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次の休日に蜂楽の学校に行くと決めて、今日の放課後は玲王に会いに行こうと話した。
その間に御影コーポレーションについて調べる。
スマホを指で滑らせていると 後ろから友人がワッと声をかけてきた。
友達
ポムポムと肩を叩きながらそう述べる彼に
俺はまあまあだと答え、偵察用のメモ帳を渡す。
ペラペラとページをめくる友人を横目に
俺はスマホで「御影玲王」と検索を掛けた。
どうやら御影コーポレーションの事を色々手伝ってるようで
すぐに検索結果に出てきた。
相変わらず整った綺麗な顔に紫色の髪。
懐かしさに浸りながら
前世より少し細身の玲王を眺めた。
体格から分かる。
スポーツをしていない。
千切と國神をみてサッカーをしている のではないかという希望は薄れていたが、
会う前から分かってしまっては
なんの為に逢いに行くのか分からなくなってしまって
虚しくなり目を伏せた。
すると横からスゲェ!!と元気な声が上がる。
びっくりして反射的に目線を向けると
らんらんとした目の友人がメモ帳を見せながら
友達
友達
と俺を褒めちぎる。
照れ臭くなって目を逸らしながら
潔
と、にやけながら返事をする。
褒められるのはやっぱり嬉しいなと実感した。
まだサッカーの分析力が衰えていないのも同時に感じて
更に嬉しくなった。
二子もどうやら
御影コーポレーション、及び御影玲王の事を調べた様で
どこか浮かない表情のまま 玲王の居る学校に到着した。
どこか元気の無い二子の背中を軽く叩く。
まだ筋肉があまりない二子は少しよろけて
二子
とムスッとした顔つきでそう言う。
ここで再確認する。
前世とは全くフィジカルが違う。
二子の前なのもあって、落ち込んだ顔が出来ず
潔
と笑いながら謝った。
けれど二子は何となく察した様で、
更に不機嫌な顔をしてそっぽを向いてしまった。
その瞬間二子が
二子
と声を漏らす。
なにか見つけたのだろう。
俺も二子の目線の方を見る。
紫色の髪。
周りより少し背が高いからか、
その紫色の髪が更によく目立つ。
潔
ぽそりと呟くと、玲王がこっちを向く。
まるで呟いた声が聞こえたかの様なタイミングだったから、ドキリとした。
しかしこの距離から聞こえている筈もない。
他校の制服だから此方も此方で目立っていたのだろう。
玲王が自分の周りを囲うように立っている人々に謝りながらこっちに来る。
何を言われるのか、
少し怖くて無意識に逃げようとした。
しかし後退りしようとする俺の手首を二子が掴んで離そうとしない。
冷や汗をかきながら、
俯きながら
玲王が近付いてくるのをただただ待った。
もしかしたら他校に不法侵入で訴えられるかもしれないなんて事を考えながら。
そんな考えとは打って変わって、
玲王が俺らに掛けた一言目は
玲王
なんて子どもに掛けそうな言葉だった。
そんな一言目に俺が目を点にしていると二子が
二子
二子
と堂々と言った。
それを聞いて玲王は
玲王
玲王
と笑いながら付いてこいと言わんばかりに歩き出した
二子
潔
俺と二子は軽く御礼を言って玲王に付いて行った。
玲王
そう案内された場所はとても広く、
多くのサッカー部員が練習をしていた
サッカーの強豪校とは知っていたものの、
あまりの広さに俺と二子は唖然としてしまっていた。
そんな中
玲王
と去ろうとする玲王を引き留めようと咄嗟に
潔
と声を掛けた。
玲王
立ち止まって振り返ってくれた玲王に
潔
と聞いた。
玲王は驚いたように瞬きをした後、
少し悩んでから口を開いた。
玲王
その言葉で俺は今世の玲王はサッカーをしないという事に確信を持った。
潔
と返事をすると、
不思議そうな顔をして御影玲王は去っていった。
俺らも偵察を終えると何もせず、
帰り道を歩んだ。
もしかしたら前世同様にサッカーをしている人は居ないのかもしれない。