sparkle

天龍会、本邸ーーー

るなの通う学校で一悶着あったらしい

今日は文化祭で

人の出入りも多い。 もちろんそんなことわかってるはずだ。

桃虹組の若頭に接触したらしいけど

じゃっぴは保護者含めて 事前に全員洗った。

しかも桃虹組の若頭が劇に出たのは 偶然の出来事みたいだし…

予測できないことなのに

舞台の上でやりあうなんて

まるで

俺はここにいると

見つけてみろよ、と

挑発してるようだ。

プツ

今まで極力避けていた

のあさんとの接触も多くなってる

"驕(おご)れるもの久しからず"

後夜祭

校庭にたくさんのゆらめくキャンドル

後夜祭は毎年 このキャンドルナイトで締められる。

一年生の時から見てるけど

毎年感動するんだよね…

この後夜祭は うちの学校のメイン行事の一つだ

あまりにも雰囲気が良すぎるから

この時にカップルになる人が多いとか

ゆあんくんからの突拍子もない質問に びっくりした。

周りを見渡せば カップルらしきひとたちは 手繋いだりぴったりくっついたりしてる…

ふと、ゆあんくんの手がゆっくり動いて 私の手に触れて

少し驚いたけど、だんだんと自分の心がほどけていくのを感じた

炎で影ができる横顔をじっと見つめる

そんなふうに笑われたら …何にも言えなくなっちゃうよ

ゆっくりと手を重ねた。 あったかくて少し骨ばったゆあんくんの手

力強くぎゅっと、握り返してくれた

ふたりでそっと寄り添った

しばらくじっと

校庭に並ぶ無数のキャンドル 夜と綺麗に溶け合ってきらめいてる

小さな炎たちに落ち着いてしまうのは なんでだろう。

ゆらゆらとゆれる炎は そんな効果があるんだ

そうだね

ゆあんくんすごく楽しそうだったね。

時折り盗み見してて 笑ったり焦ったり、いろんな表情をしてるのがとっても嬉しかった。

私も楽しかったなぁ。 かわいい服着て接客して

声をかけられることもあったけど そしたら ゆあんくんが真顔で飛んでくるの…

るなちゃんの 綜合警備保障って みぃんなに言われてた笑

ゆあんくんがあんまりにも私を気にして 業務に支障が出るから

ふたりで外出されちゃった

すっごく嬉しそうに言うから なんか照れちゃった。 ゆあんくんのそーゆーとこかわいくて好き

食べませんか？ ってるなに渡してくれたドーナッツを

ゆあんくんとって パクパク食べ始めちゃったね

毎日の、あたり前だった日が 思い出にかわる

思い出すたびに、楽しかったなぁ…って 心が満たされるんだろうな

大興奮だな…

のあさんが思った通りの反応をしたので 笑ってしまった。

のあさんは物より思い出派だから

そこは、ザ、女の子なんだよなぁ

ギロリと睨まれ口を閉じる。 コワ、腐っても組長代理だ。

まぁこんなやりとりも 俺は好きなんだけどね。

高校生の頃は

いつもどこか 諦めていた顔をしてたから

俺は笑顔に貢献できてるかな

パシャ

シャッターを切る音に振り向く

"写真部"と書かれた腕章。 カメラを持った生徒が立っていた。

写真部の子はのあさんにチェキを渡した。

俺とのあさんがふたり並んで 笑ってる写真だった。

のあさんの手を引いてぎゅっと寄った

パシャ

手を振って写真部くんとは別れた。

もらったチェキには まだ浮かび上がってこない。

のあさんがチェキを覗きこもうとして

横でぴょこぴょこしてるのがかわいくて

すこしかがんで高さを同じにした。

近すぎる距離に のあさんは挙動不審気味だけど

笑顔の二人が そこには写し出されてた。

チェキを見つめた。 向こうにきらめく炎、手前に笑顔のふたり 感慨深いものがある。

のあさんが喜ぶかなって もう一枚もあげるつもりだったけど

だめだ、俺が欲しくなった

お互い大きな組のボスという共通点

でもきっと

そんな共通点なくても

きっとのあさんに惹かれていたんだろうな

…あぁ

このまま

いっそのこと

手を引いて どこかふたりで消えてしまいたい

もう少し待っててね

…必ずふたりで行こう

いやぁ

青春だよなぁ…

保健室から校庭を見つめた。

ここは学校かと思うくらい

キャンドルの魔法で 幻想的な世界が広がっている

魅了され、みな笑顔だ

いい思い出になるよなぁ

カサ

微かにする足音

そして、わずかな匂い

ましてや諜報員だからな

わからなかったら消される世界だ

なおきりさんが帰ってしまい 本来なら護衛のオレが のあさんを送り届けるところだが

学校業務があるため、指示を出してヒロくんに動いてもらったのだ。

たつややなおきりさん以外は あんまり接触させたくない

敵だらけののあさんには

ひとりになる時間も大切だ

納得する、しないのハナシじゃ ないんだけどね

わかいな、なんて思いながら オレはキャンドルへ視線を向けたまま

やべ、ちょっとピリッとした言い方だったな。悟ったヒロくんが言い淀む。

ヒロくんの告白は 自分に対しての慰めじゃない

たぶん桃虹組のことを思っての

気持ちだろう

いいなぁ、ヒロくん まっすぐで

ヒロくんおもろ、たしかに吐血かも

しっかり怒られた。 うーん、ヒロくんやっぱ 恐るべし

まだ難しいかな

ここでようやくヒロくんへと向き合った

ヒロくんは 眉間に皺を寄せて、オレ見据えている

のあさんが好きだけど じゃぱぱだって同じくらい大切な存在だ

同性だから好きとか… なんだろな言葉じゃ上手く表せない

わけわからん！！って顔してるわ 釈然としないって こんな表情のことだろうな

ビュッ、と冷たい風が吹いた

もう秋だもんな

それなりに冷たかった

冬が来る

そういえばこの頃になると 誰かさんが騒いでたな

シヴァさんと一緒にさ