注意:こちらの作品は続きとなっております。未だ1話をご覧になっていない方は、御手数ですが1話を見ることをお勧め致します。
緑のマークをタップすると 僕を呼ぶ不仲な彼の声が聞こえてくる。
震える声を必死に押え、 なるべく明るい声で彼に話しかける
問いかけても波形の動かない画面
言葉に表せない不安が込み上げてくる。
返答の無いスマホからは何故だか、 『お前の声変だな』と言われているような気がして。
突然声を発する事への恐怖に襲われる。
音の消えた部屋に彼の声が響く。
そんな状況に、少し安心する自分がいる。
ぎこちない返答をする。 声を発することへの抵抗が抜けない
いつもの僕を演じる。 そうしないと、彼が離れて行ってしまう気がして
なんて、聞き慣れた声が返ってくる。 前までは煩く思っていた彼の声は、
今僕が-hotoke-になれているという事の 証明へと変わった。
色々な感情が渦巻き、 ふと落とした視線の先に震える手が映った。
通話の切れる音が部屋に響く。 切り替わった画面には集合時間まで1時間程 という事が映し出されていた。
通話を切る寸前に彼が発した言葉。
いっその事、殺して欲しいなんて言ったら 彼はどんな顔をするのだろうか。
冷たいそれを必死で拭う。
傷跡に垂れても痛みなんかなくて。
腕に広がる赤色も。 そこに重なった雫も。 乾いて痒みを主張する。
爪を立てればまた血が浮出す。 何故かそれに安心を覚えた。
気づけば無心でそれを続けていた。
滲む視界の中に映った腕や指先や洋服。
どれも赤黒く染っている。
これを見た人の気持ちなんて、 考えるまでもない。
彼には、彼らには見られてはいけない。 きっと気づかれたら
僕はもう生きてはいけない。
視界の端に映る包帯を震えた指先で引き寄せる。
傷だらけの腕に感覚なんかなくて。 もしあったとしてもそこに痛みは感じなくて。
力加減なんか分からない。
この醜い跡が見えないように。 ただただ無心で包帯をまく。
先程まで真っ赤に染まっていた腕が とても綺麗な白で埋め尽くされている。
醜い傷なんてひとつも見えなくて。 苦しいけれど、その白をとても羨ましく思った。
包帯を手に取る。
…パサッ
~ッ…シュルッ
…うぐッ
ゴホッ...ヴ
ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...
~~ッ…ゥヒュッ…カ"ハッ
あれ……
僕今何してッ…
手元に視線を落とすと クシャクシャになった包帯が映る。
首がヒリヒリと痛む。
無意識に死のうとしていたみたい。
でもそこに驚きなんて感情はなくて。 ただ一つだけ。
『失敗した』 と。そう思う。
なぜ気づいて辞めてしまったのか。 今がチャンスだったにも関わらずどうして この手を離してしまったのだろう。
自己嫌悪に脳が支配される。
もう……
今の頭じゃ冷静な判断なんか出来っこなくて。
でもそれすらも快楽に感じて。
頭よりも先に、気づけば体が動き出していた。
夜空☽꙳⋆
夜空☽꙳⋆
夜空☽꙳⋆
夜空☽꙳⋆
夜空☽꙳⋆
夜空☽꙳⋆
追記:次回青様視点からです。
コメント
1件
書き方が凄い好きです🥹 続きまってます。