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ｻﾞｯ
ｻﾞｯ
ｻﾞｯ
ウェイター
何をしているのですか？
千花
（ヒツジ？）
千花
チャーリーが……
千花
うちの犬が死んでて……
千花
埋めようと思って……
ウェイター
ここに埋められても困ります
千花
……ごめんなさい
千花
埋められそうなところ他になくて……
千花
うちの庭も大家さんにダメって言われて
千花
どうしたらいいかわかんなくて
ウェイター
よろしければチャーリーは私が引き取ります
ウェイター
ちゃんと供養しますので
千花
え……
ウェイター
あなたのお名前は？
千花
ぁ……
千花
千花です
ウェイター
千花さんこちらへ
ウェイター
あなたは見たところとても疲れています
ウェイター
うちのレストランで休んでってください
千花
ここ……
千花
レストランだったんですか
ウェイター
ええ
ウェイター
会員制の特別なレストランです
ウェイター
どうぞこちらへ
千花
本当に今日は疲れた……
千花
先輩にふられた
千花
家に帰ったらチャーリーが死んでた
千花
庭に埋めようとしたらダメって言われてずっと埋められるところ探してた……
ウェイター
お待たせしました
ウェイター
本日のスペシャルスープでございます
千花
え……
千花
私頼んでません
千花
お金もないし……
ウェイター
これはサービスです
ウェイター
千花さんに元気になってもらいたくて心を込めて作りました
千花
え……ぁありがとうございます
千花
何これ
千花
めちゃくちゃおいしい!!!
千花
心の奥の方があったかくなるような……
千花
こんな味初めて……
千花
このスープはなんていうの？
ウェイター
チャーリーのコンソメスープ
ウェイター
あなたの犬のスープです
千花
……え？
千花
……何言ってんの？
千花
……あこれ笑うとこ？
ウェイター
あ
ウェイター
誤飲したのでしょう
ウェイター
胃の中にこれが入っていました
千花
私の……
千花
イヤリング……
千花
うっ
千花
うぇっ
千花
なんてことすんの
千花
信じらんない
ウェイター
食べることは究極の愛です
ウェイター
チャーリーはあなたが大好きでした
ウェイター
あなたに食べてもらい元気になってもらうこそがチャーリーの供養になると思いませんか？
千花
たしかに
千花
残したらチャーリーがかわいそう……
千花
それに……
千花
こんな美味しいスープ生まれて初めて……
千花
ごちそうさまでした
ウェイター
本日はすばらしい食材を提供していただき
ウェイター
ありがとうございます
千花
……
ウェイター
ここには味にうるさいお客様がたくさんいらっしゃいます
ウェイター
しかしよい食材がなかなか入らず困っていたのです
ウェイター
千花さんには特別に
ウェイター
食材を提供していただけたら
ウェイター
またいつでもごちそうさせていただきます
千花
……
ある日
中学生たち
あれまだ生きてない？
中学生たち
犬？かわいそー
中学生たち
車にひかれたのかな
千花
どうせ死ぬなら誰かの役に立ちたいよね
レストランにて
千花
おいしい
ウェイター
千花さん本日はポメラニアンを提供していただきありがとうございます
千花
いえ……
千花
滝沢くん……？
滝沢くん
うちのクラスの満島さん？
千花
え？なんでこんなところにいるの!?
千花
滝沢くんも食材をもってきてるの？
滝沢くん
まさかフツーに客と来てきてるんだよ
千花
あーびっくりした
千花
同じクラスの人が通ってるなんて……
千花
その料理は何？
滝沢くん
これは……
ウェイター
本日のメニュー
ウェイター
人の肉でございます
千花
人……？
滝沢くん
怖がらなくて大丈夫だよ
滝沢くん
これは死刑囚の肉……
滝沢くん
ちゃんとしたルートで仕入れてるんだ
千花
人を食べるの？
千花
気持ち悪……
千花
……ああ
千花
でもなんておいしいそう……
ウェイター
千花さんも頼みますか？
千花
えっ
千花
高っ
千花
滝沢くんすごいお金持ちだったんだ
千花
もし食材を持ってきたら私もあのステーキが食べられる……？
ウェイター
はい
ウェイター
千花さんだけ特別に
先輩
マジでいーの？
先輩
こんな高そうなお店でおごってもらって
千花
……付き合ってる時先輩にはお世話になったから
先輩
別れたのに悪いなー
ウェイター
千花さん今日はどうしました？
先輩
ひつじ！？
千花
今日は先輩を持ってきました
ウェイター
本当に提供していただいて良いのですね
千花
はい
ウェイター
やはりあなたは特別な方です
ウェイター
先輩はこちらへ
先輩
え？
先輩
店内あっちじゃねーの？
ウェイター
本日のメニュー
ウェイター
先輩のステーキです
千花
おいしい……
千花
こんなおいしいお肉初めて
滝沢くん
僕もこんな上等な肉は久しぶりだよ
滝沢くん
満島さんのおかげだね
滝沢くん
ありがとう
千花
……っ
千花
ちょっと苦い……
滝沢くん
ああ
滝沢くん
先輩が若いから
千花
若い？
滝沢くん
ああ
滝沢くん
若い人は経験が浅くて
滝沢くん
熟しきれていないから
滝沢くん
苦いんだ
千花
もっと……
千花
おいしいものがあるの？
大家さん
千花ちゃん生徒が1人行方不明なんでしょ
大家さん
千花ちゃんが付き合ってたひとだって……
大家さん
心配だねぇ
千花
大家さん
千花
ついてきてくれませんか？
千花
おいしい！
千花
なんておいしいの
滝沢くん
そうだろう！？
滝沢くん
こんなに食の好みが合う女の子は満島さんがはじめてだ
千花
私もこんなにおいしいものがあるなんて知らなかった
ウェイター
……お二人なら
ウェイター
当レストラン最高の料理を提供できるかもしれません
滝沢くん
最高の料理!?
滝沢くん
そんなものがあったのか？
千花
ウェイターさんは食べたことあるの？
ウェイター
はい
ウェイター
1度だけ
ウェイター
それはもう全世界の食材を凝縮したような
ウェイター
二度と忘れることのない素晴らしい料理でした
滝沢くん
ぜひそれを頼もう
千花
おいしそう！
千花
なんて料理!?
ウェイター
その料理とは
ウェイター
愛する人です
滝沢くん
……え？
ウェイター
さあどうしますか？
ウェイター
愛する人を注文しますか？
千花
愛する人って滝沢くん……？
滝沢くん
ウェイター
滝沢くん
彼女を食材呼ばわりするとは……
滝沢くん
失礼だぞ
滝沢くん
彼女は僕達のために食材を仕入れてくれた
滝沢くん
僕に人も一緒に食べる喜びをくれた
滝沢くん
僕は何があっても彼女を食べない!!
千花
滝沢くん……
ウェイター
失礼しました
滝沢くん
満島さん
滝沢くん
こんなに食の好みが合う女の子は初めてなんだ
滝沢くん
ずっと君が持ってきた食材を君と一緒に食べたい
滝沢くん
僕と結婚を前提につきあってください
千花
はい
千花
愛してるわ滝沢くん
千花
結婚して……
千花
私がおばあちゃんになるまでずっと一緒にいようね
千花
せっかく出来た愛する人……
千花
今すぐ食べるなんてもったいない
千花
もっと愛して年を取らせて
千花
熟成させて……
千花
最高の食材にしてあげる
千花
あなたは私の
千花
最後の晩餐ー･･･
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