コメント
15件
ブクマ失礼します
ブクマ失礼します!
神作!! フォロー失礼します!
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
💗💙のお話。oOo。.
S.
大好きな彼
C.
S.
S.
僕とさとみくんは、周りから見ても 「兄弟みたい」と言われるほど
仲が良かった
そう言われるのも無理もないくらい
四六時中一緒にいて
"兄弟みたい"
僕は、そう言われるのが嫌いだった
彼のことが好きだったから
好きになるつもりなんてなかった
最初は「気の合う親友」くらいにしか 思ってなかったのに
「気の合う親友」は、いつの間にか
「大切な好きな人」に変わってて
彼が引っ越してしまうと知った日は
今考えても恥ずかしいくらい
ギャンギャン泣いてた
いつまでたっても泣き止まない僕に
さとみくんは、彼が大切にしていた ネックレスを
僕につけてくれた
S.
S.
そう言って、 僕のことを強く抱き締めて
彼は、遠くに行ってしまった
それから僕は
しばらくショックに打ちひしがれて
家にこもって過ごした
でも
きっとこの時間に意味はない
彼が、戻ってくると 約束してくれたのなら
僕は、それを笑顔で待つんだ
彼が、いつ帰ってきてもいいように
突然、思いついたようにそう考えて
もう泣かないんだ、と決心した
C.
あれから3年________.
ガラッ
C.
教室のドアを勢いよく開けると
クーラーの効いた、中の空気が 体を包み込む
Ri.
Ro.
僕は、さとみくんが引っ越してから
3度目の夏を迎えていた
高校に入って、たくさん友達もできて
特に仲が良くなった 莉犬くんとるぅとくんとは
2年生になってからも 同じクラスになった
Ri.
Ro.
そう言われて差し出されたのは
あの時、彼にもらった
十字架に、青くて光る石が はめ込まれた
銀のネックレス
C.
危ない、無くすところだった、 と思いながら
ネックレスを受け取る
この高校はアクセサリーは禁止だから
入学してからは、通学バックの 外ポケットに入れてた
でも、不覚にも落としてしまった らしい
もう二度とこんなことがあっては いけない、と
カバンの内ポケットに
そっとしまい込む
Ro.
C.
『大切なもの』
その言葉に、思わず彼と笑いあった 日々を思い出す
ねぇさとみくん
君は、まだ僕のこと
覚えてるかな
もう3年もたったから
どんなに仲が良かった僕でも
もう覚えてないかな
最近は、いやな想像ばかりしてしまう
会えなくなってしまってから3年も たった焦りからか
君との約束にも自信が持てなくなってしまった
でも、それでも
僕は君と約束したんだ
『待ってるから、』って
だから、今日も僕は
君を信じて待つ
Ri.
Ri.
C.
Ri.
C.
Ri.
Ro.
C.
Ri.
C.
Ri.
Ro.
Ro.
Ro.
Ri.
ガラッ
莉犬くんが話し出した瞬間
タイミングが良いのか悪いのか
担任が入ってきた
せんせい
Ri.
Ro.
僕の席を囲んで話していた2人が
自分の席に戻る
僕も、カバンを横にかけて
席に着いた
せんせい
担任が話しているのをなんとなく 聞きながら
窓の外に目をやる
僕は、窓側の一番後ろの席だから
こうやって、窓の外を眺めていることも多い
せんせい
しばらくぼーっとしていると
先程莉犬くんから聞いた
「転校生」というワードが出てきて
思わず教卓の方に目を向けた
せんせい
??
先生の合図とともに入ってきたのは
C.
"目が青くて…"
莉犬くんが、ポロッと言ったヒント
さとみくん、だった
あのころのさとみくんより
背は高くなっているし、 何となく大人な雰囲気をまとっているようにも見える
でも、それでも、
教卓の前に立ってにっこり笑った 彼の笑顔は
あの時と何ら変わらない
『さとみくん』だった
S.
S.
S.
S.
さとみくんの笑顔に
クラスの女子たちが黄色い歓声を あげる
帰ってきたんだ
"彼" が
約束、守ってくれたんだ
今にも溢れそうな涙を必死で堪え
彼を見つめる
せんせい
せんせい
S.
小さく頷いたさとみくんが
こちらに向かって、歩を進める
ドクドクと鼓動が早くなり
自分の心臓辺りに、手をやる
隣の席にたどり着いた彼と
視線が絡み合った
そのとき
一瞬、彼の目が大きく見開かれたように見えたのは
僕の一方的な期待から生まれた 願望だったのかもしれない
彼が僕に向けて放った言葉に
僕は固まった
S.
C.
初めまして、とは言われなかった
でも、彼の口から放たれた言葉は
明らかに僕を知らないからこその 挨拶だった
S.
彼が心配そうに見つめてくる
だから僕は
笑顔を作った
C.
今の笑顔は
きっとぎごちなくなかった
その証拠に
彼は何も疑わずに席に着いてくれた
C.
さっきとは別の意味で溢れそうになる涙を
グッとこらえる
心配かけちゃダメだ
"絶対戻ってくるから"
この約束は、ちゃんと果たしてくれた
だから、それだけで十分なんだ
そう自分に言い聞かせて
込み上げてくる気持ちを
何とか押しとどめる
C.
担任の話も聞かずに
心の中でそう唱え続ける
それでもやっぱり我慢できなくて
朝礼が終わると同時に
クラスメイトに囲まれる彼を横目に
トイレに駆け込んだ
トイレなかったのお許しください()
個室に駆け込み
ドアを開け閉める
C.
溜め込んでいたものが
一気に溢れてくる
さとみくん
さとみくん
なんで、なんでよ
ずっと会いたかった
会いたかった人に、会えたのに
こんなことになるなら、 会わない方がよかった
C.
C.
1度溢れ出したものは止まらなくて
次々流れてくる涙を
何度も拭う
これで、最後にしよう
そう考え、泣きたいだけ泣いて、 教室に戻ろうとしたのは
チャイムが鳴る、ギリギリだった
S.
1時間目の授業が始まってすぐ
さとみくんは、僕に声をかけてきた
転校初日だから
教科書がないのだろう
僕は、小さく息を吸って
いいよ、と答えて
机をくっ付けた
もう、逃げないから
さっき泣いてしまったばかりで
少し赤くなってしまった目を 隠すように
不自然な程に下を向く
S.
C.
幸い、気づかれなかったのか
その後は前を向いて授業を受けていた
僕はというと
チラッと視線を向けた時に見えた、 彼の笑顔に
あの時と同じ感情を抱いていた
C.
何とか頭から振り払い、 無理やり授業に集中する
勉強しようとしたら、 少しだけこの悲しさを忘れられる気がした
気づいたら授業は終わってて
またもやクラスメイト達が
さとみくんに寄ってたかって集まっていた
僕は、邪魔にならないよう
すぐに机を離す
それを
繰り返すこと、4限分
やっとのことで、さとみくんを取り囲むクラスメイト達が減ってきた
もぶちゃん
もぶちゃん
C.
S.
ちらりと横を見ると
さすがに質問攻めタイムに疲れたのか
未だにまとわりつく女子たちに困っているさとみくんがいた
結局こうやって
ちょこちょこさとみくんの方を 確認してしまうのも
この気持ちのせい
一刻も早く
消し去りたい、と思う
Ro.
Ro.
声のした方を見ると
いつも通り、莉犬くんとるぅとくんが
お弁当を持って待っていた
C.
そう答えて
僕もお弁当を持って
2人のところに走る
きっとこの気持ちも
時間が経てば消えていくんだ
そう思い込んで
C.
Ri.
C.
大好きな友達と
いつもの掛け合いをする
彼がいなくても
こんな楽しいんだから
きっと大丈夫
C.
C.
そう言いながら
奪ったウインナーを
口の中に放り込む
ジュワッと
お弁当特有の肉汁が
口の中をいっぱいにする
Ro.
C.
Ro.
C.
C.
Ro.
Ro.
Ri.
C.
笑いながら、
あぁ、楽しいな、と
心の中で思う
その時
ガチャッ
ドアが開く音がして
反射的にそちらを向くと
Ri.
Ro.
Ri.
手に、お弁当らしき物を持った彼は
当たりを見回した後、
人の少ない方へ歩いていった
Ro.
Ri.
C.
C.
Ri.
Ri.
………
たしかに
あの様子を見た感じ、1人なのかな、と思う
それなら
いいきっかけにもなるし……
C.
C.
Ro.
Ro.
Ri.
C.
Ri.
止める隙もなく
莉犬くんが彼の名前を呼ぶ
びっくりして振り向いた彼と
目が合う
Ri.
彼は、しばらく僕を 見つめていたけれど
莉犬くんの声に、ふ、と笑顔になって
S.
と笑いながら言った
Ri.
Ro.
勝手に盛り上がる2人を横目に
少し鼓動が早くなった心臓辺りに
手を置く
Ri.
C.
それでも
少しだけ、嬉しいと感じたのも
嘘じゃないから
もしかしたら思い出してくれるのではないか
なんていう馬鹿な考えを何とか 押し下げて
頷いた
Ri.
S.
Ri.
Ro.
C.
最初こそ少し気まづさがあったものの
ムードメーカーの莉犬くんがいたおかげで
話が途切れることなく、スラスラと 会話が進む
話を聞いていると、なんとびっくり
さとみくんは、都内の国立高校に 進学していたらしい
それが、親の転勤でこっちに戻ってくることになったとか
でも、わざわざなんでこんな普通の 高校に来たんだろう
そう思っていると
Ri.
S.
Ri.
僕の疑問を代弁するように、莉犬くんが聞いてくれた
Ro.
Ro.
Ro.
S.
彼は曖昧に頷きながら
空を見上げた
S.
S.
S.
少し寂しそうな表情が見えたのは
気のせいだったかもしれないけど
しし、と笑った彼は
今を楽しんでいるようだった
Ri.
Ro.
S.
S.
C.
得意げに話す彼が、なんだか可愛くて
思わず笑ってしまった
S.
S.
C.
S.
S.
S.
C.
Ro.
Ro.
C.
C.
自覚はなかったけど
今日の僕、そんなに笑ってなかったかな
いやさとみくんには1回くらい笑いかけたはずなんだけど
……でも確かに
今日はちょっと考えすぎてた
さとみくんが僕のことを覚えていないショックで
少し気が重かったけど
彼と少し話しただけで
肩に乗っていた重みが軽く感じる気がする
僕が考えているほど
僕の心は傷ついていないのかもしれない
………そうだといいな
C.
そう言って
さとみくんの頭を小突いてみる
S.
S.
彼はそう言いながら
今度は僕の肩にちょっかいかけてくる
少しだけ
あの時に戻れた気がした
ちょっとだけ
僕のことを思い出してくれなくても
このまままた一から始めても
いいと思った
C.
S.
S.
S.
C.
あれから僕達は
たった数日間で
とても仲が良くなった
授業中はこっそりLINEで会話して
先生に見つかって怒られて
お昼休みには
莉犬くんと
るぅとくんと
4人で屋上に行ってお弁当を食べる
僕も
彼のことは、あまり引きずらないで いられた
ふと
彼の笑顔を見た時に
胸が苦しくなる時はあるけど
それもすぐに振り払えるくらい
4人で過ごす時間は楽しかった
S.
C.
C.
C.
S.
C.
S.
C.
S.
ひとつ変わったことといえば
さとみくんが
本性を出してきたってこと
引っ越す前は
よくこんな感じでだる絡みされてた
こっちに戻ってきてから
しばらくは爽やかイケメンキャラ だったけど
少したったらすぐそのキャラも 崩れ始めて
今ではすっかりだる絡みキャラで
顔はいいくせに、宝の持ち腐れだと思う
C.
C.
C.
S.
そう言ってさとみくんは
ひとつ、大きく伸びをしてから
教室を出ていった
僕が所属している委員会は
僕の教室とは違うところで 活動しているから
荷物を取りに行くのに少し時間が いるし
暇そうだった彼に頼めば
ちょうどいいと思った
C.
そう呟いてもう一度
書き途中の活動書にペンを走らせた
C.
C.
呼びかけるように言いながら
小走りで教室に向かう
あの後
活動書を書き終わってもさとみくんは戻ってこなくて
さすがに遅すぎると思い
活動で使った教室を出てきた
C.
彼のことだから
何も言わずに先に帰るなんてことはないだろうけど
結局荷物もないし……
すれ違ったら面倒だな
と思いながら
自分の教室に向かった
C.
少しだけ空いたドアとの隙間から
中を覗き込む
彼は
こちらに背を向けた状態で立っていた
しかも
C.
カバンに何を入れればいいのか 迷っているのだろうか
そう考えて
僕は彼に近づいた
C.
C.
さとみくんの横に立って
何気なく、彼が見ていたのであろうものに視線を向ける
彼が持っていたのは
他でもない
大好きな君から貰った
十字架のネックレスだった
S.
C.
びっくりして、思わずたじろぐ
……もしかしたら
一度落として以来
カバンの内ポケットにしまうようにしていたから
教科書を詰める時
チラッと見えてしまったのかもしれない
それと同時に
彼は覚えてないんだ
という現実が、また蘇ってきて
少し思い出話をしたくなった
彼に彼の話をするのはどうかと 思うけど
覚えていないなら
かえって好都合だと思った
C.
C.
話し始めてから
彼の事を思い出にしたくない、と
今更思った
S.
C.
C.
C.
C.
C.
C.
C.
C.
S.
C.
C.
C.
S.
C.
C.
C.
C.
C.
C.
C.
S.
グイッ
C.
気づいたら僕は
彼の、腕の中にいた
彼はきっと
突然泣き出した僕に
困ってるだろうに
優しく、抱きしめてくれた
S.
そういった彼の声は
少し震えて聞こえた
C.
次々溢れてくる涙を無理やり止め
自分から、彼と体を離す
思わず
彼の優しさに、甘えてしまいそうになるけど
これ以上、心配をかける訳にはいかない
まだ少し残った涙を拭って
笑う
C.
C.
C.
C.
へら、と笑って
何気なく、窓の外に目をやる
S.
S.
S.
そんな彼の言葉は
どこか憂いを帯びていて
思わず、彼の方を見る
S.
S.
C.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
C.
S.
S.
S.
C.
S.
C.
S.
C.
C.
C.
C.
S.
ギュッ
C.
S.
S.
S.
S.
S.
C.
C.
C.
S.
S.
S.
S.
C.
ふいと顔を背けて
窓の外を見る
気づいたら外は
夕暮れ時になっていた
S.
ギュッ
S.
C.
さっきまでも
引くくらい泣いていたのに
彼の体に包まれると
また、涙が出そうになる
さとみくんは
僕のことを、忘れたりしてなかった
嫌いになったりしてなかった
ちょっとした思い違いで
お互い、忘れてると思い込んでただけで
あの時の約束は、果たされたんだ
S.
S.
そう言いながら彼は
僕の頭を
優しく撫でてくれた
彼が優しいのは
あの時と変わってないけれど
ずっと、その優しさに触れてなかったせいか
彼が優しくしてくれる度
込み上げてくる涙を、必死に我慢する
C.
C.
彼が
誰に対しても優しい人だっていうのは
僕がいちばん知ってる
だからこそ
その優しさから込み上げてくる涙は
悲しみの涙でもあるのかもしれない
S.
S.
S.
黙っていると
抱きしめられる力が
強くなる
C.
S.
S.
S.
C.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
C.
彼は
僕の肩に顔をうずめて
だから、と言って
話し続けた
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
C.
C.
S.
S.
S.
彼は少し笑いながら
そう言った
でも
きっとそれだけなら僕だって同罪だ
さとみくんは悪くないよ、と
震える声で言う
S.
S.
S.
S.
僕の体を抱きしめていた手を離し
向き合う
S.
S.
S.
S.
S.
S.
S.
ざぁっ、と
彼の声以外の、全ての音が消えた感覚
自分の心音が
異様なくらい、大きく聞こえる
さっきから、何度も抱きしめてくれる彼の胸に
自分から飛び込んで
忘れようと
消し去ろうとしていた想いを
一気に吐き出す
C.
S.
S.
S.
C.
S.
C.
S.
恥ずかしくなって
彼の胸に、顔をうずめる
S.
C.
S.
S.
S.
彼に抱きついてなかなか離れない僕を
彼が呼んでくる
C.
S.
C.
S.
C.
S.
C.
C.
S.
S.
S.
S.
彼を置いて教室を出て
軽やかに階段をかけ下りる
後ろから
彼が自分を呼ぶ声が聞こえる
思わず
くすっ、と笑みをもらす
気持ちを忘れ去る前に
こうやって伝えられて
良かった、と思う
C.
後ろから聞こえる、僕を呼ぶ声が
だんだん、近づいてくる
………相変わらず運動神経いいのも変わってないなぁ、と思う
C.
C.
少し余裕をぶっこいて
踊り場にある、窓の外に目をやる
夕日で真っ赤に染まった空が
彼の眩しい笑顔みたいに見えて
一瞬にして、目を奪われる
S.
その隙に
瞬きする間に追いついた彼が
横に並ぶ
S.
C.
C.
S.
C.
S.
C.
一見、今までと何も変わらないやりとり
でももう
彼のことが好きって言う気持ちを
我慢しなくていいんだ
ねぇ、神様。
僕ね、今
とっても幸せです_____。
.....end___.
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ
なごみ