匿 名 ヒ ー ロ ー

耳がいたくなるぐらい

、

こいつの泣き声が

リビングに一斉に響く

なにも考えてないように

がむしゃらに泣いた

… 俺は慰められなかった

慰めたら

… 安心してまた泣いてしまうから

好きなように泣くのをただ

、

見守っていただけだった

数分間泣いてから

やっと正気に戻ったのか

泣きたくても涙を押さえて

こいつはいつものように微笑んだ

残った涙を拭きながら

目を細めて

俺を見た

そういって

寝室にあった布団を

用意して

そのまま俺はソファに横たわった

… そういったが

返事がない

ふと思って

ソファから あいつがねている床を見た

布団に横たわって約三秒 …

こいつ 、

めっちゃ寝るの速い …

… まあ 、疲れたんだろ …

俺は幸せそうに寝ている

こいつの顔を見たら

自然に笑顔が溢れてきて

自然に

口を開いた

前までまともに言えなかった

「 ありがとう 」

…

自分でもこの言葉を言ったのに

驚いて

、

また笑顔が溢れた

… やっぱ 、

ヒーローには ありがとうって言わないと …

笑