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…夏の空はこんなに綺麗だったんだ。

僕は心の奥底でそうつぶやく。

暇ちゃんの首を絞めて、 数分もしないうちに、仕事から 主さんが帰ってきて、

医療関係者の主さんが、 どうにか暇ちゃんを落ち着かせ、 今じゃ自室のベッドで、目を閉じているらしい。

すち

っはは、…

乾いた笑い声。 自分でも、少し嫌悪感を抱いた。

星が僕の唯一の友達。 キラキラと輝くそれを見れば どこか心が落ち着くから。

少し、僕は目を瞑る。

思い出したことを、思い出してみる。

…少し、少し、と。

LAN

…んしょ、

その声に耳をやる。

風呂に入ったのか、少し湿った髪の らんらんがぼくの隣に座った。

LAN

なーにしてんの?

すち

何って…空を見てる。

そう言えば、らんらんも僕と同じように空を見た。

LAN

おー、ほんとだ。綺麗。

…初めて見たかのように、 らんらんは目を輝かせ、そう言った。

の横顔が、何故か暇ちゃんに重なって どこか胸がきゅ、としまる。

すち

…。

どうしてあんなことをしたのだろう。

答えがわからない問いを 僕は反芻する。

月に照らされる僕ら。 外は少し寒かった。

LAN

…なぁすち。、

すち

?なに?

LAN

…そんなおもくかんがえるな。

そう小声でらんらんは言う。 それもすごく真剣な顔で。

すち

…ッ

おもく、考えるな。

それをまた、繰り返す。

夏の風が頬を撫でる。

LAN

…もうそろそろ七夕だってよ。

LAN

お祭り、行こうな。

きらり、流れ星が落ちる。

LAN

あ、あと…今日は俺の部屋で寝ていいよ。

LAN

なつは主さんが看病してくれるらしいから、今日は俺とお話ししよう。

そして、地面の芝生が風に揺れる。

LAN

そうだな…。

横顔が、儚い。

LAN

知りたい過去があったら教えてあげよう。恋バナとかする?…あと、

LAN

おまえいつも辛そうな顔してるから俺が話聞いてやんよ。

LAN

ま、辛いの抱えてたって大きくなるだけだしねー。

馬鹿らしく笑う。

少し目を細めて、君は笑って

LAN

昔主さんが言ってたけど、人の心の傷は自分では治せないんだよ。

こう言った。

LAN

じゃあ、誰が治すの?

そう聞かれても僕はわからず、 首を傾げる。

LAN

…そう、

誰でもいいんだ。

LAN

みんなが心のお医者さん。

…心の、お医者さんー…。

LAN

1人では、治せない傷も、みんなでいれば塞がるんだって。

LAN

俺この話大好きでさ。

そう、地面に垂らした足を、 胸元に持ってきて、 ゆっくりと抱え込んだ。

LAN

すごいよね。
免許なんていらないんだよ。

LAN

助けたいとか、助けてほしいとか。

LAN

誰にでも人を救う力はある

僕はひたすら優しく語る らんらんの横顔に釘付けになる。

やっぱりどこか悲しそうで、 どこか履かなかった。

LAN

ほんとの医者みたいに手術はできなくても、

LAN

話を聞いて、人を助けれる力は誰にでもあるんだ。

そしてまたゆっくり目を瞑る。

LAN

俺はお前を助けたい。

LAN

いやお前らを助けたい。

開かれた瞼から覗く、 桃色の瞳。

そこには一瞬後悔の色が見えた。

LAN

抱え込まないでな。ほんとに。

そうやって笑うと、 らんらんは 『ま、俺もそれなりに頑張らなきゃ』 と、次は嘘のない笑顔で笑った。

心のお医者さん…ね。

胸の底がじんわり温かくなる。

…何故だか一粒、僕の頬を伝う。

愛情とと、後悔と、真実という 優しさに包まれた 温かな涙が、

俺の頰を伝った。

LAN

うっし、そろそろ中はいろーぜ。

LAN

アイス買ってあるって!

LAN

ほら泣くな泣くな!いくぞ。

そう、優しく包んで引かれた腕。

『うん』と返事をするには、

多分、やはり儚すぎた。

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