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ねこねこにゃんこ
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#〔インターネット少年/少女〕
狸野 ゆゆせ
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コメント
1件
みぅです🤍🥀 読み終わりました…。 いや、もう、ひかりちゃんの「嫉妬って自分で認めたくないけど、でも確かにそこにある」っていう、あの感じがめちゃくちゃリアルで…。レイが「見てたの?」って聞くところ、あそこすごく好きです。なんでかって、知られたくないのにバレてるっていう照れと戸惑いが全部詰まってて。 通話後の「ちゃんと見ていたい」って思ってるのに気づかないふりするところも、もう、恋の入り口ってこうだよな〜って胸がギュッてなりました。お互いの空気感が丁寧で、読んでてすごく温かくなれたエピソードでした🌙
その日の朝、朝比奈ひかりは、なんとなく通知欄を何度も見ていた。 別に、意味はない。 本当にない。 ただ、タイムラインが少し騒がしいだけだ。
「月城レイ、今日は他箱コラボ」
その文字を見つけた瞬間、ひかりは一度だけ、指を止めた。 ……ああ、そうなんだ。 別に珍しいことじゃない。 レイはもともと、人との距離感がうまい。 初対面でも妙に空気を壊さないし、相手が話しやすいように軽口を挟むのも得意だ。 だから、他の人とコラボしたっておかしくない。 おかしくない。 なのに。
ひかりはスマホを伏せて、少しだけ唇を結んだ。
朝比奈 ひかり
誰に言うでもなく呟いて、机の上のマグカップを手に取る。 中身はもう少しぬるくなった紅茶だった。 その日のひかりの配信は、いつも通りに始まった。
雑談をして、コメントを拾って、笑って、少し歌って。 画面の向こうでは変わらず穏やかな空気が流れていたけれど、ひかり自身は、どこか一枚だけ薄い膜をかぶっているような気分だった。
「今日はなんか、声やわらかい気がする」 「眠い?」 「ひかりちゃんかわいい」
コメントはそんなふうに流れていたけれど、ひかりは内心で少しだけ首を傾げていた。 眠いわけじゃない。 機嫌が悪いわけでもない。 なのに、なぜか落ち着かない。
――レイの配信は、もう始まってるころだろうか。 ふとそんなことを考えて、ひかりは心の中で即座に否定した。 見に行く必要なんてない。 だって、ひかりは今、自分の配信中なのだから。 わざわざ気にすることじゃない。 けれど。
「ねえ、ひかりちゃん。今日ちょっと元気ない?」
朝比奈 ひかり
コメントの一文に、思わずひかりは笑ってしまった。 鋭い。 鋭すぎる。
朝比奈 ひかり
そう返しながらも、ひかりの声は少しだけ遅れていた。 自分でも分かる程度に、ほんの少し。 その頃、レイは別の枠で、いつも通り落ち着いた顔をしていた。 他箱の相手は、明るくて話題も豊富で、初対面とは思えないくらい空気を回すのが上手かった。 レイもそれに合わせて、軽口を返す。 配信は順調だ。 コメント欄も盛り上がっている。
「レイさん、話しやすい!」 「空気感いい」 「この組み合わせ新鮮」 「レイ、今日はちょっと優しい?」
レイは笑って、それにうまく返していた。
月城 レイ
「それはない」
月城 レイ
そんな調子で、配信は進んでいく。 けれどレイは、ふとした瞬間に気づいた。 ひかりが、今日はやけに静かだ。 もちろん、配信時間は被っていない。 コメント欄に来ているわけでもない。 ただ、いつもならもう少し何かひと言送ってくる気がした。 たとえば、配信前に「がんばってね」とだけ来ることもあるし、終わったあとに「おつかれ」と短く連絡がくることもある。
今日はない。 ……珍しいな。 レイは一瞬だけ眉を寄せたが、すぐに表情を戻した。 配信が終わるころには、ひかりの方も無事に枠を閉じていた。 おつかれさま、またね、といういつもの挨拶。
コメント欄は温かく、配信もちゃんと成功した。 なのに、部屋に戻ったひかりは、なぜか少しだけ落ち着かないままだった。 スマホを手に取る。 通知は、ない。
……いや、ないのは当然だ。 別に、レイから何かを期待していたわけではない。 本当に。 ただ、少し前なら、このくらいの時間に雑な一言くらいは来てもおかしくなかった気がして――
朝比奈 ひかり
ひかりは一人でツッコんで、少しだけ笑った。 でも、その笑いは長く続かない。 画面を見つめていると、数秒後にようやく通知が鳴った。
月城レイ:おつかれ
たったそれだけ。 それだけなのに、ひかりは一瞬で反応してしまった。 ……遅い。 いや、全然遅くない。 普通だ。 普通なのに、なんで少しだけ胸がざわつくんだろう。 ひかりは数秒見つめてから、短く返した。
朝比奈ひかり:おつかれ
送ったあとで、また少しだけ沈黙する。 それから、結局スマホを持ったまま、レイのアイコンを見つめてしまった。 そんなとき、再び通知が来る。
月城レイ:今、空いてる?
ひかりは、ほんの少しだけ目を見開いた。 空いてる。 もちろん空いてる。 でも、なんだろう、この感じ。 わざわざ聞かれると、少しだけ構えてしまう。
朝比奈ひかり:空いてるよ
すぐ返すと、数秒後に通話が繋がった。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイの声は、いつも通りだった。 けれど、少しだけ静かに聞こえる。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイが少しだけ笑った気配がした。 ひかりはその声を聞いて、余計に落ち着かなくなる。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりがそう聞くと、向こうは少しだけ黙った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、思わず息を止めた。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
即答だった。
ひかりは、返す言葉を失う。 レイはいつもこうだ。 こちらが誤魔化そうとすると、すぐに見抜く。 しかも、見抜いたあとに追い詰めるわけじゃない。 ただ、そこに気づいているとだけ言う。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ唇を尖らせた。 その“だったらいいけど”が、なんだか妙にひっかかる。
朝比奈 ひかり
言った瞬間、ひかりは自分で自分に驚いた。 通話の向こうが、わずかに静かになる。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、ほんの少しだけ笑った。 けれど、その笑い方は、いつもよりずっとやわらかい。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、そこで完全に言葉をなくした。 気にしてた。 たしかに気にしてた。 でもそれを、本人の口から言われると、妙に恥ずかしい。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイの声が、少しだけ軽くなる。 ひかりは、電話越しなのに、顔が熱くなるのを感じた。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、そこでくつくつと笑った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、負けた気がして、ふいに視線を落とした。 こんなふうに、レイが誰かと自然に話しているのを見るのは、初めてではない。 けれど今日は、なんだかやけに胸がざわついた。 それはたぶん、相手が“知らない誰か”だったからじゃない。 ひかりが知らない顔をしていても、レイがいつも通りに話せる相手が、自分以外にもいると見せられたからだ。 それが、少しだけ、嫌だった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイの声はさっきより少し静かだった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは黙る。
月城 レイ
その言葉に、ひかりは目を瞬かせた。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、少しだけ間を置いてから、低い声で続けた。
月城 レイ
その一言で、ひかりは完全に黙った。 ずるい。 そう思った。 こんなの、ずるい。 こちらが少しだけ気にしていたことを、まるで最初から分かっていたみたいに返してくる。
朝比奈 ひかり
ようやく出た声は、自分でも驚くほど小さかった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
また沈黙が落ちる。 でも今度は、さっきみたいなざわつきじゃない。 胸の奥が、少しだけ静かになる沈黙だった。 ひかりは、口を開くタイミングを探して、それからあきらめたように笑う。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイが、少しだけ息をついた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その言い方に、ひかりはまた少しだけ心を乱される。 どうしてこの人は、軽口みたいな顔をして、妙なところで本音を混ぜるのだろう。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイは、少しだけ笑った。 それから、わざとらしくない声で言う。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは一瞬、言葉を失ってから、ぷっと吹き出した。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
返せない。 完全に返せない。
レイは、通話の向こうで満足したように笑っていた。 ひかりは、しばらくしてから小さく息を吐く。 胸の奥にあったもやもやは、まだ少しだけ残っている。 でもそれは、もう嫌なものではなかった。 気になる。 嫉妬した。 でも、それを言っても大丈夫だと、少しだけ思えた。
朝比奈 ひかり
ぽつりとそう言うと、レイは一拍置いてから答えた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、その返事だけで、少しだけ安心する。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
通話を切ったあと、ひかりはしばらくスマホを握ったまま動けなかった。 嫉妬だったのかもしれない。 自分でもよく分からない。 でも、レイが自分以外の誰かといるのを見て、胸が少しざわついたのは確かだった。 そして、それをレイに気づかれたのも、悔しいくらいに確かだった。 ひかりは、ふっと笑う。 ……もう少しだけ、ちゃんと見ていたい。 そう思ってしまったことに、本人はまだ気づかないふりをした。