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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
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2,光の届かぬ朝
目を覚ますと、白ではなく、灰色の天井があった。
夜の気配がまだ残る薄明の時間。
石壁の隙間から差し込む光は弱々しく、空気は鉛のように重かった。
低く通る声が聞こえ、重い瞼を上げる。
鉄格子の向こうに立つ須智が、冷たい眼差しでこちらを見下ろしていた。
その背後には、監視官のもう一人――亥留馬が腕を組んで立っている。
声を出した瞬間、喉が焼けるように痛んだ。
夢の中で、血と悲鳴を聞いていたせいかもしれない。
隣の牢から、くぐもった声がした。
布団の中に潜り込む心雨の姿が見える。
それを見た亥留馬が小さく舌打ちし、鍵束を鳴らした。
その命令の後、亥留馬は足音も荒く去っていく。
残った須智はしばらく無言で立っていたが、やがて小さく息を吐いた。
眠たげな声で返事をし、心雨はようやく布団から顔を出した。
その仕草が妙に幼く、美琴は思わず小さく笑ってしまった。
けれど、その一瞬を須智が見逃すはずもない。
須智の声は、相変わらず感情を感じさせない。
しかし、無表情の奥で何かを押し殺しているようにも見えた。
洗面所へ向かう通路は冷え切っており、水をすくう指先が痛い。
鏡に映る自分の顔は、昨日より少しだけ痩せたようだった。
ほんまに、ここで百年を過ごすって言うん……?
そう思った瞬間、背後から心雨が覗き込む。
美琴は目を瞬かせる。
それから、くすっと笑い、
と言う。
心雨は目を逸らすが、直ぐに視線を戻す。
須智くんが?
あの無表情で――?
驚く美琴に、心雨は小さく笑う。
そう言って、心雨は鏡越しに笑った。
その笑顔はどこか儚くて、脆かった。
食堂は想像していたよりも明るく、そして奇妙に静かだった。
長いテーブルに並べられたのは、温かいスープ、焼きたてのパン、そして新鮮な果物。
思わず声が漏れた。
隣でトレイを持つ須智が、淡々と答える。
延命技術――その単語に、美琴は息を詰めた。
それは、大学で学んでいた頃に一度だけ耳にした、人間の生命を人工的に保つ研究。
死を「停止」させるための技術。
須智の声が硬く響く。
まるで、それを言うことすら苦痛であるかのように。
その言葉は冷たく、淡々としていた。
けれど、その奥に微かに震えが混じっていることに、美琴は気づいた。
須智は目を逸らさなかったが、沈黙で答えた。
何も言えず、美琴は俯く。
スープの湯気が視界を曇らせ、何もかもが滲んで見えた。
牢に戻ると、心雨は既に部屋の隅で分厚い本を読んでいた。
ページをめくるたびに、埃が光に舞う。
悪びれもなく答える心雨。
表紙を見ると、古びた金文字でこう書かれていた。
“存在と時間”
美琴は小さく笑う。
心雨はページから目を離さず、少し間を置いて言った。
その言葉は、静かな牢に吸い込まれていった。
ページをめくる音が、やけに鮮明に響く。
心雨の声が震えていた。
その問いに、美琴は答えられなかった。
けれど、気づいたら口が勝手に動いていた。
沈黙が落ちる。
心雨は少しだけ目を見開き、それから微笑んだ。
心雨の笑顔は泣きそうで、けれど確かに温かかった。
夜、鉄格子の向こうから静かな声が響く。
心雨の声は、まるで祈りのように穏やかだった。
その隣で、美琴は静かに目を閉じる。
遠くの鐘が、時刻を告げた。
「百年の檻」に、二日目の朝が訪れようとしていた。
2・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡30
主
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コメント
3件
今回も最高でした...! これで今日も生きていけます_:(´ཀ`」 ∠):
おぉ、神! 毎回これしか言ってない気がする……