つまり、君と過ごすこの瞬間が

ケラケラと笑うおらふくんの声が 部屋に響く

リビングに置いた大型のモニターで 俺とおらふくんは 自分たちの動画を見ていた

どうしても 情けない自分の姿ばかりが流れてくる…

ソファに座る自分の足元 そこに座るおらふくんは クッションを抱えながらケラケラ笑ってる

自分の心の声にハッとする

最近、こんなことばかり考えている

メンバーといるときは普通に話せるし 撮影の時だって問題ない

ただ、2人きりになると 以前には無かった感情が湧いてくる

俺の方をおらふくんが見上げてくる

俺を見る上目遣いおらふくんが可愛過ぎて 俺はまともな返事ができなかった

不審に思ったのか おらふくんが首を傾げている

グッズ化して欲しい

俺は動揺を隠すように おらふくんから目を逸らした たぶん目が泳いでいる

俺のあまりに不審な態度に おらふくんを 不安にさせてしまったのだろうか

単におらふくんの可愛さに 悶えていただけなんだが…

そう、そもそも今日はMENも来て 3人で部屋呑みをするはずだった それなのに急に来れなくなったと MENから連絡があった おらふくんと2人きりになる準備ができてなかった俺は、動揺しまくりだ…

そこは強めに否定 むしろ逆だ

可愛いだけじゃなくて 優しいこの青年を育ててくれたご家族に 俺は感謝しかない(ありがとう…！)

思わず笑ってしまった

俺がおらふくんに対して 嫌だと思うことなんて一つも無い

あるわけない

俺は自分の失言に気づいた

これじゃあまるで……

何とか言葉を捻り出す

またケラケラとおらふくんは笑いだす

そう言いながらおらふくんは テーブルの上に置かれた酎ハイの缶に 口をつける

そう言って俺が飲みかけてた ビールの缶を差し出した

ちょうど動画の中のドズさんの 大きな笑い声が聞こえてきた それを見てまたおらふくんは 楽しそうに笑ってる

飲みかけの 少しぬるくなったビールを 一気に流し込む

自分のこの感情は考えないようにしていた

こんなに愛らしくて 優しい青年に対して抱くこの感情が ひどく汚らわしく思えたからだ

動画の中の自分は 唐突にマグマの中に落ちていった

残っていたビールを流し込もうとした時 おらふくんがおもむろに立ち上がった

立ち上がったおらふくんは ソファの俺の隣に座った

楽しそうに 自分の持っていた缶を 俺の缶にぶつけてきた

俺の持っている缶が ほとんど空だと気づいたおらふくんは また立ち上がろうとする

俺は立ち上がり、冷蔵庫へと向かう 冷えたビールやら酎ハイ、おつまみを抱えて元の場所に戻る

2人並んでソファに座り 新しく缶を開けながら 大きな画面の中ではしゃぐ 自分たちを見ていた

動画を見ながら2人で笑い合う

難しいことを考えるのはやめよう こうやって楽しく過ごせるから いいじゃないか

横に座るおらふくんを見る

少し幼さが残る綺麗な顔立ち 艶のある肌、髪

……ずっと見ていられる

俺の視線に気付いたのか おらふくんもこっちを見る

少しだけ酔いが回ってきた

おらふくんと過ごす この空間 この瞬間の居心地が良過ぎて 俺の頬は自然と緩んだ 動画の面白さも相まって、フフッと笑いながらまたビールに口をつけた

おらふくんが静かなことに気づいて 彼の方を見る

ていうか 俺今ヤバいこと言った？ 言ったな

どう言い訳をしよう テンパってうまく言葉が出てこない

おらふくんはというと 酎ハイの缶を握りしめて うつむいている

ドン引き、かな このまま気まずくなる予感しかなかった