Luminous

気になるって…何？

私に何が言いたいのか

全く分からない

彼はそう言ってちょっと笑ってる

私は1ミリも面白くないのに

うざい

そう

彼はこういう人だ

どんなに期待しても

それは変わらない

私はそう言って

その場所を後にした

帰宅後

私はお風呂に浸かりながら

今日のことを考えた

「大切にされる恋愛をした方がいい」

と言った先輩を思い出すと同時に

「もしかして、嫉妬？」

といった彼の言葉も思い出す

考えなきゃいけないの

翌日

私は仕事で

また練習場へと向かった

いつも通り取材を進めているけど

及川さんと話すことはなく

そのまま時間が過ぎていく

別に私は…

仕事をすればいいだけ

いつも私が帰ろうとする時に話しかけてくる…

この人…

わざとだ

ここで引き下がったら

私が好きってことになる

これが狙いだったわけね…

こうして私たちは

初めて

2人で飲むことになった

及川さんが連れてきたのは

この前とはちょっと違うバーだった

バーテンダーのお兄さんと

軽く挨拶をしてから

席に着いた

私たちはそのまま飲み進め

いつも通りのような会話をしていた

時々冗談交じりにこういう事を言ってくる

及川さんはそのまま

ハイペースで飲み進めたのもあって

酔い始めるのが早かった

1番驚いたのは

過去の話を少ししてきた事

学生時代は普通だったって言いたいのかな

これに関しては別に驚かない

なんならそう思ってたから

私の事…なんだと思ってるんだろ

流石に21歳だから

付き合ったことは1度や2度あるけど

そう言って彼はグラスを傾けた

私の飲み物は…

何故かグラスを取ろうとしたら

及川さんの手が当たった

…なんでこんな事で

ドキドキしなきゃ

その瞬間

彼の手が私の頬に触れる

本当にこの人は…

飲み会の途中で通知が来たことに気がついた

私は何気なく

「仕事終わりに飲みに行ってます」

とだけ返信をした

なんでそれを

私が既読をつけたまま

迷っていると

及川さんが画面を覗き込んでくる

私はそのままスマホを伏せた

及川さんは冗談っぽく言うが

目は全く笑ってない

なんで…そんな顔するんだろ

店を出たあと

軽く酔ったフリをして

私の肩を引き寄せてくる

最近よく

なにか意味有りげな顔をしてくる

そう言い残し

彼は私と反対方面へと歩いていった

私をこれ以上

ドキドキさせないでよ