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桃瀬
暇なつ
いるま
こさめ
LAN
すち
みこと
暇なつ
病室のベッドの上、なつが少し尖らせた口調で手を伸ばす。その視線の先にあるのは、あのボロボロになったノートだ。 LANはそれをひょいと取り上げ、わざとらしく中身をパラパラと捲ってみせた。
LAN
暇なつ
なつのツッコミに、近くでリンゴを剥いていたすちが、おっとりとした口調で参戦する。
すち
暇なつ
呆れたように溜息をつくなつの隣で、こさめが「あーん」と剥きたてのリンゴを差し出した。
こさめ
暇なつ
そう言いながらも、断りきれずに口を開けるなつ。もぐもぐと咀嚼するその頬は、倒れた時よりも少しだけ赤みが戻っている。 その様子を、いるまとみことが満足げに眺めていた。
こさめ
こさめ
暇なつ
苦笑いするなつの視線が、ふとLANの持つノートに落ちた。 あの日、遺書のつもりで書き連ねた絶望。自分の居場所なんてないと思い込んでいた、独りよがりの言葉たち。 今思い返せば、耳の裏まで赤くなるほど恥ずかしい。
暇なつ
なつが枕元から取り出したのは、まだ表紙もパリッとした、真っさらな新しいノートだった。
暇なつ
俯き加減に呟くなつの言葉に、病室が一瞬、静まり返った。 そして、次の瞬間。
こさめ
暇なつ
みこと
LAN
わちゃわちゃと騒ぎ出す兄弟たち。 LANは手元にある古いノートをそっと閉じ、なつの新しいノートの表紙を優しく撫でた。
暇なつ
窓から差し込む陽光が、なつの瞳を明るく照らす。 もう、透明な自分を演じる必要はない。 ノートの1ページ目には、なつの筆跡でこう記されていた。 『今日、リンゴがやたらと甘かった。』 そんな、なんてことのない、けれどかけがえのない日常が、今ここから始まっていく。