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君がこの世で1番優しい

第17話 - 君がこの世で1番優しい第16話君がいない世界

3,201

2022年05月31日

#すとぷり

#るぅころ

#青春恋愛

みかれん

第16話君がいない世界

るぅとくんがいない

そんなこと思ってもみなかった

体では分かっているのに

心が追いつけてない

あの日、るぅとくんは

集合の時間にこなかった

なんか、おかしいなとは思ったけど

少し待っとこうと思って

家に居たら

さとみくんから電話がかかってきた

そしたら、

さとみくんが震えた声で

『るぅとが落ちた』

僕は信じられなかった

急いで病院に向かって

着いた時はまだ、るぅとくんの心臓は

動いていたから

頑張れ頑張れって

ずっと言ってた

そしたら、手が動いた

ほっとした、助かったんだって

『ころちゃん』

少しだけ目が開いて

小さな声でそういった

『大好き』

それが最後の言葉だ

小さな笑顔でそう言って

涙を流しながら

長い眠りについた

葬式が終わったあと

僕は動けなくなった

もう、どのくらいこうしているのかは分からない

何時間、いや

何日か経っているかもしれない

このまましていたら

干からびてるぅとくんのところに行けるのではないか

もうそれならそれでいい

そんなことを考えていると

？？

ｺﾝｺﾝ

裏口から音がした

？？

入るぞ

誰かはすぐ分かった

しかも、1人じゃない

4人で来ていた

さとみ

おい、ころん

莉犬

ころちゃん……

ジェル

ころん……

ななもり。

ころちゃん……？

ななもり。

大丈夫？

莉犬

元気出して……？

ジェル

お前、ご飯食べてないやろ

ななもり。

何か食べよう？

莉犬

いろいろ持ってきたよ

沢山気遣ってくれてるな

でも、もう無理だ

ころん

……

さとみ

……お前さ、何してんの

ころん

……？

莉犬

ちょｯ……さとみくｯ……

さとみ

るぅとの気持ち知らないだろ

ころん

！？

さとみ

今のころんをみてるぅとが喜ぶとでも思ってるのか？

ころん

そんなことなｯ……

さとみ

じゃあ、何してんだよ

さとみ

るぅとは……ﾎﾟﾛｯ

さとみ

るぅとはそんなころんを好きになってなんか居ねぇよ！！ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

さとみくんｯ……落ち着いて

さとみ

お前はるぅとのこと好きなんだろ！？ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

さとみ

なのに、こんなことして……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

ｯ……

さとみ

うｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

さとみくん……

ななもり。

ころちゃん、あのね

ななもり。

さとみくんの言うことも分かるんだ

ななもり。

すっごく分かる

ななもり。

だけどね、ころちゃんの気持ちも分からないわけじゃないよ

ジェル

そうやで、

ジェル

でもな、このままお前も死んだらな

ジェル

るぅとが、悲しむぞ

ころん

……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

なんでｯ……

ころん

るぅとくんまでｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

ダメだよぉ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

るぅとくんだけはｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

離さないように

離れないように

大切に大切に

包み込んでいたのに

また……

水のように

僕の手からこぼれていった

ころん

ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

ころちゃん、大切なものはね

莉犬

すぐに奪われてしまう事もあるんだよ

ころん

ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

さとみ

ころん、あのな

さとみ

るぅとが、亡くなる前の夜に

さとみ

『ころちゃんに会ったら渡してください』って

さとみ

これを渡してきたんだ

ころん

えっ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

それは、お祭りの灯篭と

るぅとくんのスマホだった

さとみ

なんか、るぅとは

さとみ

死ぬの分かってたのかな

さとみ

ってぐらい、頼み事してきて

さとみ

いきなりありがとうって言ってきたりしてた

ころん

えっ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

さとみ

今思うと不思議だよな

そうだ

さとみくん達は知らないんだ

るぅとくんのこと……

ころん

あのねｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

うん、

ころん

るぅとくんが亡くなる前の日……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ななもり。

うん

ころん

またやり直そうって言って……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

付き合ったの……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ジェル

え？別れたん？

さとみ

あ、そっか、知らねぇよな

ころん

その時にねｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

るぅとくんのこと

僕は全部はなした

さとみくんが辛くなってしまう気がしたけど

僕だけ知ってるのはおかしいと思うから

ころん

……これだけﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

さとみ

……

ジェル

ｯ……

ななもり。

……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

なんか、ごめんね

莉犬

ううん、ありがとう教えてくれて……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

ころちゃんと、別れようとしたのも何となくわかったから……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ジェル

そうやな

……

しばらく沈黙が続いた

僕はるぅとくんが残した

スマホと灯篭に目を向けた

なんでこんなものを残したのだろう

すると、燈籠に4桁の番号が書いてあった

ころん

あｯ……

すぐ分かった

るぅとくんのスマホの番号だ

0529

僕の誕生日

その数字だけで涙が出てくる

僕は震えた指で

その番号を押した

ころん

……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

また、涙が溢れてくる

スマホを起動してみると

メモ帳に

『ころちゃんへ』

『アルバム見てみて』

と書いてあった

るぅとくんらしいな

無駄な言葉がない

それさえも懐かしくて涙が出てくる

僕はすぐにアルバムを開いた

ファイルは1つもなかったけど

今までの分の写真が全てあった

僕たちの写真とか

2人で遊びに行ったところの景色とか

たくさんの写真があって

懐かしくて懐かしくて

あんなに泣いたのに

また涙が溢れてきて

それでも、スクロールをし続けて

１つ１つの写真をじっくり見ていった

そしたら、1番最後に

動画があった

しかも、るぅとくんの

勉強机に座って

こちらを見ながら微笑むるぅとくん

この日の日付は……

るぅとくんが死ぬ前の日

しかも夜だ

僕は震えながらその動画を見始めた

るぅと

『ころちゃん』

微笑みながら

優しい声で僕の名前を呼んだ

ころん

る、とくんｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

るぅと

『どうせ、泣いてばかりいるんですよね？w』

るぅと

『ちゃんと食べてますか？』

るぅと

『宿題終わりましたか？』

るぅと

『もうすぐ学校始まりますよ』

明日死ぬと分かってるのに

僕の心配だけをして

るぅとくんはいつもそうだった

自分ではなく

周りの人を優先して

そんな、優しい子だった

るぅと

『……』

るぅと

『色々話そうと思ってたんですけど……』

るぅと

『なんか、頭真っ白になっちゃいました……w』

るぅと

『ほんとは、手紙にしようと思ったんです』

るぅと

『でも、いざ書くってなると恥ずかしくて……』

カメラから目をそらす

恥ずかしがっている時のるぅとくんの癖だ

るぅと

『動画も恥ずかしいですねw』

るぅと

『えっと、ころちゃん』

るぅと

『嘘ついちゃってごめんなさい』

るぅと

『僕のこと絶対助けるって言ってくれたこと』

るぅと

『すっごく嬉しかったです』

るぅと

『だけど……』

るぅと

『死ぬ運命は変えられないから』

肩が震えている

時を戻して

この中にいるるぅとくんを

抱きしめたい

るぅと

『ほんとにごめんなさい』

謝らないで欲しい

守れなかった僕が悪いんだ

るぅと

『僕が悪い』

るぅと

『そんなこと思ったらダメですよ？』

あぁ、全部分かってるね

やっぱり凄いや

るぅと

『僕は、ころちゃんと』

るぅと

『この短い人生を一緒に過ごせて嬉しかったです』

るぅと

『楽しかったです』

るぅとくんは微笑んでいた

けど、目からは涙がこぼれていた

るぅと

『いつもそばに居たころちゃん』

るぅと

『ほんとにほんとに大好きです』

るぅと

『沢山幸せにしてもらいました』

るぅと

『だからもういいんです』

るぅと

『おなかいっぱい』

また、涙が出ている

大切な人をこんなに泣かせている

ほんとに最低だ

るぅと

『僕のお願い、聞いてください』

ころん

ぅん……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

るぅと

『幸せになって』

るぅと

『僕のこと忘れてもいいから』

るぅと

『他に大切な人を見つけて』

るぅと

『幸せになってください』

無理だ

るぅとくんを忘れるなんて

出来るわけない……

るぅと

『僕の全てを全部あげるから』

るぅと

『お願いします』

るぅと

『僕からはこれくらいです』

るぅと

『忘れてもいい……けど』

るぅと

『ちょっとは思い出してくれると嬉しいです』

るぅとくんの笑顔が見える

ほんとにそう思っているから

ほんとの笑顔が見れる

るぅと

『大好きです、ころちゃん』

僕もだよ、るぅとくん

るぅと

『幸せになってね』

るぅと

『ならないと怒りますよ？』

るぅと

『僕の分まで生きて』

るぅと

『この世界で1番幸せになってください』

るぅと

『それだけで十分です』

るぅと

『バイバイ』

るぅとくんは

泣きながら

でも、微笑みながら

こちらに手を振った

そこで、動画は終わって

画面が黒くなった

その画面には

自分の涙でぐちゃぐちゃになった顔が映っていた

ころん

うｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ころん

ううｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

さとみ

……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

莉犬

るぅちゃｯ……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ジェル

ｯ……

ななもり。

るぅとくん……ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

その日はみんなで泣き疲れるまで泣いて

そのままみんなで寝てしまった

第16話終了

続き♡1500

君がこの世で1番優しい

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みかれん

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