
???
そう言って何処からか出した炎でマオウを炙る。
ユウシャ
マオウ
???
マオウ
魔王は捨て台詞を吐き、現れた時と同じように黒い渦に戻り、 徐々に消えていった。
???
ユウシャ
ぶるーく
ユウシャ
ぶるーく
ユウシャ
ぶるーくはそのまま部屋から出て、大声で誰かを読んだ。 数分後、少し騒がしくなって帰ってくる。
きんとき
コメント
3件
うん。続きが見たくなる作品=神✨