テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１４５１

第1話 - あ

2023年12月25日

#スカッと

タナカトシキ

アヤネ

ねえ、マキト

アヤネ

今週の金曜日って仕事終わったら予定ある？

マキト

え？なんで？

マキト

特に何もないけど

アヤネ

じゃあさ、カンナの誕生日パーティーやろうよ

アヤネ

今年は、金曜日に誕生日だから、お祝いしやすいよね

マキト

あ～もうそんな時か...

マキト

あっ！俺用事あったわ

マキト

会社の奴らと飲み会

アヤネ

えっ？

アヤネ

思い出したって...本当に？

マキト

は？何？

マキト

疑ってんの？

マキト

いや、そういうわけじゃないけど...

アヤネ

じゃあさ、今回はカンナのこと、優先してくれない？

アヤネ

家族との予定、って言えば会社の人たちも納得してくれるよ

アヤネ

きっと

マキト

イヤだよ

マキト

俺、先約は守りたい主義だから

アヤネ

そんなこと言わないでよ...

アヤネ

最近、家族で揃って話した時間全然ないんだし、

アヤネ

1日くらいいいでしょ？

マキト

あのさ、俺は家族を一番に考える、なんてできないから

マキト

それに、カンナだってもう高1なんだし、

マキト

友達との予定がすでにあるんじゃねーの？

マキト

それは、そうかもしれない...

マキト

じゃあ、誕生日当日じゃなくても、別の日でいいじゃん

アヤネ

じゃあ、せめて、おめでとう、って...

アヤネ

顔合わせて言ってあげてね

マキト

俺が言ったところで、どんな顔するかね～

アヤネ

えっ？どういうこと？

マキト

カンナ、最近俺と目も合わせてくれないし

マキト

俺のこと、うっとうしいとしか思ってないんじゃね？

アヤネ

そんなの、話してみないと分からないでしょ？

アヤネ

もし、そう感じてるなら親らしいことしてあげよう、って思わないの？

マキト

親らしいことってなんだよ？

マキト

俺は、必死に仕事して、稼ぐことだと思ってるんだけど

アヤネ

まあ、それも1つだと思うよ

マキト

それなら、俺は仕事に専念する

マキト

だから、会社の人との飲み会も大事にするから

アヤネ

あのさ、そういうことを言ってるんじゃないの

アヤネ

家族のことも、大切にしてほしいのよ

アヤネ

特に、子供のことは

マキト

俺、家庭も仕事も両立する、ってこと向いてねーみたいだわ

マキト

仕事するなら、仕事に専念する

マキト

そうする方が、自分にあってるんだよ

アヤネ

そんなこと、言わないでよ...

アヤネ

カンナが反抗期の時こそ、親が側にいてやったほうがいいじゃん

マキト

なんだ

マキト

カンナが反抗期で、最近俺らと離れたがってる、って気づいてんだ

アヤネ

なんとなくね

アヤネ

帰りも、塾の帰りに寄り道して23時くらいになる時だってあるし...

アヤネ

親として、それは心配でしょ？

マキト

そうか？

アヤネ

は？心配じゃないの？

マキト

友達と一緒にいる、ってことはカンナだけじゃないんだし

マキト

別に、いいんじゃね？

マキト

最近の子供は、俺らが思ってるより大人だと思うし、

マキト

それなりに自分のことは自分でできる、ってことだよ

アヤネ

でも、いくら何でも夜中に女の子たちだけで出歩かせるなんて...

アヤネ

心配じゃん

アヤネ

何かあったら...って

マキト

もうさ、ほっとけばいいだろ

マキト

俺らがいくら心配して声かけたって、あっちが嫌がってんだから

マキト

無理に家族の関係を意識させようとしなくても、

マキト

そのうち、自然と振り向いてくれるようになるって

マキト

あっちが必要としてる時に、話聞いて助けてやればいいの

マキト

その方が、上手くいくんだよ

アヤネ

そうだとしても、誕生日は当日に祝うから

アヤネ

もう、マキトも勝手にすれば

マキト

そう？

マキト

じゃあ、そうさせてもらいますわ

～5分後～

アヤネ

カンナ

アヤネ

今週の金曜日は塾ないでしょ？

アヤネ

誕生日のお祝い、一緒にやろう

カンナ

いいよ、そんなの

アヤネ

えっ？なんで？

アヤネ

毎年、当日に家族みんなでお祝いするのが恒例じゃん

アヤネ

まあ、パパは仕事の飲み会でいないんだけどね

カンナ

やっぱり、そんなことだろうと思った

カンナ

家族そろってじゃないじゃん

アヤネ

ママ、パパのこと精いっぱい説得したんだけど、

アヤネ

ダメだった

アヤネ

ごめんね

カンナ

別に、ママが謝ることじゃないよ

カンナ

ありがとうね

アヤネ

じゃあ、ママと2人だけでもいい？

アヤネ

カンナの好きなイチゴのショートケーキ買って、お祝いするからさ

カンナ

うん...ありがとう

カンナ

じゃあ、金曜日は塾が終わったらなるべく早く帰るよ

アヤネ

分かった

アヤネ

じゃあ、今日も塾、頑張ってね

～その日の23時～

アヤネ

カンナ

アヤネ

今、何時だと思ってるの？

アヤネ

もう23時何だけど！？

カンナ

先生に質問してたら、遅くなっちゃったの

カンナ

ごめん

アヤネ

もう...それなら連絡入れなさいよ

アヤネ

心配するじゃない

カンナ

心配...？

カンナ

本当に、心配してんの？

アヤネ

えっ？

アヤネ

何言ってんの

アヤネ

当たり前でしょ？

カンナ

そんなの、どうせ口だけに決まってるんだから

アヤネ

そんなことないって...

カンナ

っていうか、成績が悪いから、って言って塾に入れたのはママじゃん！

カンナ

勉強時間もなんとか増やして、こうして頑張ってるのにさ...

カンナ

遅くなって、連絡入れ忘れたらすぐにそうやって怒るの！？

アヤネ

そんな、怒ったつもりはなかったんだけど...

アヤネ

そうやって聞こえたなら、ごめんね...

カンナ

まあ、帰りたくない理由はもう1つあるけどね

アヤネ

えっ？

アヤネ

何？それ

カンナ

ママと、パパが最近ケンカばっかりしてるから、

アヤネ

それは...ごめん

アヤネ

ママ、なんとか平和に話合いできないか、って思ってるんだけど...

アヤネ

難しいみたい

カンナ

ほぼ毎日、パパが帰ってきたらケンカしかしてないじゃん

カンナ

勉強だって集中できないから、塾で居残りしてやってるんだよ

カンナ

帰りが遅いのは、ママとパパのせいでもあるんだからね！？

アヤネ

そうだったんだね...

アヤネ

ママ、なるべく言い合いにならないように、話そうとする

アヤネ

今まで、気づかなくて本当にごめんね

カンナ

ほんと、仕事ばっかりのパパにもお祝いされても、嬉しくないし

カンナ

私のことよりも、仕事の方が大事なんだもん

アヤネ

パパには、ママの方からもう少し、家にいてくれるように頼むから

アヤネ

カンナが寂しくならないようにさ

カンナ

寂しい？

カンナ

私、別に寂しいって思ってるわけじゃない

カンナ

構ってほしいわけじゃないんだから

アヤネ

じゃあ、どうして欲しいの？

アヤネ

もう少し、パパとも話そうとする姿勢、見せてあげてよ

アヤネ

親だけがなんとか頑張ろうとしても、何も変わらないんだよ？

カンナ

こんな家族のことでもめて、余計な体力使いたくない

カンナ

別に、無理して解決しようとしなくてもいいでしょ

アヤネ

でも、そんなわけには...

カンナ

じゃあ、友達が待ってるから

カンナ

バイバイ

～金曜日21時～

カンナ

カンナ？

カンナ

今、どこにいるの？

カンナ

今日は誕生日パーティーする約束だったでしょ？

アヤネ

今、ちょっとやらなきゃいけないことがあるの

カンナ

やらなきゃいけないって...

カンナ

カンナまで、ママのこと見捨てるの？

カンナ

パパも、最近冷たいのに...

カンナ

もう、私はどう接したらいいのよ

カンナ

ママ、絶対に今日中に帰るから、

アヤネ

もう、そんな寂しい思いさせないから、少し待ってて

カンナ

え？何？

カンナ

何か隠してるの？

カンナ

カンナ？

～30分後～

カンナ

パパ

マキト

カンナ

マキト

どうした？まだ塾か？

カンナ

ううん、

カンナ

今日は塾は休み

カンナ

ママが誕生日パーティーしてくれる、って言ったから

マキト

そうか

マキト

パパも、本当は行きたかったんだけど、

マキト

仕事の飲み会をどうしても断れなくてな...

マキト

申し訳ないよ

マキト

誕生日、おめでとう

カンナ

仕事の飲み会？

カンナ

嘘でしょ、そんなの

マキト

え？

マキト

何言ってるんだよ、カンナ

マキト

パパは、いつだってカンナとママのためにバリバリと働いてるよ

マキト

でも、今日はママと家で誕生日パーティー楽しんでくれ

カンナ

私、今は家にいないけど

マキト

ん？

マキト

じゃあ、どこにいるんだよ

カンナ

今ね、パパが浮気相手と一緒に入っていったラブホの前にいる

マキト

え！？

マキト

カンナ、お前...

カンナ

何が誕生日パーティー楽しんで、なの？

カンナ

家族に嘘ついて、こんなことしてるくせに...

カンナ

良い父親なフリ、しないでよ！

マキト

カンナ...あの、これママにだけは言わないでくれよ...

マキト

頼むよ

カンナ

分かった

カンナ

ママには、言わないでおく

カンナ

知らない方が幸せなことも、あるもんね

マキト

ありがとう

マキト

お礼に、カンナが欲しいもの、なんでも買ってあげるよ

マキト

値段なんて気にしなくていいから、ブランドものでも何でも...

マキト

何か言ってみて

カンナ

なんてね

マキト

え？カンナ？

カンナ

私がママに浮気のこと黙ってる、なんていうとでも思った？

カンナ

そんなこと、するわけないじゃん！

マキト

カンナ、ちょっと待ってくれよ...

カンナ

もう、遅いよ

カンナ

さっき、ママに浮気の証拠写真送ったから

マキト

え！？

マキト

ちょっと待ってくれよ...

マキト

あの、父さんは最初、全力で断ったんだ

マキト

でも、相手がどうしても、って言って...

マキト

引っ張って来てさ

マキト

女性だし、あんまり乱暴なこともできなかったんだ

カンナ

は？

カンナ

私が、何も知らないとでも思ってる？

マキト

え？

マキト

何言ってるんだ？

カンナ

私ね、パパが少し前から浮気してたこと、知ってるよ

カンナ

やっと、証拠がつかめたから、それを暴けたんじゃん

マキト

えっ...少し前、って...

マキト

いつからだよ？

カンナ

私が、パパに少し態度を冷たくし始めた時から

マキト

え？そんな前から...

カンナ

私がどうして態度が冷たかったのか、理解できた？

マキト

あの...倒産が悪かったよ...

カンナ

ほんと、最低だね、娘の誕生日の日にこんなことするなんて...

カンナ

父親なんて呼べないし、マジで信じらんない

カンナ

ママも、このこと知ってるから

カンナ

あとは、ママからの連絡を待ったらいいんじゃない？

マキト

アヤネ！

カンナ

何？

カンナ

もう、アヤネって名前で呼ばないでよ

カンナ

じゃあね

～１０分後～

アヤネ

パパ、浮気って...本当なの？

アヤネ

カンナから聞いたの、全部

アヤネ

カンナが送ってきた写真も見たよ

マキト

そんなの嘘だから！

マキト

高校生だけど、まだまだ子供なんだよ

マキト

信じるのか？

アヤネ

信じるよ

アヤネ

信頼する娘の言うことだもん

マキト

そんなこと言ったって...

マキト

アヤネも、カンナの反抗っぷりには手を焼いてたじゃないか

マキト

きっと、自分に構って欲しいから、こうやって困らせようとしてるんだよ

アヤネ

そんなことないって...

アヤネ

カンナはね、今まで塾で帰りが遅い日、

アヤネ

パパが何してるのか、突き止めようとして、調査してたんだって

マキト

え？カンナが？

アヤネ

そうだよ

アヤネ

警察に見つかって補導されたこともあって、

アヤネ

私の電話に連絡がきたこともあったの

アヤネ

その時、カンナは買い物してただけだった、って言ってたけど...

アヤネ

全部、パパの行動を調べて、証拠をつかむためだったんだよ

マキト

全然、気づかなかった...

アヤネ

１人だと心細かった時も、あると思うよ

アヤネ

それでも、体張って、頑張ってくれたの

アヤネ

そんな娘のことを、私は誇りに思うよ

マキト

あの、アヤネ...

マキト

ほんと、悪かったよ

マキト

もう、浮気なんてもう、この瞬間にやめるから

アヤネ

前にも、そうやって言ってたことあったね

アヤネ

その時も、同じこと言ってた

アヤネ

覚えてる？

マキト

え？

マキト

そんなこと、あったっけ？

マキト

とぼけるんだ

アヤネ

私との約束も、その場の口だけでのことだったんだね

アヤネ

もう、勝手にしなよ

マキト

あっ！アヤネ！

マキト

少し、話し合おうよ！

アヤネ

話し合う？

アヤネ

もう話すことなんてないじゃん

アヤネ

あなたの荷物、今から家の前に全部出しておくから、

アヤネ

全部持ってさっさとどっか行って

アヤネ

じゃあね

～後日談～

アヤネ

娘のカンナのおかげで、私はマキトの浮気を暴くことができました

アヤネ

浮気性のある彼のことを、すっぱりと諦めることができたのは、カンナのおかげだと思っています

アヤネ

これから少しの間は、大切な娘と一緒に暮らしていきたいと思っています

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タナカトシキ

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