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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

エントリーハンバーは195。

ここで呼ばれなかったら。

「続いて、No.194。 以上が、準決勝の合格者となります。」

....

あぁ。

呼ばれなかった。

やっぱり、あんたには 才能なんて元々無かった んだよ

え…?

え、なに? まだチャンスがあると でも?

んなわけないでしょ?

そんなこと…

まだ分からない、

はっ、もう終わった事なん だし。

さっさと手を引けばいい のに。

違う。

母さんだって、もう見放し てるよ

違う。

私の分身のくせに いい加減自分の無能さ に気づけば?

違う。

違う違う。

違う違う違う違う違う違う…!!!

私は能無しじゃない

母さんだって見放してない

私は…!

深春

私は!!!!

深春

…あれ

深春

なんでまた…

深春の祖母

みーちゃん?

深春の祖母

…大丈夫かい?

深春

うん…ごめんね、おばあちゃん。驚かせちゃって

深春の祖母

また、コンクールの事、夢に見たんか

深春

それは…

深春の祖母

…はぁ、音大なんて、そんな無理して行かんでも良いよ?みーちゃんがつらくなっちゃうだけじゃろ?

深春の祖母

まだ、麻衣の事、忘れられてないのかい?

深春

深春

大学は、行くよ。

深春

ピアノは母さんの残してくれた、形見だもん。

深春の祖母

そうかい…

深春の祖母

ほんじゃぁ、沢山食べて元気付けなきゃいけんなぁ

深春の祖母

ほら、着替えたら下においで、ご飯作ってあるから。

深春

うん、ありがとう、おばあちゃん。

確かに、おばあちゃんの言う通りだ。

高3で出たピアノコンクールの事は 忘れられないし

その日の朝に、静かにこの世から消えた母のことも忘れられる訳が無い。

あの時、決勝までいけたら。

何か変わっていたのか。

それとも辞退すべきだったのか。

あの時は、

既に出場決定していた準決勝で勝ち抜く事が母への恩返し

その一心だった。

今でも

才能なんてないんじゃないか

母にはもうとっくに見放されてるんじゃないか

そう考えてしまう。

無意味なのに。

夕方頃のこと。

真琴

うわぁぁぁ、懐かしい

真琴

全然変わってないや…

深春

…あれ、まこっちゃん?

真琴

へ?

深春

まこっちゃんだよね?ほら、同じピアノやってた!

真琴

えーと。

真琴

どなた様で…

深春

覚えてないの?深春だよ、深春!

深春

真琴君でしょ?

真琴

…あっ、みーちゃん?

深春

そぅ!

真琴

まじで!ごめん、気付かんかった…!

深春

ほんとに??ひどいなぁ、もー。

真琴

マジでごめん!

真琴

麻衣先生は?元気にしてる?

深春

え?

深春

あー…母さん…ね、

深春

まこっちゃんが引っ越して直ぐ

深春

死んじゃった。

真琴

え、

真琴

そっか。

真琴

ごめん、知らなくて

深春

いいよ、私も言ってなかったし。

真琴

ごめん。

深春

そんな謝んないでいいよぉ、こっちが悪いんだからさ。なんか、その時なんもやる気起きなくて…

深春

…ねね、ドイツで何してたの?

真琴

あ、ドイツで?

真琴

えぇとね

深春

待った!

深春

カフェ行こ、カフェ

深春

そこでじっくり聞くから!

真琴

お、おう…

真琴

あれ、こんなとこあったっけ?

深春

まこっちゃんが引越してすぐ出来たんだよー

深春

あれ、なんで引越したんだっけ?

真琴

あれ?言ってなかったっけ?

深春

うーん、多分言ってたんだろうけど泣いてて覚えてない

真琴

大泣きしてたもんね、みーちゃん

深春

ほんとだよ〜めちゃくちゃ悲しかったんだよ!?母さんも「寂しい」、「深春だけじゃつまんない」って言ってたし。まったく、実の子なのにねぇ?

深春

…あれ?何の話だっけ?

真琴

あ、なんで引越したかってやつ。

深春

そーだ。

真琴

えっと、おやじがドイツの音大関係の人と仲良くて、その伝手でドイツの音大に入学してみないかーって言われて

深春

そっかー、もう高3だったもんね…

真琴

みーちゃんは?

深春

え?

真琴

なんか、コンクールとか

深春

あー、うーんと、まこっちゃんが引越して2ヶ月後?ぐらいに、1回コンクール出たっきり。

深春

その時でさえ、準決勝止まりだったからねぇ。

深春

経歴がもう月とすっぽんだねっ!

深春

そういえば、なんで帰ってきたの?

真琴

学校の設立記念日?だかなんだかで1週間休みになったから。

深春

へー…

真琴

ねぇ、みーちゃん?

深春

ん?

真琴

急なんだけどさ。

真琴

僕の友達がやってるジャズバーでピアノの演奏してくれない?

深春

…え?

なんで

なんでそんな急に。

また新しく、ピアノを好きに なれるチャンスかもしれない。

私は何も出来ない。

たくさんの賞賛を浴び ていた、あの頃の栄光を

私の演奏なんて、誰が 好むの?

ピアニストじゃないけど、 良さを分かってくれる人は いる。

母さんに見放されたも 同然なのに。

まこっちゃんが誘ってくれた のも、良いタイミングだった のかもしれない。

なんで今更言うの。

母さんもきっと、喜んで くれる筈

無神経

音大に行ってるからこそ なのかもしれない。

なんで、ピアノに執着して るんだろう。

音楽をやる意味を、再び 見い出せるかもしれない。

私はピアノの何が好きだった んだろう、

もう、あの頃のことは引き摺る 必要はない。

思い出したくない、

もしかしたら、コンサート ピアニストになれるかも。

なんで私は、淡い期待 ばっかしてんの。

自分を卑下するのも、もう 無くなるかもしれない。

私の、ピアノに対しての想いは こんな事でグラつく程 弱いんだなぁ。

新しい世界に飛び込める!

自信なんて持てる筈無い。

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