感情色

attention 桃赤です。 地雷の方は控えてね！

ﾊﾞｷｯﾊﾞｷｯ

ｶﾂﾝ、ｺﾛｺﾛ

腹に蹴りを入れられる

今まで色んな所を転々としてきた

貴族

王族

商人

他国から俺を買いに来る奴までいた

大体は買った後監禁して拷問されて泣かされて

俺の涙は宝石だ

1粒で家ぐらいは買えるだろう

宝石の涙が出る原因は知らない

知る術もない

お願い

こんな世界嫌だ

誰か、誰か俺を

腹の痛みで目が覚める

俺の意思は無関係

大人しく着いていく

言う事を聞いていれば、痛いことはされないから

久しぶりの外は眩しくて目が痛い

息の詰まるような地下よりもずっといい

ピンク色の髪をした若い男に話しかけられる

急いで目元を隠す

目を付けられたら何をされるか分からない

ｸﾞｲｯ

俺の腕を引っ張ってニカッと八重歯を見せて笑う彼

久しぶりの人の体温と笑顔

ずっと地下に居た俺には眩しすぎて目が痛い

後ろを振り返る

物凄い剣幕で追いかけて来ていた男は黒い服を纏った男に押さえつけられていて

初対面のクセに守るとか、意味が分からない

でも、この人から目が離せなくて

ｷｭ

ピンクの人の手を掴む

ないくんが俺を抱き寄せる

ボロボロと宝石が零れていく

ないくんはそれを取ろうとはしなかった

自分も知らなかった

今まで、寒色系の宝石しか出してこなかったから

ないくんがガーネットを1粒取り、口付ける

ないくんに抱きつく

もう少し、こいつと生きてみよう

今までとは違うから

目から零れた宝石達は、家のシャンデリアや、お揃いのアクセに使った

世界にたったひとつしかない俺たちだけの物

この病気のせいで辛いことばっかりだったけど

今は、泣くことよりも笑顔の方が多いから

青空の下、男が1人呟いた