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○○しないと出られない部屋

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○○しないと出られない部屋

2 - ポストマンとバッツマンの場合

♥

27

2024年05月23日

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-廊下-

ビクター

(今日の配達先はこれで最後ですね…。)

ビクター

コンコン(部屋の扉をノックして)

ガンジ

…ポストマンか、何か用か?(自室の扉を開け)

ビクター

ん……。
「え、えっと…ガンジさん宛てのお手紙を配達しに来ました…!」

ガンジ

俺に手紙…?

ビクター

ん……。
「は、はい…!一応確認をお願いします…。」
(手紙を相手に渡して)

ガンジ

……ん、差出人が書いていないな?(手紙を受け取り)

ビクター

ん……。
「あっ、確かに変ですね…。僕も気付きませんでした…。」

ガンジ

俺に親しい奴なんていないが、

ガンジ

とりあえず部屋で確認してみるか。

ガンジ

あと、ポストマン。お前も来い。

ビクター

ん……!?
「えっ、僕もですか…!?」

ガンジ

…もしかしたら、

ガンジ

お前が何か仕掛けているかもしれないだろ。(警戒しており)

ガンジ

廊下だと迷惑になるからな。

ビクター

ん……!?
「えっ!?そんな事していませんよ…!」

ビクター

「もしそうだとしたら、僕は…え、えっと…。」
(震えながら手紙に文字を書いて)

ガンジ

……ふん、まぁいい。

ガンジ

とりあえず中に入って来てくれ。

ビクター

ん、ん……。
「わ、分かりました…。」

-ガンジの部屋-

ビクター

ん……。
「し、失礼します…。」

ガンジ

狭いが、そこの椅子に掛けてくれ。(1人用の椅子を指さし)

ビクター

ん……。
「は、はい…。」
(指示された椅子に座り)

ガンジ

じゃあ確認してみよう。(壁に背を預け、手紙を開封し)

ガンジ

……。

ガンジ

「相手を10秒間見つめ合わないと出れない部屋」

ガンジ

?どういう意味だこれ…。

ビクター

ん……。
「出れない部屋…?」

ビクター

「な、何だか嫌な予感がします…。」

ガンジ

ただの迷惑文だったか。

ガンジ

言っておくが、お前が書いたんじゃないだろうな?

ビクター

ん……!?
「ち、違いますよ…!僕はこんな事絶対に書きません…!」

ビクター

「目を合わせるなんて、僕には…。」
(表情が曇り)

ガンジ

そ、そこまで強く言っていないだろ…!(はっ、と我に返り)

ガンジ

……まぁ反応を見る限り、

ガンジ

そこまで動揺するなら

ガンジ

お前が書いてない可能性もあるな。

ビクター

ん……。
「証拠は無いですけど、本当なんです…。」

ガンジ

…分かった、

ガンジ

じゃあ帰っていいぞ。

ガンジ

この迷惑な手紙は俺が処分しておくから、

ガンジ

……引き止めて悪かったな。

ビクター

ん……!?
「え?あ、ありがとうございます…!」

ビクター

「でも何で信じてくれたんですか…?」

ガンジ

そんなに怯えられたら、

ガンジ

俺がポストマンをいじめてるみたいだろ。

ガンジ

そういう自分に嫌気がさしただけだ。

ガンジ

…ほら、早く帰れよ。(扉に手をかけ)

ガンジ

……ん?

ガンジ

ちょ、ちょっと待て…。

ガンジ

な、何でだ…!?

ガンジ

扉が開かないんだが…!(力ずくで扉を押して)

ビクター

ん……!?
「えっ、本当ですか…!?」
(不安そうに扉の前に近付き)

ガンジ

くそっ…!俺の部屋なのに何で開かないんだよ!

ビクター

ん……。
「何ででしょう、急に扉が閉まるなんて…、」

ビクター

「何だか不気味で怖いです…。」

ガンジ

は、はぁ!?

ガンジ

急に怖い事言うなよ!

ガンジ

…って、俺は全然怖くないからな!

ビクター

ん……。
「ご、ごめんなさい!怖がらせるつもりはなかったんです…。」

ガンジ

はぁ…、どういう理屈で出来てるんだこの扉…。

ビクター

ん……。
「あ、あの…部屋の鍵では開けられないでしょうか?」

ガンジ

いや俺は鍵を持たない主義…て言うか、

ガンジ

盗まれて困るような物はそんなにない。

ガンジ

だからいつも部屋に鍵を掛けないから

ガンジ

鍵は無いと一緒だな。

ビクター

ん……。
「そ、そうなんですね…。」

ビクター

「でも、鍵はあった方が安心しますよ…?

ガンジ

そ、そうだが…。

ガンジ

またナイチンゲールに鍵を失くしたって言いに行くのは恥ずかしいだろ…。

ビクター

ん……。
「そ、そうですね…。」
(ガンジさん、本当は鍵を失くしたんですね…。)

ガンジ

これ以上何もしなくても変化は起こらなさそうだ。

ガンジ

癪だが、この手紙の通りにすれば何か起こるか…?

ビクター

ん……。
「そうですね、お題通りにすれば開きそうな雰囲気がします…。」

ガンジ

まぁよく考えればこんなのすぐ終わるな、

ガンジ

ポストマンを10秒間見続けたらいいんだろ?

ガンジ

さっさと始めよう。(ポストマンの方へ振り向き)

ビクター

!ん……。
「ちょ、ちょっと待って下さい…!」

ガンジ

何だよ、こんなのすぐ終わるだろ?

ビクター

ん……。
「そ、そうですが…、」

ビクター

「ガンジさんが良くても、僕には無理です…。」

ガンジ

何でだよ、もしかして俺の事が嫌いか?

ガンジ

まぁ、嫌われるのは慣れているから別に構わないが。

ビクター

ん……。
「えっと、そうじゃなくてですね…。」

ビクター

「僕はその…、人の目が怖いと言うか…、」

ビクター

「目線を合わせるなんて僕には怖いんです…。」

ビクター

「もともと人付き合いと言うものが苦手なので…。」

ガンジ

あぁ、だからさっきから俺と目線を合わせようとしないのか。

ガンジ

人付き合いが苦手なのは俺にも分かる。

ガンジ

俺も賑やかな雰囲気は苦手だからな。

ガンジ

だが、今はちょっとの間だけだ。

ガンジ

それでも難しいなら他の方法を考えてみる。

ビクター

……。(おどおどと何か言いたげに)

ガンジ

しかし、他に方法か…。

ガンジ

…いっその事、扉を壊してみるか?

ガンジ

いやそれだと、大騒ぎになるか。(ぶつぶつと呟き)

ビクター

ん……。
「あっ…、えっと…。」

ガンジ

ん、どうした、ポストマン。

ビクター

ん……。
「……その、僕頑張ってみます…。」

ビクター

「ガンジさん、お題通り僕と目を合わせてくれますか?」

ガンジ

おい、大丈夫なのか?

ガンジ

無理にしなくてもいいだろ。

ビクター

ん……!
「ふふ、お気持ちだけでも嬉しいですよ。」

ビクター

「でも、もとあと言えば僕の責任です。」

ビクター

「これ以上ガンジさんに迷惑をかけたくないですし、」

ビクター

「……あ、あのえっとじゃあお願いします!」
(怯えながらも相手の目を見つめ)

ガンジ

ガンジ

…そこまで言うなら分かった。

ガンジ

しかし意外とお前は言う時は言うんだな。(相手を見つめ)

ビクター

ん……。
「そ、そうですかね…。」
(目線を逸らさずに)

ガンジ

俺はまぁ嫌いじゃないぞ、芯が強い奴は。(口元を緩め)

ビクター

ん……!
「そ、そう言って下さると嬉しいです…!」

ガンジ

しかもポストマン、お前って奴は

ガンジ

俺と目線を合わせながら手紙を書けるとは

ガンジ

随分器用だな。

ビクター

ビクター

ん……!
「あっ、えっと!?やっぱり失礼ですよね…すみません!」
(慌てて頭を下げて)

ガンジ

お、おい!もう頭を下げても大丈夫なのか?

ビクター

ん……!?
「そ、そうでした…。つい頭を下げてしまいました…。」

ガンジ

いや、俺も少し喋り過ぎた…。

ガンジ

ま、まぁ一応確認してみるか。(扉に手をかけ)

カチャ(扉が開き)

ガンジ

!あ、開いた…。

ガンジ

ったく、どういう原理してんだこの扉。

ビクター

ん……!
「よ、良かったです…!何とかお題を達成出来たみたいですね。」

ガンジ

そうだな、ポストマンが頑張ってくれたおかげだ。

ビクター

ん……。
「そ、そんな事ないです…!」

ビクター

「むしろ無理に付き合わせてすみません…!」
(頭を下げて)

ガンジ

……。

ガンジ

おい。

ビクター

ん……!?
「は、はい…!?」

ガンジ

男が簡単に頭を下げるな、

ガンジ

お前は今日苦手な事と向かい合った。

ガンジ

この変なお題通りにしなくても、他に方法があったかもしれないのに

ガンジ

お前はそのお題をやり遂げたじゃないか。

ガンジ

俺にとっては簡単な事だが、

ガンジ

苦手な事に立ち向かうなんて、そうそうできないぞ。

ビクター

ん……。
「ガンジさん……。」

ビクター

「ありがとうございます、その…優しいんですね。」
(にこりと微笑み)

ガンジ

は、はぁ!?優しくなんてない。

ガンジ

ただ凄いと思っただけだ…。

ガンジ

って、

ガンジ

言うのは俺の感想で……あ〜クソっ!(髪の毛をくしゃくしゃして)

ガンジ

な、何か文句あるかよ!?

ビクター

ん……!
「あっ!い、いえ…!とんでもないです!」
(慌てて顔を横に振り)

ガンジ

…しかし俺が他人を褒めるなんてな。(ぼそっと呟き)

ビクター

ん……?
「ガンジさん、何か言いましたか?」

ガンジ

あ、あぁ…何でもない。

ガンジ

と言うか、ポストマン。お前時間は大丈夫なのか?

ビクター

ん……?
「えっ、時間ですか…?」

ガンジ

おいおい…、

ガンジ

いつまでもここで油売っている訳には行かないだろ?(相手の鞄から手紙が覗いており)

ビクター

!(腕時計を確認して)

ビクター

ん……!
「そ、そうでした!まだ配達しないといけない手紙がありました!」
(ちらりと手紙の入った鞄を見て)

ビクター

「ガンジさん、すみません。そろそろ僕は行きますね!」

ガンジ

あぁ、仕事頑張れよ。

ビクター

ん……!
「ありがとうございます!」

ビクター

……!

ビクター

ん……。
「あっ、ガンジさん。えっとその…。」

ガンジ

ん、何か言い忘れた事でもあったか?

ビクター

ん……。
「……その、また一緒にお話ししてくれると嬉しいです…。」

ビクター

「あっ、今回みたいじゃなく普通にですよ!」

ビクター

「じゃあ僕はもう行きますね!それでは!」
(軽くお辞儀をして、廊下へ向かい)

ガンジ

……あっ、おい!

ガンジ

ったく、人が答える前に出て行きやがって。

ガンジ

そんなのわざわざ言わなくても大丈夫だっての…。(口元を緩め)

ガンジ

……。

ガンジ

って、俺は何惚けてるんだ!?

ガンジ

馴れ合いは苦手なはずなのに…。

ガンジ

……はぁ、

ガンジ

本当に意味が分からない。(そう呟いて、バットとボールを持ち中庭へ向かい)

ー終わりー

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