翠
今なら聞こえるッ!
桃
え
桃
ええ…?
翠
なるほど
翠
かわいい声じゃねえか
翠は桃を指差し
変なポーズをバシッと決めた
流石は翠
馬鹿とはいえ
やるときはやる
俺は自身に満ちた表情で
桃をちらりと見やる
桃
ほらな
桃
みたいな顔しないでよ
紫
これで協力者は二人だ
紫
頼りにしてくれ
桃
馬鹿と放屁魔なんて
桃
揃って雁首じゃん
切れ味の鋭いカウンターに
俺と翠は一瞬でリングに沈められた
顎下一発
脳震盪が目眩を連れてくる
だが
ここで負けるわけにはいかない
俺はふらつく足に鞭を打ち
よろよろと立ち上がる
こんなところで終わってたまるかよ
俺達には一年間のアドバンテージが存在する
わからせてやるよ
紫
雁首という評価の是正を求める
紫
翠には特技がある!
桃
どんな特技…
紫
まあ見てろ
俺の合図とともに
翠がリュックサックからけん玉を取り出す
だが
紐が絡まっていたらしく
もたもたと一生懸命ほどいている
桃
あの
桃
もう大丈夫だよ
桃は首を横に振り
絞り出すように制止を促した
紫
いやまて
紫
ここからだから!
桃
どう転んでも想像は超えないよ
翠
美少年くん
翠
俺のは凄いで
紐を解き終えた翠が
けん玉を勢いよく反転させる
ふわりと浮いた真っ赤な玉は
手首のスナップで強制的に軌道が変わり
ガコンと鈍い音が響く
弾け飛ぶけん玉
哀れにも
放物線を描いて窓の外へ落下していった
翠
え
翠
え
翠
何が起きた?
翠はめちゃくちゃ焦っている
嘘みたいな大失敗に
俺は腹を抱えて笑った
桃
これ
桃
何がしたかったの
紫
大皿に玉を入れるやつじゃない?
桃
初歩の初歩じゃん
紫
俺達はさ
紫
頑張りを評価してほしいんだ






