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フェリシアーノ・ヴァルガス
どこからともなく音が聞こえる。 眠りについていたフェリシアーノはその主に気が付き顔を少しだけ上げる。聞こえるのはスマホの要は電話の着信音である。
ルートからのモーニングコールだと思ったフェリシアーノはスマホに手をかけて電話に出る。
目を擦り、欠伸をして声をかける。
フェリシアーノ・ヴァルガス
おはようございます、フェリシアーノくん
フェリシアーノ・ヴァルガス
その声は菊のものであった。 慌ててスマホを見ると確かに名前は菊で菊からの着信だとスマホの画面には表記されている。
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
正直帰ってすぐ寝たせいでご飯も食べてなければ何もしていない。そんな状態で学校に行くのだろうか?
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
機械を通した菊の声がフェリシアーノに提案してくる。
菊
焦りながら起きると思っていなかったと言い訳をする菊。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんて言うとさっきとは裏腹にくすくすと笑い声が聞こえてくる。楽しそうな菊の声だ。
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
イタリア人だから分からないとでも思ってるのだろうか、そう考えたら少しムカッとするが何故か菊ならいいか、と諦めたようにも思えるくらいあっさりそんな感情は消えた。
スマホを強く握って声を出してなんだかとっても楽しい、驚くくらい中が良くって胸がポカポカする。
フェリシアーノは重い体を起こしボサボサの髪を手でかきあげ菊にシャワーを浴びてくると伝えた末に電話を切った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
黙ったままただ歩く。
シャワーの湯が自分の顔や体に当たる。 少しあつくのぼせそうだったため湯を少し冷たくした。
髪を洗い終えシャワーを止める。固まっていた体を背を伸ばして動かす。 ボキっと骨がなる。少しこっていたのがわかる。
これからすることの時間計算がうまく出来ないが何とかなるだろうと思いやる事を再確認しながら体を洗い始める。
菊のことをルートに連絡して、弁当を作り学校の準備をして、こう考えるとやることが山積みである。
フェリシアーノ・ヴァルガス
日本人は風呂が好きだと言うし、リラックスをする場だと言う。フェリシアーノの祖父も風呂が好きだった。
家の風呂もそれなりに大きかったくらいには。
家の風呂を見ては祖父を思い出す。楽しく一緒に絵を描いて、お金持ちだったため家も遺産に残してフェリシアーノに相続した。
祖父が描いた絵は見えないところに隠してある。兄と自分が描かれた絵を見たくないからだ。
そんなもの見たところで寂しくなり、嫌なことを思い出すだけで、何も感じたくはなかった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ぼうっとしていると既に洗い終わっているはずなのにお湯をずっと流していた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
やらかしてしまったことへの罪悪感と焦りで手が滑りさらにお湯がかけられる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
この調子ではいつか湯や泡で滑って怪我をしてしまうかもしれないと思い早々に風呂場を出た。
災難な目に逢いながらだだっ広いリビングへと着いた。
一人暮らしだから誰かいるわけでもなく、そこには沈黙が広がっておりその虚無感にいつしか慣れてしまっていた。
寂しいだなんて感じる暇もなく急いで髪を乾かし、制服へと着替え始めた。
部活に入っているわけでもなければ委員会も特に目立ったものでは無い。
申請すれば未だほかの委員会もかけ持ちできるだろうがそんな面倒なことはしたくはない。
フェリシアーノ・ヴァルガス
いたところで頭が良く生真面目な方が多い。 当たり前だろう。それなりの偏差値学校であり、異国人も多数いる。
言語が通じないかもしれないとなると厳しい家の長男だとかいいところの娘息子しかいない。
頭が痛くなるような考えを巡らせながら、髪の毛を乾かし終えドライヤーを置く。
すると勢いよくフェリシアーノは自分の頬を叩いた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
痛みに声が漏れるも、その後すぐはぁとため息を漏らした。 そのため息はなんやら重く、疲れが入り交じっているが寝落ちしてしまった自分が悪いためとにかく気を引き締めることしかできなかった。
本当は投げ出したい、嘆きたい。 人にどう思われているとか気にせずにいることで何か嫌なことがこう、投げかけられる気がしてならなかった。
そんなフェリシアーノは時計を見ては慌ててドライヤーを片付けスマホを手にした。 すれば急に連絡帳を見始め電話をかける。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんだ、お前か そんな友人の声を聞いて安心したフェリシアーノは昨日のことを端的に話し始めた。
で、つまりは今日俺の知らないやつとも投稿すると?
フェリシアーノ・ヴァルガス
やれやれと声が聞こえたあと適当に謝り、ルートなら許してくれるという絶対的な信頼を持ちながらわくわくと返事を待つ。
分かった、時間厳守頼むぞ
フェリシアーノ・ヴァルガス
そんな返答に喜びを感じ、電話を切るとすぐに菊に連絡した。
文面の連絡で、ルートが言っていた場所と時間を教える。 可愛らしいスタンプと共に了解だと丁寧な文章で送られてきた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガスはルートから言われたため置き勉だけはしておらず、そのおかげが夏休み等で持ち帰りはとても楽になった方だ。
同じクラスの菊に何があったか教えてもらうために連絡をもう一度入れた。
申し訳ないと思いつつフリック入力で素早く文字を打ち返事を待つ。 その間乾かした髪の毛を整え、着替えを済ませておいた。
着替えに行って帰ってきたら既に連絡が帰ってきておりフェリシアーノはそれに安堵しありがとうと返事をしておいた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
思った以上に早起きをしてしまったみたいで菊に感心する。ルートと気が合いそうだ。
そう思いながら得意な料理をただ自分の為だけに作るためにキッチンへと向かう。 レシピはだいたい3人前用くらいしかなくそれを微調節して1人前にするのにはもう慣れてしまった。
ご飯を食べると元気が出る。それは自分の料理でもルートの料理でもそうだ。 どの国でもきっと同じことで、美味しいものには何か仕組みがあるんじゃないだろうかと思うほどには。
まあ、誰もがみな料理が美味い訳では無い。 フェリシアーノは適当にフライパンの中身をかき混ぜて朝食となるものを焼いている。 例えば会長、イギリス人で調理実習の際にダークマターか何かを作って一時的に噂になった。
本当は話に尾びれが着いたものだと考えていたが、そういう訳でもないらしくその話題を聞く度に怖い顔をしていたのは会長である。
嘘ならば無視してればいい、そうでないなら肯定しているようなものだ。
フェリシアーノは中身を上手くひっくり返すとさらに盛り付けた。
これといって食べたい物もなく、重くても嫌だしなと軽いものを作ってはいるものの、料理好きとしてはこりたくなってしまう。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ひと口味見をするも、いつも通り美味しい。
これ以上こだわる必要も無い。
そう思うと、フェリシアーノは皿をリビングへと持って行きいただきますと声を出しては時計を気にしながら朝食をとりだした。
カチャカチャとなるカトラリーの音が洋食を食べているのだとわかりやすく主張している。
未だ、和食を作るというのは慣れていない。 ローマでは魚を食べていたし、その名残もイタリアに残っている。 なんたってアドリア海の魚は絶品である。
そういう面では似ているなと思いながら米を食べてみたりするものの、イタリアで有名なのはパスタ。フェリシアーノが好きなのもパスタ。イタリアで日本と似た物があるとするなら蕎麦。
イタリアでは蕎麦粉を使ってパスタを作ったことがある。 それはもはや蕎麦ではないかという日本人のツッコミもあったが特に気にしていない。
次は何を作ろうか、冷蔵庫の中身を気にしなくては、オリーブオイルはまだあったろうか。 そんなことを気にしながらご飯を食べればあっという間に食べ終わったものだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
日本でのこともよく分かるようになってきた。 麺を音を立ててすするのはどうかと思うが。
島国であり、独自の文化を築き上げてきた日本らしく、今では受け入れられている。
菊も、音を立てて食べているところを見た事がない。 そもそも菊がなにか食べているところを見ていないのかもしれない。
フェリシアーノ・ヴァルガス
そう考えれば気になってしまい、フェリシアーノはどう誘うかを考えながら食器を片付けはじめた。
そのまま鞄を準備し、冷蔵庫を見に行く。
ないものや、足りなくなってきているものをスマホのメモ帳に書き、特売日等を考えてはカレンダーに書き込んだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんて最近の世の中に対して文句を言った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
意気込みを声に出しては玄関まで向かう。
扉から射し込む光は今日の天気の良さを表していた。 暖かい日差しがフェリシアーノを迎える度少しだけ憂鬱な気分が晴れる。 勉強が難しいくて嫌だとかそういうのより、朝日が心地よく布団を干した時なんて最高な物だ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんて朝にまで挨拶したくなるくらいだ。
ドアノブにかけられていた手は離され、自然と扉は閉じた。
いつもルートとは学校の通り道で待ち合わせをしている。 その待ち合わせ場所で早めに来て待てば同級生がよく話しかけてくる。答え続ければルートは気遣いをし話しかけるなんてことをしなけなってしまう。
真顔で邪魔をしていけないと思ったからと淡々と理由を述べるルートを見る度にフェリシアーノはコイツらしいなんて思っていた。
でも決して待っているのは同級生なんかではなくルートなのだ。それを理解し話しかけてきて欲しいだなんて思う日々である。
フェリシアーノは淡々と歩きはじめ、見覚えのある背中に近づく。
フェリシアーノ・ヴァルガス
いつも通りに声をかけては驚かれて叱られる。
ルート・ヴィッヒ
それが毎日毎日楽しくてついやってしまう。ルートこそ誰かと話せばいいものを変なところでも生真面目でフェリシアーノをしっかりと待ってくれる。
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
と思っていると、ルートの大きな体からひょっこりと顔を覗かせたのは菊だった。 昨日見たのと変わらない感情が上手く読み取れない顔に白い肌絹のような髪。
引きこもっていたという話を聞いたから、その影響もあるのだろうかと少し脳裏に浮かんだ。
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
菊
そういうとくすっと笑って見せた。
フェリシアーノの考え通りルートと菊は生真面目なところが似ており気があったみたいだ。
約束していた時間より早く来てはお互いにピッタリ会ってしまいその間話し合っていたそうな。
ルートが"ホンダ"と呼ぶようにできるまでには。
2人が仲良くしていることに対して胸の辺りにどことなくポカポカしたものができた。 ワクワクしてきっと3人ならとっても楽しいって思えた。
初めて話した時に、きっと菊もすごく仲のいい友達になれると思わなかった。毎度の如く一緒にいる。例えばたまに話すくらいなら正直友達と言えないだろう。
菊もそうだと思っていた。
なのに、ここまで期待して友達になろう!だなんて言えるとは思わなかった。 同情かもしれない。友達もおらず寂しそうにしている彼への。
汚い感情だったのかもしれない。可哀想だから哀れだから、そんな自分勝手な感情で菊の友達になって、友達ごっこを始めようとしてたのかもしれない。
今ならわかる。そんなのじゃないって。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
菊
少し走ったあと振り返れば2人は顔を見合わせやれやれとしながらも優しく微笑んで追いかけてきてくれた。
歩くペースを揃えて、3人で歩いて行くのはどことなく優しく懐かしい感覚になった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
そうやって少し歩いた後に声を出したのはフェリシアーノだった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
菊は不思議そうにそう答えた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノは俺たちと!と見せびらかすようにルートの腕に飛びつき、体格のいいルートでも不意打ちのそれには少しよろめいた。
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
やはりヘタレらしくふざけたような感じでルートから離れ前へと少し飛び出る。
それを見ては愉快だと笑うのは菊であった。
菊
フェリシアーノを見て笑う菊は、フェリシアーノに提案されたお昼のことをかんがえていた。
フェリシアーノ・ヴァルガス
少し遠くの方からそう呼びかけられると菊は聞き返した。
菊
遠くまで届くように大きな声で。
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
ルート・ヴィッヒ
その言葉を聞いた時、空き教室ならば特にそこに用事がある人はいないだろう。ならば同級生だろうが3年生だろうが入ってこないはずだ。
聞けばそこは菊にとって安全地帯であった。
中庭の花壇は気に入っていたが未だにあの人に、王耀と顔を合わせるには気乗りしない。
ならば新しい友人と邪魔されない時間を送る方が有意義に思えた。
まあ正直生徒会が昼休み中に点検等をしだしたらそんなのも終わってしまうのだが。
そんなことはそうそうないだろう。
菊
了承の笑みを浮かべて菊はフェリシアーノに対して言った。
フェリシアーノ・ヴァルガス
驚きの顔が一気に崩れ優しく笑って見せた。
菊
なんて、その美形に気を取られ足を止めていた。
ルート・ヴィッヒ
菊
慌てて、足をすすめ少し転けそうになったがどうにか耐えた。
置いていかれるようにと足早にその場を立ち去り、2人に追いつく。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんて、優しい言葉をかけられては安心してゆっくりと学校へ向かった。
昼休み。 あたたかく日差しが向き空き教室を綺麗に照らした。 ガラガラとドアが開かれる音がし待っていた一人の男がこちらを向いた。
ルート・ヴィッヒ
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
楽しそうなフェリシアーノを隣に菊は礼儀正しくお辞儀をした。 フェリシアーノはよっぽどお昼ご飯が楽しみなのか歌を歌い出している。
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
朝の時と似たような話の流れが菊には丁度よく心地いい。 昔とは違って、これくらいだったらずっと辛くないのに、と考える。
昔は自分のできることを全て利用されていた気がしたからだ。
自分も、利用をしたのだけれど。
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
菊
まるでそうだと思っていたと言わんばかりの発言に?を浮かべる。
フェリシアーノ・ヴァルガス
菊
ルート・ヴィッヒ
菊
驚いて座っていた椅子から勢いよく立ち上がる。それに対して2人はびっくりしているも1番びっくりしているのは自分である。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
からかうフェリシアーノを叱るように軽く頭を叩いたルート。
慌てて呂律も上手く回らない菊。
菊
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんて会話をしたすぐにお弁当をそれぞれ開ける。
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
菊
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルート・ヴィッヒ
菊
なんて他愛のない会話をする。
すると急にフェリシアーノが意外な話をしてきた。 それは全く想像がつかず菊は聞き返すほどだった。
フェリシアーノ・ヴァルガス
なんの関連性もない。 本当に不思議な話。
菊
続く