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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
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1,檻の中の再会
鉄格子のきしむ音が、心臓の奥を軋ませた。
連れて来られたのは、第六刑務州。
罪人の中でも「再教育の見込みがない」とされた者が収監される、最も過酷な地。
地上の光など一片も届かない灰色の廊下を、無言のまま歩かされた。
足に絡まる鎖の音が、歩調とともに鳴る。
何歩進んでも出口などない。
それでも、どこかに“人としての終点”があるのだと信じるしかなかった。
番号。
それが今の自分の名前だった。
その呼称に、反射的に顔を上げた。
背中を強く押され、バランスを崩して狭い牢に投げ込まれた。
硬い床に肩を打ちつけ、息が詰まる。
「痛た……」と漏らした声は、冷たい石壁に吸い込まれた。
ゆっくりと上体を起こすと、天井は低く、光はひと筋しか差し込んでいなかった。
壁際の鉄格子の隙間から、誰かの足音が近づいてくる。
その声には、どこか懐かしい響きがあった。
顔を上げると、そこには黒い制服を着た青年が立っていた。
紅梅の瞳。
無表情。
だが、ほんの一瞬、何かが揺れた気がした。
その名を聞いた瞬間、息が止まった。
須智。
聞き間違えるはずがない。
小さい頃、よく一緒に遊んだ。夏の午後にセミを追いかけ、泥だらけになって叱られた。
あの笑顔を、よく覚えている。
だが、今目の前に立つ男は、まるで別人のようだった。
制服の下に覗く腕は、鋼のように硬く。
眼差しは、氷よりも冷たく。
喉が乾いて、声が掠れた。
しかし、須智は答えなかった。
ただ、無感情に記録端末を操作しながら言った。
その一言で、美琴の中の過去が切り捨てられた気がした。
それでも、掠れた声で、どうにか返す。
須智は目を伏せた。
ほんの一瞬、哀しみのような影がその瞳を掠めたが、すぐに消えた。
その言葉を遮るように、隣の牢の扉が乱暴に開かれた。
低い怒鳴り声とともに、小柄な少年が床に投げ出された。
少年は転びながらも、すぐに起き上がり、頬を擦りながら文句を言った。
細い声だったが、よく通る。
静寂の牢では、その小言がやけに鮮明に響いた。
荒い声が返ってくる。
その声の主――監視官・亥留馬は、冷酷そうな表情をしていた。
鋭い眼光で少年を見下ろし、鼻で笑う。
突然、自分の方へ矛先が向く。
須智は小さく肩を竦めて、
と口にした。
亥留馬の声が牢内に響く。
須智はすぐに姿勢を正し、今度は硬い声で言い直した。
そのやり取りを見ていた美琴は、胸の奥に妙な痛みを覚えた。
須智が誰かに頭を下げる姿など、見たことがなかった。
少年はその光景を見ながら、ため息をつくように笑った。
そして、美琴の方をちらりと見て言った。
声は幼く、けれど棘があった。
美琴は慌てて視線を逸らし、
と謝る。
だが、気になって仕方がなかった。
少年の腕や首には無数の傷が走っており、痩せ細った身体は、何かを訴えているように見えた。
恐る恐る尋ねると、少年は少し口角を上げた。
名乗ったあと、心雨は少しだけ視線を落とした。
それは、まるで自分を罵るような笑い方だった。
美琴は言葉を失った。
沈黙が数秒続く。
心雨はそのまま床に座り、膝を抱えた。
まるでその言葉が、鎖よりも重く自分を縛っているように見えた。
亥留馬が去り、静寂が戻る。
須智は短く息をついて、美琴を見た。
須智の言葉は、警告というより祈りに近かった。
だが、美琴は、あの少年の瞳に一瞬だけ見えた「孤独」を見逃さなかった。
呼びかけても、須智はもう背を向けていた。
扉の奥に消える寸前、その背中がほんのわずかに震えた気がした。
夜が訪れる。
灯りのない牢は、まるで地底に沈んだ棺のように暗かった。
鉄格子の向こうから、心雨の声が小さく響いた。
名前を呼ばれて、胸が跳ねた。
どうして、自分の名前を――
小さな笑い声。
その声には、どこか懐かしい温かさがあった。
闇の中、心雨の声だけが静かに続く。
美琴は何も言えなかった。
心雨の罪を知っても、どこかで「心雨を信じたい」と思ってしまう自分がいた。
心雨の声が遠ざかる。
その一言に、なぜか胸が熱くなった。
鉄の檻の中で、美琴は小さく呟いた。
遠くで鎖が鳴る。
まるで、この地のどこかで誰かが祈っているように。
――百年の檻に、最初の夜が訪れた。
1・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡20
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コメント
2件
やばい、天才