テラーノベル
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朝の心地良い光がシェラの金髪を照らす。
食欲をそそる匂いがシェラの鼻につき、シェラは重たい瞼をそっと開けてベットの上からそっと体を起こした。
シェラ
上半身を起こし、ベットの上から立ち上がったシェラは辺りをそっと見回すが、外に居たはずの自分が何故、建物の中に居るのか?という疑問が生まれる。
アディ
部屋のドアが開けられ、見知らぬ男が足を踏み入れ声を掛けてくる。
通った声でシェラに言葉を投げ掛けてきたのは明るい茶髪とオレンジ色の瞳をした自分と大して歳が変わらない風にも見える青年だった。
シェラ
アディ
明るい口調でそう言う青年。 見た感じ悪い人ではなさそうだと シェラは思う。
しかし、人は見かけによらないという事もある為、警戒する気持ちも忘れずに待ち合わせておこうと心の中で言い聞かせる。
シェラ
アディ
シェラ
シェラ
シェラの言葉にアディは苦笑する。
今の所、自分のことを助けた上で何か対価を求めてくる様子もない。
だとするとアディは純粋にシェラの事を助けただけであるということだ。
アディ
アディはそう言いシェラをじっと見つめる。話してほしいという気持ちが込められているかもしれないアディの視線にシェラは仕方なく事の経緯を話し始めた。
自分がヴォルローゼ国の第一王女であること。第一王子であり異母兄であるヴァリアントが殺されてしまったこと。
ヴァリアント王子殿下を殺した張本人から罪をなすりつけられてしまったこと。そして、自分が未来を見ることができるということ。
全ての真実を話すことは、多少の危険性も生じる可能性もあることだ。
シェラはその事をわかった上で、目の前にいるアディは自分以外の人間に話すという事をしないだろうと信じて嘘偽りなく全ての事を伝えた。
アディ
全てを聞き終えたアディは少し困惑した顔をしていた。それもそうだろう。目の前にいる少女はこの国の第一王女である。
自分は王女を匿ってしまったのか。どうしよう……と思っているに違いない。
アディ
アディ
アディの優しい言葉にシェラは今に至るまで、ずっと我慢してきた気持ちが一気に溢れ出す。
シェラ
シェラは頬に伝う涙を拭いアディに背を向ける。泣いている姿を見られるのは恥ずかしい。アディはそんなシェラを見て思う。
王女という立場である目の前の少女はきっと今に至るまで、ずっと気持ちを押し殺し、ここまで逃げ延びてきたのだろう。 アディはそんなシェラを守りたいと思った。
例え、面倒な事に巻き込まれたしても、目の前に居るシェラを放り出すことは出来なかった。
アディ
アディ
アディの言葉に思わず振り返る。 泣いていた顔を見られてしまった事よりも、目の前にいるアディが発した言葉に気を取られてしまう。
シェラ
アディ
否定しようがない事実を突かれ、シェラは押し黙ってしまう。 確かに、もう巻き込んでしまっている。
アディ
アディ
何故、そこまでしてくれるのだろう。 そう思わずにはいられないくらいの言葉をアディはくれた。 なら、最後まで共に居てもらおう。シェラはアディに強い意志のある瞳を向ける。
シェラ
アディ
二人はそう言いながら、笑い合う。彼はきっと信頼出来る人だ。
しかし、この時シェラはまだ知らなかった。アディとの出会いが偶然ではなかったということを。