君になりたくて

明里はため息をつきながら階段を下って行った。

でもバレーが嫌いな人に無理やりさせるなんてこともしたくない＿＿＿

すると階段の踊り場で立っている凌の姿が目に入った。

凌は後頭部をぽりぽりとかいた。

明里の顔は思わず微笑んでしまう。

凌は少しだけ微笑んだ。

明里はその笑みに思わず胸を高鳴らせた。

明里は部屋に入って、ベットに横になった。

自分で言っておいて、だいぶハードル高いかも＿＿

バレーを好きにさせる、ならバレーを楽しくしてもらわないと

そのために自分がバレーの魅力をもっと知る必要がある…

いやいや！

ごちゃごちゃ考えても仕方ない！

先程お店で購入したバレーボールを両手に抱えた。

パンッ…

ボールは１回で違う方向に飛んでいってしまった。

明里は宙にボールを浮かせて…

ゴッ

ボールが明里のおでこに直撃した。

キキィ…

その時、自転車が目の前で止まった。

凌が小走りで明里のほうへ来る。

すると凌は袋の中からコーラの缶を差し出した。

明里はコーラの缶を受け取った。

すると凌は明里の方に手を伸ばしてきた

明里の前髪をそっと指で払った。

パンッ…

またボールは違う方向に飛んでいく。

凌は優しく両手でボールを投げた

トンッ…とボールは綺麗に凌の元へ帰った。

明里はぱあっと顔を明るくさせた。

すると凌は明里の後ろに回って、

後ろから手を伸ばし、明里の両腕を掴んだ。

まるでバックハグ

距離が近くて

桐山くんの声がすぐそばで聞こえる。

凌が明里から離れ、明里はそれに安堵した。