テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
右手――
それは筆を持つ部位。
小説を書く部位。
あるところに一人の男がいた。
男はWeb小説家であり、ライトノベルの真似物を日々書き連ねていた。
そして、ある時に男は思ったのだ。
「右手が自我を持ってくれたらなー。おいらはもっと楽できるのに」
翌日、男が目を覚ますと、六十枚ほどの原稿用紙が埋まっていた。
男は驚愕した。それはまさに男の文体そのものだったのだ。
男が眠りながら書いたのでなければ、こんなことはありえない。
「一体何が起こってやがんだ……」
「おいら馬鹿だからわかんねえや……」
「いや。待て……まさか……」
男の右手にはペンがあった。
・一日目
目が覚めたら原稿ができていて、右手がペンを握っていた。おいらが書いたんだ。おいらが書いたんだ……。
・二日目
今日も原稿ができていた。それも100枚だ。恐ろしくて今晩は眠れないかもしれない……。
・三日目
めっちゃ寝た。そして、今日も原稿はできていた。
おいらは確信したぜ。これは神様からのプレゼントさ。おいらが楽できるように、おいらの意識がない間に神様が書いてくれてんだ。
・四日目
ええっとよぉ……気のせい、とは思うんだが……
右手がおかしいかもしれん。なんか、言うこと聞かない。
・五日目
…………
・六日目
右手が、喋った。
・七日目
ども、自我を持った右手です。
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
右手
ノベルアップ+ 「怪談コンテスト2026」
右手
右手
右手
右手
右手
以下、極めて五月少女から。
まだまだ未熟なおれですが、未熟なりに書いてきました。
物語も文章も酷い。けど、こっから絶対のし上がってやりますよ。
一人称が「おれ」になった。
前は「わたし」で、その前が「俺」だった。
約18年は「俺」で生きてきた。これで少しだけ前みたいに戻ってきたおれもいるかもね。
おれになって気が付いたことだけれど、どうやらおれは物語を書き始めてから、ずっとスランプにいるみたいだ。
だって、どこまで行っても「こんなもんじゃねえ」って感じなんだもん。
他サイトの大会に行くことにって、ちょっと寂しい気分だぜ。
そういや、テラーノベルにはたくさんの仲間がいたけど、みんな辞めていったよなぁってな。
現実との折り合いを付けたやつ、エロのためにピクシブへ行ったやつ、たぶん病んで消えたやつ。
今も書いててたまにコメントするやつ、もう話さなくなったやつ。
色んな仲間がいるが、おれは全員忘れてねえぞ。
じゃ、お前らはテラーノベルからぜひ願っててくれ。
おれの勝利を、念願の初勝利を。
ノベルアップ+
ユーザーネーム「極めて五月少女」
作品名「ルリ」
本日17時45分に全文公開予定。
よろしく。
コメント
3件
いってらっしゃい
読み終わりました……! 「右手が自我を持った」っていうSFじみた始まりかと思いきや、最後はちゃんとリアルな覚悟と決意がにじんでて、すごくいい緊張感がありました。 特に「おれは全員忘れてねえぞ」ってとこ、胸にきました。仲間をしっかり覚えてる感じが好きです。 右手の軽妙な語り口と、その後の真剣な極めて五月少女さんのギャップがめちゃくちゃ刺さりました。 「ルリ」、めっちゃ気になります。読んで応援したいです……!🌙