とある日
俺は町の管理をする未彩に呼ばれて 未彩の家である神社に来ていた。
悠希
おーい、未彩ー
時刻は7時半
いつも8時に起きる未彩は寝ているだろうなと思っていると…
未彩
入ってきて
悠希
……!!
寝ているはずの未彩の声が聞こえた。
言われた通りに中に入ると、未彩は真剣な表情で俺に言った。
未彩
実はね、皆、能力が使えなくなったんだ
悠希
……は?
この世界では、全員能力が使える
だから、そんな馬鹿な、と思い、能力を使おうとしてみた
悠希
刃物あるか?
未彩
あるよ
俺は自分の能力、『治癒能力』を使う為に刃物で自分の指を切った。
そして、能力を使おうとする
悠希
『治癒』……
傷は、治らなかった。
悠希
……は?
未彩
使えないでしょ、能力
未彩
私も使えないんだ
悠希
そうか…
未彩
だから、お願い
未彩
悠希、こうなった原因を探し出して皆が能力を使えるように戻して!
悠希
でも、なんで俺が…
未彩
私じゃ知識が足りない
未彩
だから、知識量で言ったら悠希が断トツだと思うの…
未彩
だめ…?
未彩は、悲しそうな顔で言った。
悠希
っ……
悠希
分かった、頑張ってみるよ
未彩
ありがとう…!
そうと決まるや否や、俺は図書館で調べていた。
こうなった原因を。
遥花
悠希、何してるの?
悠希
あ、遥花
悠希
能力が使えないのは知ってるな?
遥花
うん
悠希
それを直すのを未彩に頼まれて、調べ事してるんだ
遥花
なるほど。
遥花
……
遥花
実は僕、能力が使えなくなる前、あるものを感じたんだ
悠希
あるもの?
遥花
うん。
遥花
まるで、結界が壊れるような感覚
悠希
なんでそれはわかったんだ?
遥花
僕、事件を起こしたあの時以来、結界をいじって日光を調節するようになったんだ。
あの事件とは、遥花が、太陽の光が苦手な好きな人の為に結界を操作して、太陽光を遮断し、夜を永遠化した事件のこと。
遥花は未だ好きな人のために太陽光を調節していたらしい。
遥花
そしたら、急に、結界の一部が割れたような感覚があって…
悠希
つまり、穴か空いたということか?
遥花
そういうことだと思う。
悠希
なるほどな。
悠希
わかった。
結構重要な情報が手に入った気がする。