テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

境界選メモリー

第1話 - 境界選メモリー

102

2020年05月03日

#境界選メモリー

#翠千

☕如月🌟戮源光

境界選メモリー

高峯翠

(守沢先輩が雑誌に載った)

四人(翠鉄虎忍奏汰)

お……

三人(鉄虎忍奏汰)

おぉ～～！

鉄虎

インタビュー長いっスね！かっけぇっス！

千秋

ありがとう！他の三人も載ってるぞ！

忍

はわ…
色っぽいでござる…！

千秋

本格的なデビューっていうことで

千秋

違う面を出していこうという方針だったんだ！

奏汰

馬子にも衣装……🎵

千秋

それは褒めてるのか奏汰！？

千秋

あっ！

千秋

お前らもこういう雑誌に載れるように話しておいたぞ！

千秋

そう簡単に載せてもらえる訳ではないが……コネを利用するのも大事だからな！

鉄虎

マジッスか！？✨

忍

さすが、隊長殿！

忍

で、でも拙者に出来るかどうか…

千秋

大丈夫だ！

千秋

仙石には素質があるからな！

忍

ほ、ほんとでござるか！？

奏汰

そうですよー
やってみなくてはわかりません🎵

高峯翠

……

高峯翠

(＿＿盛り上がる、皆を他所に)

高峯翠

(いつもと雰囲気と違う先輩を見ても）

高峯翠

(シャツのボタン開けすぎじゃない？)

高峯翠

(一応まだ高校生でしょ)

高峯翠

(イメージ操作のつもり？どうせすぐボロが出るのに)

高峯翠

(なんて、子どもが拗ねたような、文句しか出てこなくて)

高峯翠

(もう遠くに行くのだと、思い知らされるようで、)

高峯翠

(俺はその雑誌を投げ捨てたくて仕方がなかった)

放課後(？)

高峯翠

(返礼祭が終わった)

高峯翠

(………と言ってもすべての引き続きが完璧と言えばそうではなく)

高峯翠

(まだまだ、先輩達の手ほどきが必要だ)

高峯翠

(自立なんてほど遠い)

高峯翠

…………

高峯翠

静かだな…

3のA

高峯翠

(あった…)

高峯翠

失礼しま～す………

ｶﾞﾗｯ((🚪

高峯翠

守沢先輩います……………、

高峯翠

(電話中…？)

千秋

はいっ

千秋

～～

千秋

～～～

高峯翠

(卒業式も返礼祭も終わっただけあって…）

高峯翠

(教室には誰もいない)

高峯翠

(私物もない)

高峯翠

(まるで、最初からなにもなかったように)

高峯翠

(そこにあった日常がみえない)

とんっ((机にもたれた音

高峯翠

(どれくらいかかるんだろ)

高峯翠

(長くなるなら出直したほうがいいかな)

千秋

クルッ

高峯翠

！

千秋

しーっ

高峯翠

(静かに待っとけってこと……かな)

千秋

＿＿すまん待たせたな

千秋

どうした！？☺

高峯翠

うるさい…

千秋

高峯が三年の教室に来るなんて珍しいな！

高峯翠

これ。
鉄虎くんから…

千秋

お！

千秋

４月のライブの申請書だな！

千秋

ほんとは全部任せたいが…

千秋

チェックぐらいはまだしてやらないとなぁ…

高峯翠

…もしかして、このために登校したんスか？

千秋

まさか！

千秋

卒業したとは言え三月中はまだ、この学院の生徒だからな

千秋

仕事の諸々の連絡がここに来るんだ

千秋

それ関係だな

高峯翠

なるほどね…

高峯翠

びっくりしましたよ

高峯翠

LINEしたら学院にいるとか言うし

高峯翠

…まぁ手間が省けたのはいいですけど

千秋

はっはっは☆

千秋

ヒーローだからな！呼べばすぐにどこでも駆けつけるぞ！

高峯翠

はいはい…

高峯翠

そういえばさっきの

高峯翠

仕事の電話

高峯翠

ですか？

千秋

そうだ！聞いてくれ！嬉しいことがあったんだ！

高峯翠

うわっ…なんですか

千秋

雑誌の編集者さんからの電話だったんだがｶﾞｻｺﾞｿ((カバンの中を探している

千秋

次の仕事の話と、ついでに…

千秋

この間の雑誌の重版が決まったと教えてもらったんだ！

千秋

ふふん🎵凄いだ……

高峯翠

ﾑｯ

高峯翠

確かにおめでたいですけど

高峯翠

それってほんとに先輩のおかげなんスか………？

千秋

ひどいぞ！

千秋

いやまぁ、俺の力は

千秋

微々たるものだっただろうが…！

千秋

ほら見てみろ！

千秋

こことか…ここも！

千秋

カメラマンさんに褒められたんだぞ！

高峯翠

へぇ～

高峯翠

そりゃよかったスね

千秋

ざ、雑だな！

千秋

＿＿なんだか、自分で見ても実感わかなくてな

千秋

ほんとにこれは俺なのかって

高峯翠

(そうだね、誰かわからないや)

高峯翠

(大人の世界へと踏み出すただの守沢千秋が)

高峯翠

(眩しく輝いて在る)

千秋

ｽﾞｲｯ

千秋

な‼
結構きれいに撮れているだろ！

千秋

まぁだいぶ照れ臭かったし

千秋

ダメ出しも多かったが……

千秋

…………って

千秋

なんて顏してるんだ高峯

高峯翠

……別に｡

高峯翠

(とても、息苦しい)

高峯翠

(これは駄々だ)

高峯翠

(子供の｡)

高峯翠

まぁ……ただ､そうっスね、

高峯翠

綺麗だなぁって思ったんスよ……

高峯翠

(俺の知ってる守沢千秋を)

(奪い去らないでよ)

高峯翠

……

千秋

………、

千秋

……高峯、

千秋

や、やっぱり何かあったのか？

千秋

悩みがあるなら俺に、

高峯翠

ｶﾞｻｺﾞｿ((カバンの中を探している

高峯翠

守沢先輩｡

高峯翠

俺のこのスマホ＿＿

高峯翠

カメラの画素数が結構良いんです。

千秋

お、おぉ？

高峯翠

元々はゆるキャラをキレイに撮るために

高峯翠

カメラ機能に特化したヤツを選んだんですけど

千秋

？？

高峯翠

そのおかげでカメラ初心者の俺でもある程度

高峯翠

キレイに撮れるというか………

高峯翠

ギュッ((スマホを握る

高峯翠

だから、

高峯翠

先輩を撮らせてくれませんか…？

高峯翠

(卒業は今生の別れではない)

高峯翠

(そうだね俺も、そう思う)

高峯翠

(でも、じゃあなんで？)

翠の心の中

高峯翠

あの日幕った焦燥感はなに？

高峯翠

幾重にも孕んだ喪失感は？

高峯翠

＿曖昧で、覚束のない寂寥感は？

高峯翠

あの時、確かに俺の身を包んでたんだよ

高峯翠

壇上へと足を運び

高峯翠

礼をする3年生を

高峯翠

澄み切った心で

高峯翠

祝福できなかったのは

高峯翠

それはきっと＿＿

高峯翠

……先輩、

千秋

すまん！ちょっと照れてる！

高峯翠

気ぃ抜いてくれていいっスよ…

なんだそりゃ…

千秋

ピースはいるか！？

高峯翠

いや、しない方がいい……

高峯翠

そわそわしないでください…

千秋

ｿﾜｿﾜ((*´ω｀*))ｳｽﾞｳｽﾞ

高峯翠

…じゃあ、撮りま＿＿

千秋

ニコッ

う、わ、

この人の笑顔なんて見慣れてる筈なのに

千秋

ポーズは何か希望はあるか？

高峯翠

え、

高峯翠

あ、特には……

そうだ、この人はアイドルなんだと

千秋

そうか、なら自然体でいこうか

今更思い知らされる

指が震えたカシャ

カシャ

それでも残さなきゃと思った

カシャ

だってもうすぐこの人はいなくなるんだから

カシャ

残さなきゃって

高峯翠

(あぁ…綺麗だ)

高峯翠

はぁ…

高峯翠

(あまりにも綺麗で)

高峯翠

(噎せ返りそうだ)

知ってるよ

高峯翠

＿先輩、

高峯翠

ネクタイ、緩めて

高峯翠

シャツ少し、開けてください

千秋

………

千秋

＿分かった

千秋

ｼｭﾙ

千秋

……

千秋

あのな、高峯

千秋

このネクタイな、

千秋

お前にあげようと思ってるんだ

いなくなる準備

黙ってよ

高峯翠

ﾋｸｯ

聞きたくない

高校生を終えようとしている

聞きたくない

千秋

……高峯、

千秋

お前はこちら側だと思うぞ

高峯翠

は……、

高峯翠

何…ですか、急に

千秋

お前は撮る側じゃない、

千秋

撮られる側だ

千秋

俺はそう思う

高峯翠

な、にそれ……

高峯翠

俺、そう言うの苦手だって……

千秋

俺なんかがこっち側だからな

千秋

高峯ならなおさらだ

高峯翠

なんかって…らしくない…

高峯翠

何が言いたいんです……

千秋

俺、特撮の主演に決まったんだ

千秋

ずっと夢だった

千秋

何度も泣いて

千秋

それでも諦められなかった

千秋

その夢がやっとだ

千秋

でも、なぁ、高峯、

千秋

俺がお前を置いていくとか！

千秋

遠くに行くとか！

千秋

そんなことはないからな！？

千秋

なんかさっきから寂しがってないか！？

千秋

ｷﾞｬﾝｷﾞｬﾝ

高峯翠

うっ…

千秋

いきなり写真を撮るなんて変だろ!

高峯翠

……何を言い出すかと思えば

高峯翠

うるさ……

高峯翠

馬鹿ですかあんたは

千秋

バカとはなぜだ！

高峯翠

………知ってますよ

高峯翠

そんくらい、知ってますよ

どれくらい、一緒にいたと思ってるんだ

高峯翠

そそ……((首元に指を近ずける

高峯翠

あんたは俺をみんなを置いていく人じゃない

高峯翠

そんなこと知ってる

高峯翠

カリッ((鎖骨の間を引っかく

千秋

ﾋﾟｸｯ

高峯翠

でもね先輩

高峯翠

どうしようもないじゃん

高峯翠

だって俺の知ってる先輩は

もうすぐ消えるんだから

千秋

…え、き、

千秋

消える…？

高峯翠

………、
笑ってくださいよ

高峯翠

ｺﾄｯ((スマホを置く

高峯翠

自分でも何言ってるんだって

高峯翠

思ってるんですから

高峯翠

スルッ((ネクタイを触る

高峯翠

先輩はこれからどんどん活躍して

高峯翠

どんどん有名になっていきます

高峯翠

……あんたすごいからさ

高峯翠

スッ((ネクタイを直す

千秋

そんな、人気が出るとか分からないだろ

高峯翠

いいえ

高峯翠

あんたがそう信じてる

高峯翠

だから俺も信じます

高峯翠

………

高峯翠

あのね先輩、

高峯翠

スッ((スマホを取る

高峯翠

俺きっと

高峯翠

制服姿の先輩好きでした

高峯翠

この夢ノ咲学院の、

高峯翠

３のAの、

高峯翠

守沢先輩のことが、

高峯翠

……

卒業は＿＿

高峯翠

これくらいしか出来ないんです、

決して

高峯翠

こうすることでしか、

高峯翠

俺にとっての

高峯翠

夢ノ咲学院の守沢千秋を、

高峯翠

閉じ込める方法が

高峯翠

これしか思いつかないんです……

今生の別れではない

でも、

たまに廊下ですれ違ったこと

あんたを探して3年生の教室を覗いたこと

下駄箱で離れていくその背中を見ていたこと

でも、この学院で出会えたこと

匂いも声も温もりも通りすぎてしまうのなら

高峯翠

せめて………っ、

高峯翠

残したいなぁって……

全てが確かにここにあったこと

そのどれもこれもが

どうしようもないほどに愛おしいから

千秋

………そうか

高峯翠

くそっ…くそっ…

高峯翠

グズっ…

千秋

もっと撮ってくれよ高峯

千秋

…もう残せるのはないと
思ってたんだがな…

千秋

やっぱり高峯はすごいなぁ

千秋

…嬉しいよ

千秋

お前の思い出になれたんだな

高峯翠

もう帰るんスね

千秋

あぁ、やらなきゃいけない事があるからな

高峯翠

そうっスか

俺も、まだやらなきゃいけない事がある

千秋

………高峯、

千秋

戻りたいと、思うか？

高峯翠

＿＿いいえ

高峯翠

俺にとって先輩と過ごした1年間は

高峯翠

かけがえのない日々です

高峯翠

キラキラしてました

高峯翠

バカみたいに騒いで

高峯翠

アホみたいに青臭かった

高峯翠

だからこそ思い出のままにしたい

高峯翠

…大事にしたいんです

千秋

…そうか

高峯翠

＿それに、

千秋

？

高峯翠

……夢を叶えた先輩が

高峯翠

誇らしくない訳じゃ…
ないっスから…

2人(翠千秋)

プッ

高峯翠

＿さようなら先輩

高峯翠

制服姿の先輩が大好きでした。

鉄虎忍

えっ

鉄虎忍

雑誌の仕事を受けてみたい…！？

鉄虎忍

あの翠くんが！？

高峯翠

うるさいなぁ…

高峯翠

鬱だ…

鉄虎忍

((絶対におかしい！！))

忍

どうしたでござるか！

忍

なにかあったでござるか！！

忍

体調を崩したのか

忍

それとも頭を打ったでござるか！？

鉄虎

翠くんが仕事の話に乗り気なんて

鉄虎

ありえないっス！！

鉄虎

天変地異が起こるっス！！

鉄虎

明日は雨！？

高峯翠

ちょっ、ひどい……

高峯翠

2人とも
ほんっと遠慮なくなってきたよね…
近い近い…

鉄虎忍

絶対断ると思ったのに！

高峯翠

ん…

高峯翠

いやまぁ、乗り気な訳じゃないんだけど……

千秋

お前はこちら側の人間だ

高峯翠

あんなこと言われちゃぁね…

高峯翠

自分の顔と…向き合ってもいいかなって…

END

この作品はいかがでしたか？

102

12件

☕如月🌟戮源光

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

境界選メモリー

第1話 - 境界選メモリー

作者の他の作品すべて見る