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コメント
4件
ここですっちーだけないのがなぁ 今後の展開が楽しみですぞ
めっちゃ好きです…!続き楽しみにしてます😌
rara🎼
rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 天使パロ
rara🎼
rara🎼
rara🎼
──人を救うことが、なぜこんなにも苦しいのだろう。
翼があるのに、なぜ、こんなにも遠くへ行けないのだろう。
雨だった。
天界では稀な現象。
それは、誰かの心のざわめきが雲を呼び、水を流した証。
しとしとと降る雨の中、いるまは回廊の奥、旧記録室の扉の前に立っていた。
この部屋を訪れるのは、何年ぶりだろうか。
重い扉を押し開くと、埃の匂いと共に、過去の記録が静かに迎え入れてくる。
壁際には無数の帳簿。
机には古びた羽根ペン。
そして棚の奥には──なつの記録が、いまだ封印されたまま残っていた。
いるま_ドミニオン
誰かが意図的に伏せているのか。
それとも、あまりに“異例”だったがために、記録の枠からも外されたのか。
ため息をひとつ。
それでも彼は諦めず、別の棚へと手を伸ばした。
──堕天した天使たちの記録。
そこには、冷たく、簡潔に綴られた名と理由、そして“その後”が並んでいる。
人の願いに飲まれた者。
絶望に心を折られた者。
力に溺れた者──
いるまは一冊、また一冊とページをめくっていく。
やがて、ふと手が止まった。
いるま_ドミニオン
その記録には、こう記されていた。
ある天使は、人々の光を求める声に心を重ねすぎた。
救おうとするあまり、自らの光を削り、力を歪め、堕ちていった。
その名は、記録に残されず────
それは、まるでなつのことのようだった。
そして同時に──
今の自分にも、重なる感覚があった。
いるま_ドミニオン
その瞬間、胸の奥にずしりと重い痛みが走った。
感情ではない。
もっと深く、構造としての“崩れ”のようなもの。
握っていた羽根ペンが、ぽたりと床に落ちた。
いるま_ドミニオン
思わず低く唸るように言い、手で額を押さえる。
雨の音が、ただ耳を満たしていた。
その頃。
こさめは、塔の上で雨に打たれていた。
傘もささず、濡れたまま。
けれど、立ち尽くしていた。
こさめ_アークエンジェル
そう問いかけても、返事はない。
けれど、祈りだけは手放さずにいた。
彼の右手には、ひとつの小瓶。
中には、また新しい祈りの光。
こさめ_アークエンジェル
微かに笑う。
それは、痛みを飲み込んだ笑みだった。
地上。
とある屋根の上。
黒い翼を広げて、なつは静かに雨を受けていた。
冷たい雨は、熱を奪っていく。
けれど、今のなつにとって、それはちょうどいい感覚だった。
なつ_ソロネ
手の中には、小瓶。
こさめの祈り。
それは、どこか躊躇うように、なつの掌の上で淡く瞬いていた。
なつ_ソロネ
問いは、ただ空へ消えていく。
彼の背にある翼は、半分が黒に染まり、もう半分はくすんだ白を残していた。
その曖昧な在り方が、なつ自身を苦しめていた。
なつ_ソロネ
なつ_ソロネ
人の欲望に触れた日。
それは、少女の小さな願いから始まった。
『家族が、もう一度笑ってくれますように』
その声を聞いたとき、なつはただ、心を動かされただけだった。
だが──その家族の真実を知ったとき。
彼は、選べなかった。
光と闇、どちらも持つ人間の複雑さに、ただ、立ちすくんだ。
そして。
なつ_ソロネ
呟く声は、雨音にすらかき消されそうなほど小さかった。
だが、その眼差しの奥には、確かにまだ何かが残っていた。
昇りたいと思った心。
それが、今もどこかで消えずにいる。
天界、らんの部屋。
静かな部屋の中で、らんは淡々と祈りの記録を確認していた。
その指がふと止まる。
らん_ソロネ
彼の名が、微かに滲んでいた。
祈りの質が不安定なのだ。
揺れている。
らん_ソロネ
呟いたとき、何かが胸をざわつかせた。
なつと同じ轍を、後輩に踏ませるわけにはいかない。
そのとき、扉の向こうから声がした。
みこと_パワー
らん_ソロネ
みこと_パワー
みこと_パワー
その短いやりとりのあと、足音が遠ざかっていく。
──それでも、みことの声が揺れていたことに、らんは気づいていた。
誰もが、それぞれの場所で、静かに揺らいでいた。
なつは、自らの堕天を“罪”と呼ぶには未だ信じたかった。
いるまは、その想いに引かれるほど、自分の“境界”が壊れていくのを感じていた。
こさめは、祈ることを止めずにいた。
らんは、気づいていながら、まだ手を伸ばすことができずにいた。
みことは、己の想いがどこに向かうのかを、まだ言葉にできずにいた。
──堕ちる理由は、ただの過ちじゃない。
──昇る願いは、ただの奇跡じゃない。
“選び続けること”
“信じ続けること”
それがきっと、光と闇を分かつもの。
そしてその夜、なつはついに、こさめの祈りを手に取った。
なつ_ソロネ
なつ_ソロネ
かすかに笑って、瓶を胸に当てた。
その瞬間、彼の黒い翼が、一瞬だけ微かに白く滲んだ──。
第9話・了
rara🎼
rara🎼
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡100
rara🎼
rara🎼