私屋上で靴を
脱ぎかけた時に
三つ編みの先客に
声を掛けてしまった
マリナ
ねぇ…辞めなよ…
口をついて出ただけ…
本当はどうでもよかった
先を越されるのが
何となく癪だった
三つ編みの子は語る
どっかで聞いたようなこと
三つ編みの子
運命の人だった…
三つ編みの子
どうしても愛されたかった‥‥
マリナ
…………っ!
マリナ
ふざけんな!!
マリナ
そんなことくらいで
マリナ
私の先をこそうだなんて‥‥
マリナ
欲しいものが手に入らないなんて
マリナ
奪われた事すらないくせに!!
三つ編みの子
話したら楽になった
って
三つ編みの子は
消えてった
さぁ、今日こそはと靴を
脱ぎかけたらそこに
背の低い女の子
また声を掛けてしまった
背の低い子は語る
クラスでの孤独を
背の低い女の子
無視されて奪われて‥‥
背の低い女の子
居場所がないんだ
って
マリナ
………っ!
マリナ
ふざけんな!!
マリナ
そんなことくらいで
マリナ
私の先をこそうだなんて……
マリナ
それでも!
マリナ
家では愛されて
マリナ
温かいご飯もあるんでしょ?!
背の低い女の子
………お腹がすいた
と泣いて
背の低い子は
消えてった
そうやって何人かに
声を掛けて
追い返して
私自身の
痛みは誰にも
言えないまま……
初めて見つけたんだ
似たよな悩みの子
何人目かに会ったんだ
黄色いカーディガンの子
黄色いカーディガンの子
うちに帰る度に
黄色いカーディガンの子
増え続けるアザを
黄色いカーディガンの子
消し去ってしまうため
黄色いカーディガンの子
ここに来たの
と言った
口をついて出ただけ…
本当はどうでもよかった
思ってもいないこと
ても声をかけてしまった
マリナ
ねぇ、辞めてよ……
あぁ、どうしよう
この子は止められない
私には止める資格がない
それでも……っ!
マリナ
ここからは消えてよ!
マリナ
君を見ていると…苦しいんだ……
黄色いカーディガンの子
じゃぁ『今日は辞めておくよ』
って
目を伏せたまま
消えてった
マリナ
今日こそは誰も居ない
マリナ
私一人だけ…
マリナ
誰にも邪魔されない…
マリナ
邪魔してはくれない…
カーディガンは脱いで
三つ編みは解いて
背の低い私は
今から
マリナ
飛びます。