sakura
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テスト最終日
2時間のテストとロングホームルームを終えて帰宅した僕は、ベットの上で、ゴロゴロしながら考える
テストは赤くんに教えてもらったこともあって、そこそこできたと思う
その一方で…
青
ふとした瞬間に思い出す。 桃くんにキスされたこと。
青
あれから桃くんとは一言も言葉を交わしてない
テスト期間はみんなでお喋りっていう雰囲気でもないし、紫くん達とも挨拶をするくらいだった
青
青
青
青
青
青
青
勢いよく起き上がって枕元に置いてたスマホを手に取る
勢いのままに呼び出したのは、桃くんの連絡先
青
青
青
青
青
青
それだけ送ったあと、重力に任せてそっと目を閉じた
ブーブー(携帯)
青
青
青
青
青
青
スマホを両手で握り締め、ベットの上で正座になって応答する
着信は間違いなく桃くんからで、いつもの気だるげな声が聞こえてくるんだと思っていた
なのに
律
青
青
律
青
律
青
青
律
律
部活終わりに、を強調して言われた気がした
青
律
律
築いてきた絆をひけらかすような物言いで、律くんは僕を牽制した
まるで、お前がつけ入る隙なんてないって言われてるみたい
律
でも……隙がないとか、関係ない
桃くんと律くんの間につけ入る隙がないなら、僕と桃くんの間にも律くんがつけ入る隙はないはず
青
律
淡々と言い放つと、律くんの声にイラ立ちが混じった
律
律
青
今じゃなきゃ、素直に聞けない
今じゃなきゃ、素直に伝えられない
神様はもう、僕に明日なんて約束してくれない
青
一見平穏な生活の隙間に潜む病気の症状に、僕はもう長くないと教えられる
もって夏まで。言い換えれば、明日息絶えたっておかしくないんだ
律
突然声を荒らげた僕に驚いたのか、律くんが黙り込む
その向こうで、ギィィと何かが開くような鈍い音がした
桃
律
桃
桃くんの声が遠くに聞こえたあと、雑音が入る
それからしばらくして、1番聞きたかった声が鼓膜を震わせた
桃
青
話したいことは沢山あるのに、頷くことしかできない
桃
青
桃
青
青
自分勝手な言い分が脳内に渦巻いて、さっきまでの勢いが一目散に僕の元から逃げていく
青
青
響かせることのできない言葉を舌先で転がしていると、電話の向こうで桃くんが再び謝った
桃
青
無意識のうちに、問い返す声に棘が混じる
キスしたことを謝っているなら怒ろうと思った
けど、桃くんは僕の予想の斜め上をいった
桃
桃
青
青
青
謝罪の理由が予想外だったため、つい笑ってしまいそうになる
桃くんは真面目に謝ってるんだから、と必死に堪えていると、桃くんはその無言を怒りだと捉えたらしい
桃
桃
青
桃
青
青
青
青
桃
青
膝の上に作った拳をぎゅっと握る
ドキドキと速まる鼓動を感じていると、桃くんが電話の向こうで短く息を吐いた
桃
桃
青
時間を確認すると、既に夜の7時を回っていた
青
青
青
律くんとの約束をかっさらってしまったことへの罪悪感よりも、喜びが勝ってしまう
青
この前赤くんに、僕の恋は桃くんの幸せを願えるものにしたいって言ったんだ
だけど今は、桃くんと律くんとの時間を奪って。しかも、そこに喜びまで見出してしまっている
青
時間をかけて本音にしていくつもりだったのに、今ある本音がそれを阻む
強がりを本音にする時間なんて残されていないんだと、病気と恋心が静かに囁く
青
桃くんと話して、気持ちに折り合いをつけるから
今度こそ、桃くんの幸せを思えるように
9時頃、室内にチャイムが鳴り響いた
青
青
ガチャ(玄関)
新聞勧誘
青
青
青
新聞勧誘
青
青
逃げるように扉を閉めようとしたとき
青
新聞勧誘
扉の隙間に足を滑り込ませ、扉が閉まるのを阻まれた
続けてかけられた手によって、完全に扉が開く
新聞勧誘
青
男の人の目の色が変わる
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青
青
視界がじんわりと滲んだのとほぼ同じタイミングで、男の人の肩に置かれた手
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桃
新聞勧誘
桃
新聞勧誘
桃
新聞勧誘
それはまずいと思ったのか、男の人が怯む
そのままブツブツと小言を言いながら帰っていった
桃
青
緊張が解けて泣き出した僕を見てぎょっとした桃くんは、一瞬躊躇うような素振りを見せてから、制服の袖で涙を拭ってくれた
部屋に入ってから僕を待ち受けていたのは、まさかのお説教タイムだった
桃
青
桃
青
しゅんっと萎れて言うと、桃くんは、はぁーっと深い息を吐いた
桃
青
青
桃
青
髪が額にくっついていることを指摘すると、桃くんはバックの中からタオルを取り出して汗を拭った
青
青
律くんの名前を出すと、タオルをしまおうとした桃くんの動きが一瞬止まる
桃
ふいっと、そらされた顔が険しかったのを、僕は見逃さなかった
青
青
きゅっと唇を結んでから、振り切るように口を開く
青
僕たちの間に、沈黙が落ちる
何か言わなきゃと思うけど、口を開くことができない
長く続いた無言を破ったのは…桃くんだった
桃
青
途端にモヤッとした気持ちが現れる
桃
桃
青
考えるよりも先に、声が出ていた
青
桃
青
謝って、無かったことにされるくらいなら
何気に凄いこと口走っちゃった気がするけど、今の僕にはどの部分が凄いことだったのか判別できなかった
高ぶった感情を一気に吐き出すと、桃くんがふにゃっと笑う
桃
青
桃
青
青
桃
青
桃
青
桃
青
それに僕が突っかかって、まだ笑いあって
青
今まで通りの、僕たちだ
桃
桃
青
桃
青
青
桃
青
桃
桃
出したお茶を飲みながら話す桃くんは、いじけたように唇を突き出している
青
青
桃
よほど参っているのか、僕の返答を聞いた桃くんは、ぱあっと表情を明るくした
青
青
青
桃
青
青
青
名案だと思って意気揚々と言ったものの、桃くんは浮かない表情
青
青
慌てて取り消そうとすると、桃くんはハッとしたように手をぶんぶんと振った
桃
青
桃
青
青
桃
思わぬ提案に、前のめりになる
青
桃
桃
青
青
桃
青
言うと、桃くんは柔らかく笑う
桃
青
青
明日があるかも分からないのに、自分で未来の約束を取り付けてしまった
律くんのことだってそうだ
桃くんにとって律くんは大切な人で、僕といるより彼と過ごす方がいいはずなのに
桃
青
桃
青
桃
青
バスケへの未練を考えると心が痛むけど…せっかく誘ってくれたんだから行きたい
でも、肝心なところで理性が姿を現した
青
桃
青
震える声で言った僕に、心底驚いたような顔を見せてから、桃くんは盛大なため息をついた
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
明日の保証がないなんてことは、ちゃんと分かってる
だけどもう、理性は働かなかった
青
桃くんが好き
大袈裟かもしれないけど、たぶん、世界で1番好きだ
僕の命が尽きても……この想いだけは、きっと誰にも殺せない
sakura
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sakura
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コメント
12件
ブクマ失礼します
初コメ失礼します! もう神作すぎて…✨ フォロー失礼します! 続き楽しみにしてますね!✨
なんでもっと早く見なかったんだろう…フォロー失礼します