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ヴァレテイン視点
ー数年前ー
数年前、僕が高校3年生の時のことだった。あの時の僕には胸を張って「親友」だと言える人がいた。
美羅
それが彼、雨ヶ月 美羅。彼は中学3年生の時に転校してきた転校生で、普通の人間だ。
この国には「魔女」と「人間」がいて、魔女は人間と違い魔術が使えて貴族の家に仕える人がほとんどだった。もちろん例外はいるけど。人間は魔女と違い魔術は使わない。使えないと言った方が正しいだろうか。
正確に言うと人間が魔術の勉強をし、魔術を使うと魔術が暴走する。最悪の場合魔術を使った人が死に至る。そのためほとんどの人間が魔術を使えない。もし、まだ魔女の力を発現していない普通の人間の皮を被った魔女だとしたら話は別だけど。そんな人僕は見たことない。
美羅は普通の「人間」だけど、僕は「魔女」。神と同じ力の3分の1が使えるため「祝福の魔女」と言われている。
…このことは美羅には言っていない。関係が変わってしまうのが怖いからだ。高校の校長に母親が言ってくれて、魔女全員がやる「魔術実技試験」も僕だけなしになった。
僕
美羅
僕
ヘラっと笑ってみせたが、彼は眉をひそめた。
美羅
僕
美羅
そう言って笑う彼が眩しくて、優しくて、「魔女であることをいつか打ち明けてもいいのかもしれない。」そう思った。
僕
美羅
学校の外に出て、見慣れた帰り道を歩く。もう遠くの空はオレンジ色に輝いていた。そんな遅い時間になってたのか。
美羅
僕
美羅
僕
美羅
僕
美羅
美羅
そんな風に他愛もない話をして帰るのが楽しかったし日々少ない幸せだった。…だから僕は寸前まで気付かなかった。
美羅に向かって鉄骨が落ちているのが
美羅
僕
美羅を突き飛ばしても距離的に僕も鉄骨に当たる。それなら魔術を使うしかないんじゃないか?そう思った。…いや、この際どんなこと言われてもいい!!守らないと…
僕
僕と美羅を囲う半円形のバリアを作った。防御力には結構自信がある。
美羅
鉄骨はバリアの頂上にすごいスピード落ちていった。鉄骨は半円形のバリアの横を転がって静止した。
美羅
僕は今にも泣きそうな顔をする彼に笑いかけた。
僕
美羅
美羅
僕
美羅
彼は目をキラキラさせながら、子供みたいな無邪気な笑みを浮かべた。
美羅
美羅
美羅
彼は興奮気味でどんどん声が大きくなる。通行人は「魔女が止めたならいっか」と一瞬こちらを見て無視する人達や「あいつ声大きいな。」とこちらを睨む人達もいた。
僕
美羅
人気が無い場所へ移動し、僕は彼に全てを話した。僕が魔女であること、神と同じ力の3分の1が使える祝福の魔女であること、関係が変わることが怖くて今まで隠していたこと全てを。
僕
美羅
彼がそう言ってくれたことが嬉しくて、僕は笑顔を浮かべた。
美羅
僕
美羅
僕
美羅
彼はそう言って笑った。いつもの冗談だと思って僕も笑っていた…が今回ばかりは本気だったようだ。
翌日から彼は魔術について僕に聞いてくるようになった。僕としては死ぬ危険がある以上教えたくはなかったが、あまりにも真剣そうに言うものだから教えてしまった。僕は人には甘いらしい。
僕
僕
美羅
数学や英語、その他諸々の勉強は嫌いだと言っていた美羅は人が変わったように魔術の勉強を始めた。
クラスメイト
彼が教室でも勉強しているからかクラスメイトもそう言っていた。僕も正直びっくりしているし、どうして彼がこんなにも魔女になりたがっているのか…きっかけも気になっていた。
何ヶ月か経った後、美羅はにこにこしながら僕の席に来た。…いや、美羅の席は僕の席の1つ前だからそんなに動いてないんだけど。というか座ったままでも余裕で話すことはできる。
美羅
僕
美羅
…そんなに言うなら親友としても信用してあげるべきか。
僕
美羅
僕達は校庭に移動した。まだ登校している人が少ないからか校庭にも人があまりいなかった。一応校庭に出るのは禁止ではないから大丈夫…のはず。
美羅
そう言って彼は長袖をまくった。そこにはいつ付けたのか分からない火傷の跡があった。ずいぶんと傷が広がってしまったようだ。僕は傷を指さして彼に聞いた。
僕
美羅
美羅
彼がそう言うと太陽の光が彼の手に集まり、焼けるかと思いきや数秒経つと火傷の跡は完全に消えていた。
僕
美羅
僕はぽかーんと彼の腕を眺め、彼は目をきらきらさせながら満足そうに僕を見ていた。
僕
美羅
そう言って彼は嬉しそうに笑った。見たところ害は手…魔術を使った場所の痛みだけ…
僕
僕
美羅
僕
美羅
彼が嬉しそうなのが親友としても1人の魔女としても嬉しくて僕も釣られて笑った。…でも、どうして彼がここまで頑張ることができたのか…彼が魔女だったとしても今まで人間として生きてきた分魔術の勉強は難しかったはずだし体への負担も大きいはず。
僕
そう言うと彼は少し不思議そうな顔をしてから言った。
美羅
僕
美羅
彼は僕の両手を握り、満面の笑みで僕に言った。
美羅
僕
…嬉しかったんだ。こうして僕のことを尊敬してくれて、笑い合えた親友がいるのが僕の一番の幸せだったんだ。…僕も君に助けられたんだよ。
僕
放課後になり、僕は帰り道を1人で歩いていた。美羅はこれからのことを先生話したり、委員会があったり…と時間がかかるらしい。別に1人で帰ることは寂しくないけどいつも美羅と話しながら歩いてたから新鮮だな。
そんなことをぼーっと考えていたとき…「彼女」に声をかけられた。彼女は僕を見るなりすごいスピードで僕に近寄ってきた。
???
僕
僕
彼女はフードが付いている服を着ていて顔がよく見えない。多分僕と同年代くらいの女性だ。彼女はこれまたすごいスピードでズザザッと後ろに下がった。
???
僕
本当は誘拐の危険もあるし会話を続けずに去った方がいいんだろうが、何となく彼女の話は聞いておいた方がいいような…そんな気がした。
???
???
僕
???
彼女は必死そうに僕に訴えた。でもよく考えてみてほしい。初対面の人にそんなこと言われて信じられるほど僕はお人好しじゃない。
僕
???
???
僕
僕は彼女を信じる気はない。さっき言ったように王様は多くの魔女に囲まれている。そんな人が魔女を全員殺せなんて…そんな命令を出すだろうか?
???
僕
僕
???
僕
???
???
彼女は数秒黙った後、こう言った。
ロゼ
彼女…ロゼはそう言い、どこかへ行ってしまった。
僕
僕は足早に家に向かった。
コメント
10件
時差コメ失礼!! 美羅さんの火傷痕ってもともとついてたわけじゃなさそうだし自分でつけた…?わざわざ?って感じがするんですけどどうなのかしら…🤔魔法取得の時についちゃったりしたのかな…そもそも話と関係あるのかな…← 魔女狩りはまだ正式に発表されてないのにロゼさんは知っていると言うことは王様の側仕えとかだったんでしょうか…めっちゃ気になります…
女装してる王様が魔女狩りってどーゆーことだってばよ、 てかなんかのゲームに居たな、女装して男色を嗜む王様、、
私は考察というものを諦めたよ…((( ロゼさん…怪しくないような怪しいような…でも名前が出てるから重要なキャラっぽい(?)