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泡音
泡音
蒸し暑い夏の日。
刻まれた名前は、眩しいくらいに明るかった、わたしの親友。
ナナ
手を合わせる。
ナナ
ナナ
そこで聞いてくれてる事を願いながら。
ナナ
ナナ
摩耶は私の笑顔が好きだと笑ってくれた。
私は摩耶の笑顔が好きだった。
ナナ
うちに置いてたあんたが好きな飴。
もうすぐ、溶けちゃうよ。
摩耶
ナナ
摩耶
世界一美味しい!
ナナ
摩耶
ナナ
摩耶
ナナ
摩耶
また2人で飴、食べよう!
ナナ
土曜日。飴を買いに行った日。
ナナ
摩耶
夏の太陽よりあつい笑顔が失われた日。
ナナ
摩耶
ナナ
摩耶
ナナ
視線の先頭を走り出したのは、赤く染まっていく車。
いや、それより、横たわる黒髪の小柄な親友。
ナナ
運転手
車から飛び出してきた運転手が。
あまりにも、憎らしい。
全部、私のせいなのに。
ナナ
摩耶
ナナ
さっき、なんて言おうとしたの?
ナナ
太陽のあつい笑顔って言うより、月の朗らかな笑顔で。
優しく、優しく。
そう問うた。
ナナ
摩耶
ナナ
ナナ
摩耶
幸せ、って言おうとして動いた唇から、血が滴る。
運転手
近所の大人
ナナ
ナナ
彼女が噛んでいた飴は道路に放られていた。
だから、私がまだ食べていなかった飴を彼女の口に入れた。
ナナ
摩耶
そう、笑った。
ナナ
ナナ
意味なんてないのに、泣いた。
届かないのに。
こんな涙。
また、飴、食べようね
泡音
泡音
泡音