テラーノベル
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人生最後の嘘を最愛の人についた。
人はよく嘘をつく。
一生のうちに何度も嘘をつき、 何度も嘘をつかれる。
それは軽い嘘かもしれないし、 重い嘘かもしれない。
軽い嘘の定義も、重い嘘の定義も 人によって違う。
でも、俺が最後についた嘘は きっと重い嘘だろう。
なんとなく思いつきで屋上行った日。
綺麗な赤髪。
少し小さめの背。
儚げな背中。
落ちていく夕日を見つめる彼に 俺はなぜか惹かれてしまった。
人のことを好きになる日が 俺にくるなんて。
想像すら、していないことだった。
ずっと嘘をつかれ続けてきた人生。
たとえ小さな嘘でも 積み重なればそれは大きな嘘と化す。
信じても裏切られるなら 最初から信じなければいい。
嘘をつかれるとわかっているのなら 最初から関わらなければいい。
気づけばそんな考えになっていった。
それでも。
あの日確かに、関わりたいと思った。
赤髪の彼に。
話したことなんてない。
顔すら見たことない。
後ろ姿だけの彼に、俺は惹かれた。
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