チューっとリンゴジュースを吸って窓の外を眺める
新学期が始まり、周りはもうグループが出来上がっていた
同道 依央
……
このまま静かに…
星野 沙耶
同道依央いるー??
クラスメイト
同道さん?
クラスメイト
あー
クラスメイト
同道さーん!呼ばれてるよー!
同道 依央
…はい
同道 依央
あの…
星野 沙耶
どう?!
星野 沙耶
バンド!!
同道 依央
まだ1日しか立ってないですよね?!
星野 沙耶
いやぁ〜いても立っても居られなくて
同道 依央
……
同道 依央
わ…わたし…に…なんでそんな…に
星野 沙耶
言ったでしょ?
星野 沙耶
一目惚れしたんだって!
同道 依央
っ……
同道 依央
……そうですか
星野 沙耶
私達には必要なの貴女が
同道 依央
………
キーンコーンカーンコーン
星野 沙耶
わっ、鳴っちゃった
星野 沙耶
じゃ、じゃあまたね!!
同道 依央
………
同道 依央
ただいま
仁香
おかえり〜
仁香
あれ?なんか疲れてる?
同道 依央
………
同道 依央
例の先輩が…
同道 依央
どこに行っても現れるの…
同道 依央
もう…幽霊かよ!!!
仁香
あははは〜
仁香
それだけいっちゃんにバンド入って欲しいんだねぇ
同道 依央
……
仁香
あれ?ご飯は?
同道 依央
お腹すいてないからいい
仁香
そっかぁ
仁香
お腹すいたら降りてきなさいね
同道 依央
ん
同道 依央
はぁ…
カバンを机に置く
同道 依央
………
チラッと鏡の横に置いてあるベースを見る
「貴女が必要なの」
「お前にはついていけないんだよ」
同道 依央
……
「貴女に一目惚れしたの!」
「俺らはもう年齢的にも…」
同道 依央
………
ベースを取ってストラップを肩にかける
ピックを握って右手を上下に動かす
久々に聞く音色
低く、重く、響く
ギタータコはまだ健在してる
同道 依央
……
バンドなんて…
バンド…な………んて…
同道 依央
っ…
…でも、あの人達が本気なら
本気なら
同道 依央
……やり…たい…
でも、怖い
自分だけ突っ走ってしまうのが、怖い
大西 光希
来るのかなぁ、あの子
木野 奈緒
さぁな
星野 沙耶
来るよ
星野 沙耶
絶対
木野 奈緒
なんでそう言い切れるんだ?
木野 奈緒
あんなにバンドを嫌がってたじゃないか
星野 沙耶
だって、あの子
星野 沙耶
ベース弾いてる時
同道 依央
っ…ははっ…
星野 沙耶
!
星野 沙耶
凄く楽しそうだったんだもん
木野 奈緒
ほう?
星野 沙耶
音楽をあんなに楽しんでるだもん
星野 沙耶
簡単に嫌いになれる訳ない!
星野 沙耶
絶対に一緒にやるんだ
木野 奈緒
…
木野 奈緒
その前に
木野 奈緒
もっと練習しなきゃ
大西 光希
そうだねぇ
星野 沙耶
う…
星野 沙耶
分かってる…