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赤
かすかに桃が息を呑んだのが聞こえた。
その音は静寂となって消えていく。
桃
桃
赤
赤
母さん
幼い俺には、抱えきれなかった。
赤
今なら恨むことも妬むことも、 自分を正当化することだってできる。
母さん
あのときの母さんだって、 きっと辛かった筈だ。
赤
赤
こんなことだって日常の一コマだった。
俺と母さんは辛さと寂しさを半分に していた。
母さん
母さん
母さん
だから俺は、『オトウサン』が 大嫌いだった。
でもそれを母さんには言えない。
母さん
母さん
母さん
母さんがどうしても運命に抗えないことを幼い俺でも分かっていたんだと思う。
赤
赤
赤
赤
だけれど、
幼い俺は、 どうしようもなく馬鹿だった。
赤
母さん
母さんの辛そうな声が離れない。
母さん
赤
赤
母さん
母さん
俺はずっと、周りを見ていた。
母さん
母さんのことは大好きだった
愛してるの言葉が虚無に感じないほど 俺は母さんが大好きだった
赤
無理やりに作った笑顔がひくつきながら
何度も髪の毛を触った。