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うちの子の短編的なやつ

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うちの子の短編的なやつ

89 - この街にも聖ニコラウスがやってくる!

♥

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2025年12月24日

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──12月24日。空から降り注ぐ雪の花に包まれながら、世間はクリスマス・イヴということで賑わっていた。

言わばハレの日、言わばイベント……発祥の地がどこであろうと、何が由来であろうと、世間はどうでもよいのである。

だが、偶然にもこのクリスマス・イヴに厄介事が回ってきてしまった人がいた。

インス

………アタシ、無神論者なんだけどな…

巷で話題のエンターテイナー、インスは困惑していた。 手元にはサンタクロースの衣装(だいぶ現代風にアレンジされたもの)、それに付属されている手紙。

休憩しに来たというのに、それは叶いそうになかった。いったい誰が入り込んで、こんな妙な忘れ物をしていったのだろう。 …あ、手紙アタシ宛てだ。

クリスマスは今やただのイベントと化しているが、元を辿ればある宗教から生まれたはずだ。そして、インスはその宗教にいい印象を持っていなかった。

実のところインスは魔女なのである。魔女は悪魔と契約しているだとか、宗教に悪い影響を及ぼすだとか……。そんな確証もない情報で、多くの仲間が亡くなった。 "魔女"というだけで迫害されてきた彼女にとって、その宗教は恨むべき存在なのだ。神なんていやしない。

だが、アタシはあくまでもエンターテイナーだ。自分を切り売りして、泥で作ったスープを飲むようなものだけれど、表向きのアタシはそうなのだ。

魔女だとバレるわけにはいかない。 偽名も、エンターテインメントも、受け入れなければいけない。

インスは手紙に書かれたやけに綺麗な字を見つめて、ため息をついた。

インス

(それにしてもこの服装、可愛いけれど……絶対寒くない?)

『サンタクロースになって、子供達に夢を届けてください』

シェーン

…うん?これ、お客さんが置いていったのかな……

銀河鉄道は今日も運転者なしに動いている。窓の外に見える星空はいつも通り輝いているが、眩しすぎて目が痛いとは少しも思わせなかった。

シェーンはこの列車の車掌兼管理人である。 安らぎのために夢を見に来た客を笑顔で迎えて、笑顔で見送る。そんな仕事だ。

それ以外は、ひとり。 ただ静かに、夜を待つのだ。

シェーンは暇つぶしに座席を見回して、封筒に包まれた何か(おそらく紙)があることに気がついた。 忘れ物?忘れ物なんて、今回が初めてだ。

気になって封筒の裏を見ると、その端には文字が書かれていた。─シェーン・グロッケン様。

シェーン

………私宛て…?

封筒の中には、パーティへの招待状を思わせるような紙が入っていた。

シェーン

(サンタクロースになって、子供達に夢を……)

なんだ、私の得意分野じゃないか。子供達に夢を届ければ、子供達を幸せにできる。 シェーンは早速サンタクロースになることにして、夜が来るのを今か今かと待っていた。

インス

さぁて、どの家に忍び込んでやろうか

インスはほぼ無計画で飛び出してきた。否、あの手紙に『子供達に夢を届けろ』としか書いてないから、無計画なのは必然である。

インス

(まぁ、子供相手だし。最悪魔法を使うところを見られても問題ないか)

インスは適当に選んだ家に忍び込んだ。煙突がないなら、窓から入るしかない。

インス

(よし、ドンピシャ!丁度子供の部屋だ!)

ベッドには、10代前半に見える少女が眠っていた。

枕元に定番とも言える靴下があり、その中に紙が入っていた。

インス

(親が用意してないのか。薄情な親だね)

インス

(でも、この歳になるともう貰えないのかな)

紙には『お菓子の詰め合わせ』と書かれていた。もしプレゼントされたとしても、靴下には入らなさそうである。

インス

(可愛いものを願うね。よーし、いっちょやってやろう。子供は別に嫌いじゃあないからね)

魔法で作られた食べ物は果たして味がするのだろうか。インスは食べたことがないから分からなかった。

魔法で作り出されたお菓子の詰め合わせは、よくイベント前に店で売られているような見た目になった。やけにハロウィンらしい色合いなのは、自分の性分なのかもしれない。

インス

うぅ……寒いなぁ……。流石に夜となると冷えるね…

その後も何件かプレゼントを魔法で作り出し、時刻は午前3時になっていた。

インス

次で最後にしよう。寒いし、朝になっちゃうし、寒いし……

インス

(次は男の子だね。さて、欲しいものは……)

 

誰……?

インス

……!

しまった、見られてしまった。サンタクロースって、見られていない時に動くものだろうし……。

インス

……アタシは、サンタクロースだよ

 

サンタさんの正体って親じゃないの?

インス

そうだけど、本物のサンタクロースもいるんだ。アタシは代理だけど

 

ふーん……

見た目に反して大人びた子供だ。不審者だって通報されないようにしないと。

インス

何か欲しいものはある?

 

………

 

いらない

インス

………

 

貰っても、どうせ捨てられるし、バカにされるんだ

 

プレゼントが欲しいなんて、高望みだよ

インス

それでプレゼントは必要ない、と?

 

……

インス

でも、本当は欲しいんじゃないの?

インス

アタシは事情に詳しくはないけど、キミが我慢してるだけっていうのはわかるよ

 

……でも…

インス

よし、キミには特別にアタシお得意の魔法を見せてあげよう!

 

魔法?

インス

そう、まるでマジックショーのような魔法

インス

アタシはエンターテインメントが好きでね。魔法も得意分野なんだよ

インス

この世の中に必要なのは喜劇だ。悲劇なんて見たら気が滅入っちゃうからね

インス

さて、何が欲しい?

 

………本当に、魔法を見せてくれるの?何でもいい?

インス

もちろん

 

…じゃあぼく……、勇気が欲しい

 

誰に対しても、嫌だったら嫌って言い返せるような勇気が欲しい

インス

OK!

インス──改め、エマ・イグニスは思った。

魔法が使えるのは悪い物じゃないのかもしれない。エンターテインメントは悪い物じゃないのかもしれない。虚構の存在は悪い物じゃないのかもしれない。

たまには、自分を取り繕わず本当に人のためになることをしてもいいかもしれない。 アタシはエンターテイナーなのだから、そんなことがあってもいい。

シェーン

どうも、こんばんは

銀河鉄道に来客者が現れた。 音もなしに突然現れるものだから、最近までは驚いていた。

シェーン

(小さい女の子……10代くらいかな?)

シェーン

ここは空を走る列車です。ここは夢ですので十分に休んでいってください

 

夢?

シェーン

はい。実際に空を走る列車があったら、迷惑でしょう?

 

そうかな?面白いと思うけど!

 

そうだ、明日はクリスマスなんだよ

シェーン

そうですね…。サンタクロースの存在は信じていますか?

 

うん!あたしはサンタさんにお菓子の詰め合わせをお願いしたんだ!

 

それで、明日お母さんとお父さんと一緒に食べようと思って

シェーン

素敵なお願い事ですね

シェーン

せっかくなら、サプライズもしてみませんか?お菓子だけじゃなく、別のものも渡してみるとか

 

別のもの?

シェーン

親へのプレゼントです。親は大人になったからサンタクロースからはプレゼントが貰えないけれど、貴方からならあげられますよ!

 

お母さんとお父さんにプレゼント……

 

うん、渡してみる!

 

何がいいかな〜?手紙とか……?

シェーン

(夢を届けるって、これでいいのかな)

シェーン

(いつもと変わらないような)

シェーン

……あれ?こんばんは

一通り声をかけ終わったと思ったが、どうやら一人見逃していたらしい。 窓の外をじっと見つめている少年は、シェーンの存在に気がついていないようだった。

 

……起きたくないな…

シェーン

……

シェーン

でも、無理ですよ。覚めない夢なんてないんですから

 

………

 

どうすれば眠ってられるかな。ぼく起きて学校に行きたくないよ

シェーン

学校に嫌なことがあるんですか?

 

うん……

 

ぼくのものが隠されたり、ノートが捨てられたりするんだ

 

お母さんには言えないよ。言ったら、きっと酷いことをされる

 

………起きたら本物のサンタクロースでもいればいいのに

シェーン

………

シェーン

大丈夫ですよ。確証はないですが、親に言ったって酷いことは起こりません

 

本当に?

シェーン

本当です。親は思った以上に子供のことを見ています

シェーン

…貴方のことを心配してくれると思いますよ

 

…でも、どう言えば……

シェーン

口頭で言うのが難しいのなら、紙に書いたりしてもいいんですよ

シェーン

伝えればきっと大丈夫。必要なのは、伝える勇気です

 

勇気………

 

シェーン

(あっ、消えちゃった)

この列車に来る人は、夢から覚めると姿が消える。目覚めた先でどんな出来事があるのか、私には分からない。

私は少しでも悩みが消えていたらいいなと願うしかない。

クリスマス・イヴだからか、今日はやけに子供が多かった。

サンタクロースにこれを頼んだだとか、サンタクロースの正体を知ってしまっまただとか、子供がする話は愉快だ。

私は夢を届けられただろうか。子供達が住む場所に行けないのが悲しい。

シェーン

(もし、サンタクロースがいるのなら……)

シェーン

(…あの子に、また会いたいなぁ)

……?

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コメント

3

ユーザー

シェーンさんキタ━(゚∀゚)━! 世には報われない子供がいるもんだ。だからサンタさんは救いの手なんだろうな、うん

ユーザー

3分の2くらいは眠い時に書いてたので文章が変かも!!! メリクリ!!!!!

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