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ひまり
恋をした。
悲しい恋をしていた。
どこまでも青い何かを、ずっとずっと追いかけている。
湊
青が好きだった。 幼い頃から青が好きだった。
かっこいい男の色だったから。
でも今は違う。
青はこの世の美しさが詰め込まれた色だ。
だから俺は青が好きだ。 昔、俺の隣で君は頷きながら立っていた。 でもそんな君はもういない。
湊
君の話をしよう。 一度話し始めたら、きっと俺の口は止まることなく話は紡がれていく。
この青に黒が混じって、この世界とともに俺は呑まれていく。
それでもいいと思った。 この美しい景色と、そして君の物語が俺を呑みこむのなら、それもいいかもしれない。
恋をした。
あの日、ここで笑っていた君に俺は一瞬で恋に落ちた。
雨が降った日。 傘をさして君と歩いた。 俺の肩は濡れていた。
雪が降った日。 俺と君は、部屋の中から窓の外を見た。 寒くて暗い夜に、白と黒がどこまでも続いていた。
君の服も、君の肌も、雪のように白くて、 俺たちが愛した春がはやくやってくることを祈った。
愛することは祈ることだと誰かが言った。 だから俺は祈る。 青い世界に手を伸ばす。
ひまり
最後の日。 君は俺にそう問うた。
ひまり
君はぼうっと、そこに真っ白に座っていた。
この景色すべてを青で染めてしまえればよかった。
湊
ひまり
湊
ひまり
ひまり
湊
ひまり
君の物語の最後のページ。 でもその先は俺が紡ぐために白紙がある。
そう信じて雪のように白い手を取った。
雪解けはもう来ていると、名前も知らない人が言った。
湊
ひまり
湊
湊
ひまり
湊
ひまり
ひまり
湊
ひまり
湊
今、この世界に君はいない。
でも俺はここに居続けて君を待っている。
君を待ちながら俺は生きている。
そうしてまた笑えたらいい。 幸せだったと笑えたらいい。
ねぇ、君の話をしようか。
それはきっと、くだらなくて仕方ない物語だ。
ひまり
湊
ひまり
恋をした。悲しい恋をしていた。
息も出来そうにないくらい、 ただ一人を愛した春があった。
湊
湊
湊
湊