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余命わずか

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余命わずか

12 - 余命わずか

♥

3,217

2021年08月07日

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sakura

わこさくです!

sakura

前回のが♡600超えててすごいびっくりしました!
"(ノ*>∀<)ノ

sakura

ありがとうございます!

sakura

あと、遅くなってすみません
(´;ω;`)

sakura

では早速続き書いてきますね!

sakura

地雷・アンチダメ!

sakura

キャラ崩壊注意!

sakura

٩(.^∀^.)งLet's go

テスト最終日

2時間のテストとロングホームルームを終えて帰宅した僕は、ベットの上で、ゴロゴロしながら考える

テストは赤くんに教えてもらったこともあって、そこそこできたと思う

その一方で…

………っ

ふとした瞬間に思い出す。 桃くんにキスされたこと。

……なんで

あれから桃くんとは一言も言葉を交わしてない

テスト期間はみんなでお喋りっていう雰囲気でもないし、紫くん達とも挨拶をするくらいだった

(でも…テスト終わったから部活は今日から始まるはず…)

(桃くんと赤くん、大丈夫かな……)

(桃くんはまだ、僕と赤くんの間に何かあるって思ってるのかな…)

(付き合ってるのかって聞いてから、なんでキスなんか…)

…………

ああもう!

(僕には1秒も無駄にできる時間なんてない!)

勢いよく起き上がって枕元に置いてたスマホを手に取る

勢いのままに呼び出したのは、桃くんの連絡先

なんでキスしたんですか……は、いくらなんでも直球すぎるよね

(なんて送るのが自然なんだろ…)

って、こんなことで悩んでらんないし!

(だいたい、あのキスからして自然じゃなかったし!その自然じゃないキスをしたのは桃くんだし!!!)

(だから、僕からのコンタクトがどれだけ不自然だとしても、桃くんにだけは文句言わせない!)

[話したいことがあります。部活終わってからでいいので、連絡ください]

それだけ送ったあと、重力に任せてそっと目を閉じた

ブーブー(携帯)

……ん、…頭、いたい……

スマホ、どこ置いたっけ…あった…

………え!?

(桃くんから、着信!?)

(メッセージで送ってくるかと思ってたのに…)

も、もしもし

スマホを両手で握り締め、ベットの上で正座になって応答する

着信は間違いなく桃くんからで、いつもの気だるげな声が聞こえてくるんだと思っていた

なのに

あ、やっとでた

(え……?)

律、くん……

せいかーい

なんで、律くんが……

なんでだと思う?

(どうして…なんで…?)

………っ

青くんが退院した後すぐに、僕も退院したんだよ。それから隣町の家に戻ってきたんだけど

桃ってばさ、わざわざ部活終わりに会いに来てくれたんだ

部活終わりに、を強調して言われた気がした

……あの。桃くんは……

今、コンビニ行ってていないよ?

スマホ置いてくなんて、よっぽど親しい仲じゃないと無理だよねー

築いてきた絆をひけらかすような物言いで、律くんは僕を牽制した

まるで、お前がつけ入る隙なんてないって言われてるみたい

知ってる人から連絡くださいってメッセージが届いてたから、なんの要件か伝えて置いてあげようと思って電話したんだー

でも……隙がないとか、関係ない

桃くんと律くんの間につけ入る隙がないなら、僕と桃くんの間にも律くんがつけ入る隙はないはず

いいです。自分で話したいから、コンビニから戻るまで待ってます。戻ったら桃くんに代ってくださいね

……は?

淡々と言い放つと、律くんの声にイラ立ちが混じった

いつ戻るかも分かんないのに?

話したいなら今じゃなくてもいいじゃん。どうせいつでも会えるんだか……

今じゃなきゃダメなんです!!

今じゃなきゃ、素直に聞けない

今じゃなきゃ、素直に伝えられない

神様はもう、僕に明日なんて約束してくれない

今、桃くんと話したいんです!!

一見平穏な生活の隙間に潜む病気の症状に、僕はもう長くないと教えられる

もって夏まで。言い換えれば、明日息絶えたっておかしくないんだ

…………

突然声を荒らげた僕に驚いたのか、律くんが黙り込む

その向こうで、ギィィと何かが開くような鈍い音がした

ただいま。頼まれてたやつ、買ってきたぞ

も、も……

律?何して……って、それ俺の……!

桃くんの声が遠くに聞こえたあと、雑音が入る

それからしばらくして、1番聞きたかった声が鼓膜を震わせた

青……?

……うん

話したいことは沢山あるのに、頷くことしかできない

スマホ持って出るの忘れてて。でもまさか、律が青に電話かけるなんて思わなかった。ごめんな

ううん、大丈夫。……今も、律くんと一緒?

アパートの外に出たから、俺1人

(アパート……。律くんの家にいるって、ほんとなんだ。)

(元々律くんの家に行く予定でも、メッセージを返すくらいはできたはずなのに……)

自分勝手な言い分が脳内に渦巻いて、さっきまでの勢いが一目散に僕の元から逃げていく

(どうして僕にキスしたの?)

(あのとき、なんで怒ってたの?)

響かせることのできない言葉を舌先で転がしていると、電話の向こうで桃くんが再び謝った

青…ごめんな

ごめんって、何が?

無意識のうちに、問い返す声に棘が混じる

キスしたことを謝っているなら怒ろうと思った

けど、桃くんは僕の予想の斜め上をいった

部活が終わったら連絡くれって、メッセージくれてただろ

休憩中に気づいてたのに、部活終わっても返さなかったから

(……え?そっち?謝るの、そっちの方?)

(いや、そのことについてもモヤモヤしてたよ?僕より律くんなんだーって思ってショック受けてたよ?)

(でも僕たちの目下の話題って、キスでしょ?)

謝罪の理由が予想外だったため、つい笑ってしまいそうになる

桃くんは真面目に謝ってるんだから、と必死に堪えていると、桃くんはその無言を怒りだと捉えたらしい

今日、部活の後に律の家に行く約束してたんだよ

行く前に連絡しても、片手間になってちゃんと向き合えねーって思ったから、帰る頃に電話しようと思ってた

え……?

あの時のことは……メッセージじゃなくて、直接話したかった

(……そんなの、言ってくれなきゃわかんないよ)

(せめて、後で電話するとか連絡くれればいいのに、詰めが甘すぎるよ…)

(でも……うん。ちゃんと考えてくれてたって分かったから、もういいや)

だったら……電話じゃなくて、会って話したい

え?

いつでもいいよ。いつでもいいから、桃くんの顔を見て話したい。ダメ、かな……?

膝の上に作った拳をぎゅっと握る

ドキドキと速まる鼓動を感じていると、桃くんが電話の向こうで短く息を吐いた

……わかった

今から行くから、待ってろ

(え……?)

時間を確認すると、既に夜の7時を回っていた

律くんの家って、隣町って言ってたよね

(ってことは、急いでも電車で1時間以上かかるはず…)

どうしよう……うれしい

律くんとの約束をかっさらってしまったことへの罪悪感よりも、喜びが勝ってしまう

僕って、嘘つきだなぁ……

この前赤くんに、僕の恋は桃くんの幸せを願えるものにしたいって言ったんだ

だけど今は、桃くんと律くんとの時間を奪って。しかも、そこに喜びまで見出してしまっている

全然願ってない。むしろ邪魔してるし……

時間をかけて本音にしていくつもりだったのに、今ある本音がそれを阻む

強がりを本音にする時間なんて残されていないんだと、病気と恋心が静かに囁く

でも……これで最後にするから

桃くんと話して、気持ちに折り合いをつけるから

今度こそ、桃くんの幸せを思えるように

9時頃、室内にチャイムが鳴り響いた

(時間的に桃くんかな…)

はーい

ガチャ(玄関)

新聞勧誘

あっ、どうもー。○○新聞でーす。取ってくれません?サービスするんでー

え……

(これ……新聞勧誘…!?)

すみません、結構です

新聞勧誘

そんなこと言わずにー。3ヶ月!いや、1ヶ月でいいからお願いしますよー

(し、しつこい…!)

ほんと大丈夫なんで……!

逃げるように扉を閉めようとしたとき

……っ!?

新聞勧誘

お兄さん、それはないんじゃない?こっちが下手に出てんのにさー

扉の隙間に足を滑り込ませ、扉が閉まるのを阻まれた

続けてかけられた手によって、完全に扉が開く

新聞勧誘

1ヶ月でいいって言ってんだけど。ほんと頼むよー

やめてください!警察呼びますよ!?

男の人の目の色が変わる

新聞勧誘

はぁ?警察とかふざけてんの?こっちは新聞取ってくださいってお願いしてるだけなんだけど

(やばいやばいやばい!どーすればいいのこれ…!)

ほんと困ります……!!

視界がじんわりと滲んだのとほぼ同じタイミングで、男の人の肩に置かれた手

新聞勧誘

なんだ!?

なんだって、こっちのセリフなんですけど。何してるんですか?

新聞勧誘

何って、お前には関係ないだろ

いや、なくないんで。そいつ困ってるから、帰ってもらっていいですか?

新聞勧誘

お前に指図される筋合いは…

これ以上強引に勧誘するんだったら、会社の方に連絡入れますけど?

新聞勧誘

なっ……

それはまずいと思ったのか、男の人が怯む

そのままブツブツと小言を言いながら帰っていった

……何もされてないか?

こ、怖かったぁー……ポロポロ

緊張が解けて泣き出した僕を見てぎょっとした桃くんは、一瞬躊躇うような素振りを見せてから、制服の袖で涙を拭ってくれた

部屋に入ってから僕を待ち受けていたのは、まさかのお説教タイムだった

だから言ったろ、ちゃんと確認しろって。さっきみたいに変なやつもいるんだからさ

……はい

今回は大人しく帰ったからいいけど、それで済まないやつも中にはいるかもしれないんだからな

次からは絶対確認します……

しゅんっと萎れて言うと、桃くんは、はぁーっと深い息を吐いた

でもまぁ、なんもされてなくてよかったナデナデ

……っ//

(頭なでるとか…ずるい…)

遅くなってごめんな

ううん。駅から走ってきてくれたんでしょ?汗かいてる

髪が額にくっついていることを指摘すると、桃くんはバックの中からタオルを取り出して汗を拭った

(新聞勧誘を追い払ってくれたときも息きれてたし、急いでくれてたんだよね)

律くんと一緒にいたのに、直接会って話したいとか言ってごめんね。大丈夫だった?

律くんの名前を出すと、タオルをしまおうとした桃くんの動きが一瞬止まる

……あー、行くって言ったの俺だし、青が気にすることないよ

ふいっと、そらされた顔が険しかったのを、僕は見逃さなかった

(嘘だ。絶対何かあった)

(……けど、それを問い詰める権利は、僕にはない)

きゅっと唇を結んでから、振り切るように口を開く

来てくれてありがと……嬉しかった

僕たちの間に、沈黙が落ちる

何か言わなきゃと思うけど、口を開くことができない

長く続いた無言を破ったのは…桃くんだった

悪かった

悪かったって……?

途端にモヤッとした気持ちが現れる

……ずっと、嫌な態度取ってたから

それに、キスだって……

謝らないで!

考えるよりも先に、声が出ていた

桃くんは嫌だった?気の迷いで僕にキスしたの…?

っ、そんなわけ…!

だったら謝んなくていい!僕も嫌じゃなかったこと、謝られたくないよ!

謝って、無かったことにされるくらいなら

何気に凄いこと口走っちゃった気がするけど、今の僕にはどの部分が凄いことだったのか判別できなかった

高ぶった感情を一気に吐き出すと、桃くんがふにゃっと笑う

わかった。もう謝らない

…うん

はぁー…あーでも、アイツらには謝んないとなー。俺のせいで空気悪くなってたし

うん…そこはちょっとフォローできないかな

(まあ、みんなは笑って許してくれそうだけど)

特に赤には八つ当たりしてただけだったしなぁ……

え?八つ当たり?なんで?

……内緒

え、なんで!教えてくれたっていいじゃん!!?

は?やだ。絶対教えない

なんで!

それに僕が突っかかって、まだ笑いあって

(よかった、普通だ)

今まで通りの、僕たちだ

あ、そうだ、青

時間ある時でいいから、また愛に会ってやってくんない?

なんで?

最近、親の仕事忙しくてさ。愛のお迎えは大体行ってくれるけど、俺が帰ったら愛を任せて会社戻ることもあるし、休日出勤する時もあるし

うわ、大変だね……

(確かに前見た時、バリバリ働いてそうだったもんなぁ)

で、愛と2人になること多いんだけど…それが不満みたいで。泣くし怒るし、大変なんだよ…

……それって僕がいても同じなんじゃ

いや、俺と2人じゃなかったら大丈夫だと思う

実際、俺が保育園に迎え行った時は先生の前で楽しそうにしてたし

出したお茶を飲みながら話す桃くんは、いじけたように唇を突き出している

(おままごとでダメだし食らったりもしてるのかな…)

いいよ。この前はほとんどご飯食べただけだったし、僕も愛ちゃんにまた会いたいし

まじ?助かる

よほど参っているのか、僕の返答を聞いた桃くんは、ぱあっと表情を明るくした

(……あ、そういえば)

桃くんの誕生日って、もうすぐだよね?

(確か6月5日だったような…)

あー、来月の5日

(当たった!)

じゃあさ、来週の日曜、愛ちゃんと3人でどこか行かない?

うちじゃ、愛ちゃんが楽しめるようなものなんてないし、桃くんのお祝いも兼ねてみたいな

名案だと思って意気揚々と言ったものの、桃くんは浮かない表情

(もしかして僕、調子乗りすぎた!?)

あ、無理にとは言わないし!愛ちゃんを看る人がもう1人いれば桃くんもちょっと楽かなって思っただけで……!

慌てて取り消そうとすると、桃くんはハッとしたように手をぶんぶんと振った

違う、嫌とかじゃなくて

へ……?

日曜は部活の大会があるから、その日は厳しいんだよ

(あ、そっか、桃くんバスケ部だもんね)

(忘れてたけど、休みの日でも練習試合とかあるんだよね)

再来週の土曜は?部活、1日オフだし

思わぬ提案に、前のめりになる

空いてる!大丈夫!!

んじゃ決まりで

忘れんなよー

(僕が忘れるわけないじゃん。夢にだって出てくるよ)

えへへ、楽しみ。どこ行きたいか、考えててよ!

どこでもいいよ、俺は。青が決めろよ

いやダメだよ、桃くんの誕生日だし

言うと、桃くんは柔らかく笑う

じゃあ青も、自分の誕生日行きたい場所、ちゃんと考えとけよ

……うん

(僕、その時まだここにいられるのかな…18歳になれるのかな…)

明日があるかも分からないのに、自分で未来の約束を取り付けてしまった

律くんのことだってそうだ

桃くんにとって律くんは大切な人で、僕といるより彼と過ごす方がいいはずなのに

なあ青

あ、なに?どしたの?

青がよかったらなんだけどさ、日曜の大会……観に来ない?

え……っ

んまだ言ってなかったけどさ。試合に出れることになったんだよ

(え、すごい…!)

バスケへの未練を考えると心が痛むけど…せっかく誘ってくれたんだから行きたい

でも、肝心なところで理性が姿を現した

僕じゃなくて……律くん誘わなくていいの?

なんでここで律がでてくんだよ

なんでって……桃くんは、律くんのこと好きなんじゃ……

震える声で言った僕に、心底驚いたような顔を見せてから、桃くんは盛大なため息をついた

なんだそれ。どこの誰情報だよ

誰情報でもないけど……。桃くんにとって、律くんは大切な人でしょ?

確かに律のことは好きだし大切だけど、恋愛的な意味じゃないし

え……

俺にとって律は幼なじみ。それ以上でもそれ以下でもねーよ

(そう、だったんだ……)

青が転校する前に……1回でいいから見て欲しいって思ったんだよ

っ、行く

明日の保証がないなんてことは、ちゃんと分かってる

だけどもう、理性は働かなかった

絶対に行く

桃くんが好き

大袈裟かもしれないけど、たぶん、世界で1番好きだ

僕の命が尽きても……この想いだけは、きっと誰にも殺せない

sakura

ここまで!

sakura

久しぶりの投稿でしたね🥰

sakura

受験で忙しくて😭
お許しください😭

sakura

おつさくー!

この作品はいかがでしたか?

3,217

コメント

12

ユーザー

ブクマ失礼します

ユーザー

初コメ失礼します! もう神作すぎて…✨ フォロー失礼します! 続き楽しみにしてますね!✨

ユーザー

なんでもっと早く見なかったんだろう…フォロー失礼します

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