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わたしのアール

1 - わたしのアール

♥

50

2020年02月09日

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わたしのアール

和田たけあき(くらげP)

わたし、屋上で

靴を脱ぎかけた時に

三つ編みの先客に

声をかけてしまった

わたし

ねぇ

わたし

やめなよ

口をついてでただけ

ホントはどうでも良かった

先を越されるのが

なんとなく、癪だった

三つ編みの子は語る

どっかで聞いたようなこと

三つ編みの子

運命の人だった

三つ編みの子

どうしても愛されたかった

 

ふざけんな

そんなことくらいで

わたしの先を越そうだなんて!

欲しいものが手に入らないなんて

奪われたことすらないくせに!

三つ編みの子

話したら楽になった

って

三つ編みの子はきえてった

さぁ今日こそはと靴を

脱ぎかけたらそこに

背の低い女の子

また声をかけてしまった

背の低い子は語る

クラスでの孤独を

背の低い女の子

無視されて奪われて

背の低い女の子

居場所がないんだ

って

 

ふざけんな

そんなことくらいで

わたしの先を越そうだなんて!

それでも、家では愛されて

温かいご飯もあるんでしょ?

背の低い女の子

おなかがすいた

と泣いて

背の低い子は消えてった

そうやって何人かに

声をかけて

追い返して

わたし自身の痛みは

誰にも

言えないまま

はじめて見つけたんだ

似たような悩みの子

何人めかに会ったんだ

黄色いカーディガンの子

黄色いカーディガンの子

家に帰るたびに

黄色いカーディガンの子

増え続ける痣を

黄色いカーディガンの子

消し去ってしまうため

黄色いカーディガンの子

ここに来たの

と言った

 

口をついて出ただけ

ホントはどうでも良かった

思ってもいないこと

でも声をかけてしまった

 

わたし

ねぇ

わたし

やめてよ

 

ああ、どうしよう

この子は止められない

わたしには止める資格がない

それでもここからは消えてよ

君を見ていると

苦しいんだ

黄色いカーディガンの子

じゃあ今日はやめておくよ

って

目を伏せたまま

消えてった

今日こそは誰もいない

わたしひとりだけ

誰にも邪魔されない

邪魔してはくれない

わたし

カーディガンは脱いで

わたし

三つ編みはほどいて

わたし

背の低いわたしは

わたし

今から

飛びます

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コメント

7

ユーザー

これ歌なんだ!すごく良い詩。

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