桃
朝起きると、 何枚も布団を重ねているはずなのに、 異常な寒気を感じた。
寒気とは裏腹に、背中は汗で びっしょりと濡れている。
やったか...これ...
“熱”という単語が俺の頭をよぎる。
桃
彼女...いや、家族でもいればこんなに 困ることもないのだが、
あいにく俺は独身、一人暮らし。
誰も看病してくれる人などいない。
桃
とりあえず水でも飲むか、と思い、 起きあがろうとしたが、
今の俺の体が言うことを 聞くわけもなく、あっという間に 壁に頭をぶつけてしまった。
桃
誰か呼ぶしかない...
背中の不快感と寒気と戦いながら、 残った気力で手を伸ばし、 なんとかスマホを取ることができた。
連絡先の一番上を適当に押し、 とりあえず電話をかける。
青
青
青か...
青
桃
青
青
桃
桃
青
桃
青
うるせえな...
青
桃
青
青
なんでだよ...
まあいいか...どうせ動けないし...
桃
青
青
桃
桃
通話
05:29
桃
それにしてもあいつ元気だな...
まだ6時半だぞ...?
絶対夜中起きてただろ...
それにしても久しぶりだな...
熱ってこんな感じだったっけ...
歳取ったら感じ方変わんのか...?
桃
なんか気持ち悪...
トイレ...
桃
マジで吐きそう...
急げ急げ...
ふらつきながら俺は部屋から出た。
桃
トイレってこんな遠かったっけ...
桃
やばい...
倒れそ...
桃
青
家についた瞬間、倒れそうに なっている桃くんを、間一髪 助けることができた。
桃
腕の中で苦しそうに息をする桃くん。
体はとても熱く、額にはじんわりと 汗が滲んでいる。
桃
青
青
約束を破った怒りと、心配が 合わさって、つい大きな声を 出してしまった。
桃
青
青
桃
青
なんとかベッドに運んできた桃くんは 荒い息をあげている。
桃
こんなに苦しそうな桃くん 初めて見た...
どれくらい熱あるんだろ...
青
青
桃
計ってないんだ...
青
桃
青
青
桃
体温計を手渡すと、亀より遅い速さで 手を動かし、脇に挟める桃くん。
なんだか可愛く見えてくる。
桃
青
余計なことを考えていたせいで 名前を呼ばれてるのに全く 気づかなかった。
青
桃
青
何度かな...
“40.1℃”
ん...?
よんじゅ...40...?
本当に?
嘘?
お風呂?お風呂かな?
桃
桃
青
青
桃
青
青
40.1...?
38℃は確実に超えてると思ったけど
まさか40℃を超えてるとは 思わなかった...
なんかそう聞くと具合 悪くなってくる...
桃
青
そう言いつつも、俺の背中をさすって くれたり、頭を撫でたり してくれている。
倒れそうになった時も 助けてくれたし...
なんだかんだ優しいんだよな...
青
桃
もう、頷くことしかできなかった。
体がうまく動かない。
声も出ない。
怖い...
青
桃
青
青
桃
青
桃
冷た...
青
桃
青
青
青
桃
なぜ俺の考えていることが 分かるのだろうか。
何も言葉を発していないはずなのに...
青
桃
青
桃
青
少し触れた青の手は温かくて
桃
意味もなく照れてしまった。
40℃あると伝えると桃くんは 余計苦しそうな表情になった。
青
少しだけ本音も出ちゃったけど
心配な気持ちは変わらないまま。
でも、僕は医者でもなんでもないから ただ桃くんの背中をさすったり、 頭を撫でることしかできない。
少しだけ落ち着いてきた頃、僕は 氷をとりにリビングに向かった。
たった一分程度、目を離しただけ。
だけど、帰ってきたら桃くんが 過呼吸みたいになっていて、正直 すごく焦った。
青
そう声をかけても聞こえていないのか 反応はなくて
体を大きく揺さぶると、ようやく 反応を示してくれた。
桃
青
青
こんなん僕まで慌てるわ...
桃
青
なんとか落ち着いた様子の桃くんに さっき持ってきた氷を当てる。
桃
氷が冷たすぎたのか、驚いたような 声を上げた桃くん。
青
そう聞いてみたけど、意外にも 桃くんは首を振った。
青
そう言って桃くんの体をさする。
青
青
桃くんは滅多に風邪をひかないし、 きっとすごく怖いだろう。
勝手に思い込んでいただけだけど、 その通りだったみたい。
桃
桃くんは安心したのかなんなのか わからないけど泣き出してしまった。
青
そう声をかけて水を飲ませると、 桃くんの顔が少し赤くなった。
桃
青
桃
桃
青
興味なさそう...笑
桃
桃
青
青
青
桃
桃
本当育ちいいな...こいつ...
青
桃
青
青
桃
青
桃
青
青
桃
青
温かい...
人の温もり感じる...
てかどんだけ人の温もりに飢えてんだ
まあいいや
なんか...眠く...なってきた...
寝た...?
頼ってくれるのは少しだけ 嬉しかったけど
もう風邪ひかないでね
青
青
バカ、聞こえてるわ
たまには風邪ひくのも悪くないな...
桃
青に風邪がうつったのはまた別の話。
三月さんの企画に参加しようと思って 書いてたの忘れてました((
企画の開催ありがとうございます!
憧れの三月様↓
いつも素敵な作品 ありがとうございます!
これからも応援してます🥰🧡
ここまで見ていただき ありがとうございました!
コメント
3件
え、あ、コメントしてなかった…